召喚の目的
カーと力一がぱっと見だと全く分からないなーとふと思った今日この頃です。
では、本編どうぞ。
「お前は誰だ?」
綾人は目の前の美女が自分を殺せないことを再認識して、ようやく毅然とした態度で振舞えるようになった。
「それを召喚したお主が聞くのか?妾のほうが聞きたい気分なのだが...まあ、いいだろう。意思のある者が召喚されることは滅多にないからな。...コホン、妾自ら名乗ってやるのだ!心して聞け!」
元々尊大だった口調がさらにレベルを上げる。
「我が名はレイスト・イクス・ヴィレオン!先代魔王である父の遺志を継ぎし当代の魔王である!」
「へえ、魔王...魔王!?え、魔王って召喚されるものなのか!?」
「知らん、だが魔王は魔族の中で最も強い者が持つ『称号』だ。『称号』を持っていても魔族は魔族。魔物の一種である魔族が召喚されてもおかしくはないだろう。それが例え『魔王』の称号を持っていてもな」
「そ、そうなのか」
「だとしても妾を召喚するのは異常だがな」
「どうしてだ?」
「強き者を召喚するにはそれに相応する魔力が必要となる。お主MPの数値がごっそり減っているだろ」
「え?『ステータス』...ほんとだ。あんなに高火力の魔法ぶっ放しても大して減らなかったのに、召喚だけで全体MPの三分の二持ってかれてる」
「...妾は、妾を召喚しておいてそれだけしか減っていないお主に驚いているぞ」
「ん?そうなのか?まあ一応人類最強、かもしれないからな」
「ほお、人類最強か、見た目はただのガキのようだが。どれ、ちょっと見せてみろ」
「へ、何を...」
綾人は喋ろうとした。だがすぐに出来なくなった。今回の原因はオーラじゃない。オーラは話している間に収めてくれていたらしい。魔王なのに気遣いの出来るやつだ。だが今はそんなことはどうでもいい。レイストからとんでもない圧が飛んできたのだ。それこそ体は硬直して脳からの命令は完全に無視し、気力を振り絞ってもかすれ声すらでない。
「ほほう、これはこれは...」
そんな綾人を尻目にレイストは何かをしている。
「ははは!これは面白いものを見た!」
そのセリフで綾人に向き直ったレイストはようやく綾人の状況に気付いたようだ。
「ああ、すまんな。それは『魔眼』の副次効果なんだ。『鑑定』系統のスキルはこれしか持っていなくてな」
さっきまで綾人を縛り付けていた圧が唐突に消えた。
「はあっはあっ、『魔眼』?」
「『鑑定』の上位系統スキルだ。『鑑定』と『威圧』が混ざったようなスキルだな。『鑑定』の能力は変わらないが『威圧』はレベル差が一でもあれば先のお主と同じ状態になる」
「何と言うか、チートなスキルだな」
「ちーと?というのは分からないが、このスキルは妾のような高レベルのものが持っていると強いが低レベルのものが持っていても宝の持ち腐れだ」
「それもそうだな、ところで高レベルというが、お前レベルいくつなんだ?俺が『鑑定』しても名前すら見えない」
「ははは!当然よ!妾のレベルは3759!桁違いにも程があるわ!お主が本当に人類最強というのなら妾一人で人類を滅ぼせる!」
(やばいなー人類滅ぼせちゃうなー)
勿論知られていないだけで綾人より強い者がいる可能性はある。だがそれでも人間が1000の領域に達することすら難しいだろう。生まれてから死ぬまで戦い続けても不可能なものは不可能なのだ。
「というかそんなに自分の事をペラペラ喋っていいのか?」
「ん?まあ、お主の『ステータス』を見るまでは喋らなかっただろうな」
「それは、俺を脅威ではないと判断したからか?」
「ははは!冗談を言うでない!お主は人類の中で一番の脅威たり得るだろう。お主は人類の限界を超えられるスキルを持っている」
おそらく『魔素⇨エネルギー自動変換効率UP』と『エネルギー⇨経験値自動変換』のことを言っているんだろう。
「だったらなぜ?」
「お主が私を召喚した理由が分かったからだよ」
「...へえ」
綾人の頬に冷や汗が流れる。
「それは教えてくれるのか?」
「はん、白々しい。『聖騎士』と『暗黒騎士』の二つを持っていたことにも驚いたが、『召喚士』と『テイマー』の二つを持っていたことの方が驚いたわ」
「何故だ?」
「『聖騎士』と『暗黒騎士』のスキルが共存しないのは人類の中でも周知の事実だろうが...」
(すみません知りません)
その綾人の内心を読み取ったのか、
「まさか、知らないのか?...いや、そういえばお主称号に『転生者』とあったな。そのレベルだから転生して相当の日数が立っていると思ったが、その様子だとまだあまり日が立っていないのか。レベルはスキルでそこまで...」
どんどん図星を言い当てられる。
「あ、その、はい、その通りです。はい...」
「はあ、まあいい、なら説明しても無駄か。じゃあ、結論からして、お主妾を下僕にするつもりだな」
「...ああ、そうだ」
「召喚の効果による命令の強制、それを使って、『テイマー』の『主従契約』を強制的に結ばせる」
「やめてくれ声に出して言わないでくれ、何かすごい悪いことしてる気分になるから」
「ああ、魔王である妾でも若干引くくらいのことをしようとしているな。普通は『聖騎士』と『暗黒騎士』が共存しないのと同様に、『召喚士』と『テイマー』も絶対に共存することはない。それが共存してしまうとこんなことが出来てしまうのか...」
「いや、意思のない魔物に使う前提で考えてたからそこまで非道だとは思っていなかったんだ。だが、まさか意思のある魔物が来るとは思ってもみなかったから...すまない、時間を取らせてしまった。流石に意思ある者を無理やり従えようとは思わない...」
軽い気持ちでやろうとしていたことだが。意思のある者を強制的に従えてしまえばそれは奴隷と変わらない。そんなことはしたくないし、そもそも綾人にそんな度胸は無かった。だが、綾人の言葉の返答には予想だにしない言葉が返ってきた。
「む、拒否するなど言っていないだろう。してやってもいいぞ?主従契約」
「は?」




