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あっ、これ最強だわ  作者: 白銀次
第一章 リルクの街
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入国

 「結構時間かかったな」


 ジョブの強化を終えた俺はこれからどうするか考えていた。


 「とりあえず一番近くの街に行ってみるか。『ワールドマップ』・・・一番近くの街はここだな」


 俺が見つけたのはリルクという国境の手前にある中規模の街だ。


 ちなみに今俺がいるのは、シュベルク草原という、リルクのあるガイアス王国と反対にあるキロベル王国の国境にある草原らしい。細かくいえばシュベルク草原を通る街道の近くだ。


 その街道に沿って進めばリルクにつくようだ。


 だがまあ俺みたいな10歳くらいのガキが国境から一人で何も持たずに歩いてくるのは怪しいよな。ということでちょっと設定を考えよう。


 で、考えた設定が・・・記憶喪失、ハイ終了。


 え、短すぎるって?しょうがないじゃん。俺元々ただのサラリーマンだったんだよ?ただのサラリーマンに高度な設定なんて求めないでよ。


 てことで早速行きましょう。・・・ぐるるるる


 はっ!俺の腹の虫ならぬ腹の獣が!


 「そういえば転生してから何も食べてないな。でも近くに食べ物なんて・・・あっ!そういえば脳に直接ぶち込まれた情報の中に・・・『アイテムボックス』」


 そう唱えると何もない空間に穴が開いた。そこに手を突っ込んで、取り出したいものを念じる。


 (生で食べられる物!)


 すると手が何かに当たったのでそれを引っ張り出す。あの駄女神が食料と金を少し入れている。という情報が入っていたので迷いなく。


 「りんごか?でもなんか形が歪だな」


 手の中にあったのは、リンゴのようなものだった。ちょっとかじってみる。


 「うん、リンゴだな」


 リンゴだった、紛れもないリンゴだった。お腹が空いていたのですぐに一個食べきってしまった。


 「よし、じゃあお腹も少しだが膨れたことだし、きを取り直して行くか」


 俺はリルクに向かって歩いていく。


 ちなみに、今のステータスはこんな感じ。


 Lv112 市川綾人

 HP 11200/11200 MP 5600/5600

スキル

 『魔素⇨エネルギー自動変換効率UP』 『エネルギー⇨経験値自動変換』

 『鑑定』 『偽装』 『索敵』 『隠蔽』 『ワールドマップ』 『体術』 『剣術』

 『詠唱短縮』 『ヒール』

 ジョブ

 『平民』 『冒険者3』 『拳闘士』 『剣士』 『魔法師』 『僧侶』


 ジョブに関してだが平民は常に付いているものでそれ以外は五つまでが限界らしい。レベルが100に到達した時に『裁縫』や『料理』など大量のジョブが追加されたが何故レベル100でそれらのジョブが追加されたのかは分からなかった。だってレベル100って結構苦労するんじゃないの?


 人間に厳しい世界なのかね?


 あと、いちいちレベル5上がるたびに人工音声のようなものが聞こえてくるのは五月蠅いので、ウィンドウをしっかり見てみると『非通知』って設定があったから非通知にしている。一瞬「機械かよ!」とも思ったが深く考えないようにした。


 そうこうしているうちに街が見えてきた。


 「へー、結構でかいんだな」


 国境前の街だけあって人も多く結構でかかった。


 さて俺くらいの子供はどれくらいのレベルなんだろうか。


 街門のちょっと手前で出入りしている人たちを観察する。すると・・・いたっ!今の俺とほぼ同じくらいの年だろう少年が家族らしき人と街から出てきた。行商をしているのだろうか、積み荷を積んだ馬車の御者台に乗っている。


 『鑑定』


 ちょっと離れているからか正確には見えなかったがレベルは見えた。


 (レベルは・・・109だとっ!!!)


 (どういうことだ?・・・そうだっ、周りの人たちは?)


 少年の周囲の人たちも鑑定してみる。・・・俺は絶句した。全員100を軽く超えていたのだ。そこで俺は一つの結論に辿り着く。


 (もしかして、この世界の人間は生まれた時からレベル100なのか!?)


 とても信じられない結論だがそうじゃないとこれは説明がつかない。


 「だからレベル100でジョブが大量に追加されたのか」


 こういうことを情報の中に入れとけってんだよ、あの駄女神が。


 「じゃあとりあえず『偽装』・・・これでいいだろ」


 ステータスは出発前の状態で、スキルは駄女神から貰ったスキルを消しといて、『冒険者3』は『冒険者』にしておこう。


 「やっぱり便利だな『偽装』、よしじゃあ入りますか」


 俺はゆっくりとした足取りで街門に近付いていく。


 「止まれ!」


 まあそうなるよねー


 「坊主どっから来た?身分証明が出来るものはあるか?」


 よしじゃあ、全力で記憶喪失を演じてやろう。


 「分かんない」


 子供の甘えるような声で言う。自分がこんなことを言ってるってだけで笑いそうだ。


 「分からない?坊主名前は?」


 そんなこっちの心中も知らずに(知れるわけも無いが)門番は質問を重ねてくる。だが、勿論こちらの答えは決まっている。


 「分かんない」


 ヤバイ、マジで吹き出しそう。


 「分からないのか。坊主自分のことで分かることはあるか?」


 俺は何も考えずに答える。


 「分かんない。ふっ、こほん!」


 一瞬吹き出してしまった。咳をして誤魔化したが、ばれたか?


 「何も分からないのか・・・ちょっと待ってろ」


 そう言って門番はどこかに走っていった。


 良かったばれなかったみたいだな。むしろ咳をしたからか少し心配そうな顔をしていた。


 少し待ったあと門番が水晶のようなものを持って戻ってきた。


 「坊主これに触れてみろ」


 俺は無言で水晶玉の上に手を置いた。すると水晶玉が青く光った。


 「犯罪歴は無いか。坊主金はあるか?入国料が銀貨2枚なんだが」


 「これでいいの?」


 俺はポケットから銀貨2枚を取り出す。これは情報の中に入っていたから予め用意しておいた。


 「ああ、大丈夫だすまんな、決まりなんだ俺にはどうもできないが頑張って生きろよ坊主」


 本気で心配してくれている。ちょっと良心が痛むな。


 「うんありがとう。頑張るよ」


 そう返して俺は門をくぐった。

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