戦闘とは?
地面を蹴って飛び出した綾人は5メートル程あった距離を一瞬で詰めた。
「受けるか避けるかしてください、ね!」
綾人は大上段に振りかぶっているため避けようと思えば避けれるはずだ。だが、ファラスは瞬時に判断ができなかったため受けるしか選択肢が無くなった。受け流すほどの技量がファラスには無く、必然的に受けるしかなくなった。しかし、
綾人が木刀を振り下ろす。だがファラスは驚いた顔のまま木刀を受けるために自分の木刀を持ち上げ、防御姿勢を取ることすらしなかった。
綾人のステータスは圧倒的、このままファラスの頭に振り下ろされれば大変なことになるだろう。なので綾人はファラスの鼻先でギリギリ木刀を止めた。
ファラスが崩れ落ちる。身近に迫った死から解放され、気絶した。
「受けるか避けるかしろって言ったのに」
綾人はファラスを見下ろしながら呟き、そこから周りに目を向ける。......バラードを始め、各兵士に至るまで皆唖然とした顔をしていた。
綾人はそんなことは気にせずバラードに歩み寄り、告げる。
「旦那様これでお嬢様の護衛として認めて頂けるでしょうか?」
「......あ、ああ、そう、だな問題ない」
「有難うございます。...それでですね、僭越ながら少々提案をさせて頂きたいのですが」
「ああ、なんだ?」
「今見た通り私は人より武に秀でております。驕っているつもりは無いのですが、大抵の者には負けないと自負しております」
そこで綾人は懐から星が一つ描かれた黄金に煌めくバッヂを取り出す。
「!?それは、Sランク冒険者の......それで、提案とは?」
「はい、私は座学や礼儀作法においてはあまり得意ではありません。そちらの結果によっては学園に合格できない可能性があるほどです」
「いや、そんなに丁寧な言葉遣いで言われても説得力がないのだが」
「こんなものは付け焼刃です。学園に入学し、たくさんの貴族の方々と接することになればすぐにボロが出るでしょう。知識に関しても自信はありません。なので私は座学を中心に学びたいと思っております。勿論戦闘に関しても体が鈍らない程度に訓練は致します。...これは提案というよりお願いです」
「そうか、まあお前がそうしたいのであれば良いだろう。それも考慮して教育の計画を立てさせよう」
「ありがとうございます」
綾人は丁寧に頭を下げる。
「では、部屋は先に通達を受けていたので用意してある。長旅で疲れただろう。部屋に戻ってしっかり休め」
その後領主邸に戻り、綾人は部屋に案内された。
「割と広い部屋だな」
この領主邸は広いので各使用人に一部屋ずつ割り当てられている。しかも、その一部屋がまた広い。そこそこの値段のホテルの一室くらいだろうか?使用人に割り当てられる部屋としては他の領ではありえないと言えるだろう。まあ綾人はそんなことを知る由もないが。
綾人は部屋に入ってすぐ目に付いたベッドに腰掛ける。
「おお、柔らかい。腰が沈む」
『熊の寝床』のベッドと比べると、とても上質なベッドだ。いや、別に『熊の寝床』を非難しているのではなく、この世界での他の比較対象が無かったって言うだけで...まあ、とりあえず置いといて、
「『ステータス』」
Lv742 市川綾人 12歳 人族
HP 103880/103880 MP 51940/51940
スキル
『魔素⇨エネルギー自動変換効率UP』『エネルギー⇨経験値自動変換』etc...
ジョブ
『平民』『冒険者15』『拳闘士10』『剣士10』etc...
称号
『転生者』『人域の踏破者』『人外の到達者』『女神の加護』『覇者を穿つ者"大空"』
「一週間近く見ていなかったがレベルが100以上上がっているな。称号も一つ増えたのを確認していなかったな、『鑑定』」
『覇者を穿つ者"大空"』
基礎能力値が2倍になる。
???
「なんだ?この『???』ってのは。......分からんな。何か条件があるんだろうか?条件によって解放される、みたいな感じか?まあ何はともあれ、基礎能力値2倍はでかいな。さて、『非通知解除』」
・・・・・・・・・・・・
全ての通知を聞き終わり、各強化は『冒険者』と『隠蔽』につぎ込んだ。理由は特にない。強いて言えば強くなって何も問題ないってぐらい。
でだ、大してレベルが上がっていないことは分かっていたし、それに伴って大した強化もできないことは分かっていた。なら何故『ステータス』を整理したのかというと、グリフォンと戦う前に『非通知解除』したときのあれのためだ。
『レベルが500に到達しました。称号『人外の到達者』を獲得しました。称号『人外の到達者』獲得に伴い一回限定のユニークスキル獲得権限が付与されました。スキルポイントにボーナス500ポイントが加算されました。ジョブの強化を一回行使できます。スキルの強化を一回行使できます』
そうユニークスキルを獲得するためだ。と言ってもどうすればいいのか分からないので『駄通』を始める。
『おっ!やっと掛けてきたね!ユニークスキルでしょ?直こっち呼ぶね』
繋がったと思った瞬間そう言われ途端に周りの景色が入れ替わる。精神世界に呼ばれたんだろう。
(なあ、こっちに居るとき向こうでは俺の体どうなってるんだ?)
綾人は景色が切り替わった瞬間目の前に現れた美女に問い掛ける。
「戸惑いの欠片もないんだね。まあいいけど。ベッドに寝っ転がってるよ。体を制御している精神がこちらに来てるからね。動かない、ただの屍のようだ。状態だよ」
(そうか。で、ユニークスキルっていうのは俺が異世界に来るときに選んだスキル群の事だよな?)
「そうだね。だから君にはあのスキル群の中からもう一つ決めてもらうよ」
そう言ってリストを取り出そうとするリアーナに綾人が制止の声を掛ける。
(待った。リストは出さなくていい。もう決めているからな)
「え、もう決めてるの?」
(ああ、だからリストはいらん。見てしまったら別のスキルとまた悩んでしまう可能性がある)
「そっかー。じゃあちゃちゃっとあげちゃうからスキルの名前言って」
(時空魔法だ)
すっかり女神の名前を忘れていました作者です。




