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あっ、これ最強だわ  作者: 白銀次
第一章 リルクの街
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疑惑

 「何故そんなことを聞く?どうやって倒そうと俺の勝手だろ」


 正直、綾人はこの質問が飛んでくるのは予想していた。気にならない方がおかしい。何しろ確かに死んでいるグリフォンの死体に傷一つ付いていないんだからな。


 「何故聞くかなんて、分かってるだろう?あの死体は明らかに異常だ。傷一つ付いていないグリフォンの死体なんて見たことが無いよ」


 (ん?見たことが無いのか?あの魔法が使えれば同じことが出来るんだから、ギルドマスターなら見たことないってことは無いと思ってたんだが)


 目つきを少し鋭くしてフレリックが再び喋り出す。


 「それに、気になって少し調べてみたら『闇属性魔法』の残滓も確認された。『闇属性魔法』は魔物の中でも『魔人』という括りの生物達しか使えない魔法だ」


 (!?、そうなの!?え、でも俺人だよな?流石にあの駄女神でも人じゃなくて『魔人』に転生させるとかしないよな。・・・いやしないとも言い切れんな。だって駄女神だもん。うん。駄女神だからな)


 「ご説明ありがとう。知らなかった。・・・それで、何が言いたい?」


 綾人は牽制するように少し殺気を放つ。地球では出来なかった事だがこちらに来たら何か勝手に出来るようになってた。しかし、フレリックは全く動じていない。当たり前だ。自分より弱い者の殺気などなんてことないだろう。因みに受付嬢は腰を抜かしてへたり込んだ。


 「率直に言おう。君は『魔人』なんじゃないかい?魔人は人と変わらぬ姿をしており、大衆の生活に紛れている者も多いという」


 フレリックが綾人の殺気を掻き消すように殺気を放つ。このままでは受付嬢がちびるんじゃないだろうか?


 (すごい殺気だ肌がぴりぴりする。産毛が逆立つ。背筋が粟立つ。とにかくすごい殺気だ。動揺してはいけない。人(?)なのにさらに誤解が深まる可能性がある。冷静に、ポーカーフェイスだ)


 「ならば、こちらも簡潔に言うが、俺は『魔人』ではない」


 綾人は極めて冷静を保ちつつ返答する。


 「口でなら何とでも言えるよ」


 「ああそうだよ。口でなら何とでも言えるさ。だがそれはそちらも同じことだ。俺が『魔人』だと疑うだけなら何とでも言える」


 「いいや、さっきも言っただろう?『闇属性魔法』の残滓を確認したと。これが動かぬ証拠だ」


 「それだけで決めるのは些か早計過ぎやしないか?証拠がそれだけというのなら可能性は他にもあるだろう。何かの拍子に勝手に付いた。もしくは誰かが意図的に付けた。もっとしっかり考えればまだ他の可能性は十分にあるだろう」


 「屁理屈だね。あまりにも曖昧だ。説得力がなさすぎる」


 「屁理屈でも理屈は理屈だ。屁理屈に『屁理屈だ』としか言い返せないのならそれは立派な理屈に成り上がる」


 「ならば、言い返させてもらおうか。そもそも今こうして僕と対等に言い合えているのがおかしいんだよ。君の『見た目』は学校に入学していたら中等部に入るくらいの年齢だろう。だが僕と話している君の知能レベルは明らかに十五歳以下の未成年の知能レベルを超えている。『魔人』は人より老化、そして成長が遅いんだ」


 「おいおい、それは理由にならないだろう。お嬢様は俺と同レベルかそれ以上の知能レベルを持っているだろう」


 「お嬢様?ああ、イクシルベニア家のご令嬢の事か。彼女は貴族だからね。『平民』の者達とは教育水準が違う」


 平民と言うときに妙な含みがあった。まるで侮蔑するような、そんな人種には見えなかったんだが。まあ、とりあえず今は置いておく。


 「だとしてもだ。お嬢様は頭一つ抜きん出ているだろう?」


 「イクシルベニア家は別だよ。イクシルベニア家は令嬢子息の教育に力を入れていてね。彼女もまたイレギュラーなんだよ」


 「・・・そうか。もう俺には否定する材料が無い。だが、『魔人』では無いと否定だけはしておこう」


 綾人は諦めて反論をやめる。しかし直に牢屋に入れられるなんてことも無いだろう。あちらに証拠が不十分なのも確かだ。そもそも『魔人』だったらどうなるのかも知らないのだが。因みに今周りには誰もいないのでこの会話は聞かれていない。


 「では、はっきりとさせようか。サリーあれを持ってきてくれ」


 フレリックは側にへたり込んでいた受付嬢に何かを持ってくるように指示する。受付嬢、サリーは慌てて立ち上がり奥に入っていった。


 (はっきりさせる?何か『魔人』だと確定させる方法があるのか?え、だとしたら今の言い合い無駄じゃないか。結構頭使って答えてたんだぞ。俺の労力と精神の摩耗した分を返せよ)


 そんなことを考えている間にサリーが返ってきた。何か透明な宝石みたいなものを持っている。それをフレリックは受け取り・・・


 「これは『魔検石』と言ってね。その名の通り、魔を検知する石だよ。これに魔力を流し込んでくれ。魔力を流し込んだら、『人』であれば白く、『亜人』であれば青く、『魔人』であれば赤く色が染まる。これで君が『魔人』かどうか確実に分かる」


 フレリックが『魔検石』を差し出してくる。正直無駄な言い合いをしたことに文句を言ってやりたかったが、ぐっとこらえて綾人は大人しくフレリックから『魔検石』を受け取り魔力を流し始めた。

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