ギルマス再び
諸事情により少し休んでいました。活動報告にお詫びSSを載せています。
「どうやら、グリフォン狩りは無事に終わったようだね」
受付嬢に案内されてギルマスの執務室に入った瞬間の第一声がこれだった。
「無事と言えるのかどうかは微妙なところだが、俺はまあ無事だな」
一応返事を返しておく。
「イクシルベニア家の事だね。その件は礼を言わせてもらうよ。この街の近くで大貴族のご令嬢が亡くなってしまうとあまりにも外聞が悪いからね」
フレリックがペコリと頭を下げてくる。
(そういえばギルマスも家名を持っていたよな?貴族なんだろうか?)
「偶々だ。まあ俺がいかなかったら確実に死んでいただろうが」
恩を売っておいて悪いことは無いだろうと思い、一応釘を刺しておく。
「ああ、そうだろうね。イクシルベニア侯爵家の護衛ではグリフォンに勝つことは無理だろう」
ギルマスが直に肯定する。実際グリフォンのHPは全くといっていいほど減っていなかった。
「掛けてもいいか?」
「勿論、茶を入れさせよう」
「いや、茶はいい。さっき飲んできた」
「そうかい?」
「ああ、それより報酬の話をしよう」
綾人は悪い笑みを浮かべてそう言った。
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結果から言うとグリフォンの討伐報酬は1.7倍になった。Sランクだったというのもあるが、グリフォンについていた『大空の覇者』という称号が大きいらしく、他にも『大地の覇者』と『大海の覇者』という称号もあり、それらを持っている魔物は『覇者持ち』と言われるらしい。
次に俺のギルドランクだが、Sランクになった。ギルマスは権限でBランクにすると言っていたが、『覇者持ち』を倒すと強制的にSランクにされるらしい。ちなみにSランクになるとそれを証明するバッジが貰える。そのバッジをやり取りするのは大罪となるためそのバッジを持っている冒険者は相当な実力者ということが確定し、多くの冒険者から羨望を集める。大概の冒険者の目標はこのバッジを貰い名を上げる事だそうだ。別に常に付けていないといけない訳では無いので、勿論俺は付けない。まあ、羨望を集めるだけでなく、バッジを付けていれば戦争のような集団戦闘においてある程度の指揮権を有するらしい。
貸しに関しては、ギルドマスターにどれほどの権利があるか分からないから取っておくことにした。
・・・・・・
「こちらがグリフォン討伐報酬となります」
「!!!」
黒いお盆に乗せて差し出されたのは、白金の硬貨三枚。綾人は思わず声を出しそうになった。実物を見たことが無かったので本当に白金貨かは分からないが、見るからに白金貨といった感じだ。それが三枚、つまり日本円に換算すると約300万円ということになる。
グリフォン高価すぎだろ・・・。勿論指名依頼ということもあり、色は付いているがそれでも通常の討伐でさえ白金貨一枚、つまり約100万円はくだらないということだ。
「素材代は解体して決める必要がありますので明日お渡しします」
グリフォンの死体はさっきギルドの裏にある解体場で『アイテムボックス』から出した。ギルマスはスキルに入っていなかった『アイテムボックス』に食いついてきたが綾人も何故かは分からないので適当に誤魔化した。納得はしていないようだったが・・・。
「あ、ああ分かった。出来れば白金貨一枚分を金貨5枚、大銀貨60枚、銀貨100枚、大銅貨100枚、銅貨500枚に換金してくれ。面倒だとは思うが白金貨では使いずらいからな」
綾人は何とか平静を装って言う。
「分かりました。では今しばらくお待ちください」
そう言って受付嬢は白金貨一枚を持って奥に下がっていった。綾人は白金貨2枚を『アイテムボックス』に回収する。相当な額になることは予想していたので(予想以上の額だったが)、周りには見えないように気を使っていたからこんな額を渡されたことはばれていないはずだ。
暫くして受付嬢が戻ってきた。5つの袋を持って。
「お待たせしました」
5つの袋をカウンターに乗せる。結構な重量だったようで少し息が乱れている。まあ華奢な女性が持つにはこの世界の金は重いだろう。何せ紙幣が無くて全て硬貨だからな。行商などもさぞ荷物が嵩張ることだろう。主に硬貨で。
「ありがとう」
綾人は受付嬢に礼を言い、直にギルドを去った。
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一夜明けてなるべく早く出発したいと言うベルの要望に応えるため、グリフォンの素材の代金を受け取りに綾人は朝一でギルドに来た。まだ、精査出来ていないという可能性もあったが受付嬢に聞いたらちゃんと用意できていたようだ。
受付嬢が奥に下がり代金を持ってくるのを待つ。
足音が聞こえてきたので目を向けると、途端に綾人は眉を潜めた。何故なら受付嬢と一緒にフレリックが奥からやってきたからだ。足音が二つだったのは分かっていたが、フレリックがきたのは予想外であったため、綾人は訝し気な表情を隠そうともせずにフレリックに問い掛けた。
「何の用だ?金を渡すのに態々ギルドマスターはいらないだろ」
「はは、そう警戒しないでくれよ。ちょっと聞きたい事があっただけなんだからさ」
「お前は第一印象が悪いんだよ。人は大概相手の価値、関係、それに伴うメリットを第一印象で決めるんだ。警戒するなというのは無理な相談だ」
フレリックは綾人の取り付く島もない物言いに少し呆れ顔を見せる。
「そうかい。君は相当さっぱりしているね。分かったじゃあ質問をしたらすぐに戻るよ」
「ああ、ぜひそうしてくれ。で、質問ってのは何だ?」
実は綾人は質問の内容を大体予想していた。むしろこれを質問されないのはおかしいと思っていたからだ。
「うん。・・・君、あのグリフォンどうやって倒したんだい?」
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