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あっ、これ最強だわ  作者: 白銀次
第一章 リルクの街
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お嬢様のお願い

 綾人君が長考してる時は大体『高速思考』を使っていると思ってください。

 綾人は今侯爵令嬢である、ベル・イクシルベニアと対峙している。いや、別に睨み合っている訳では無いのだが、フィリアのせいで少し重い空気が流れている。


 「先のフィリアの非礼大変申し訳ございませんでした」


 「気にするな。そもそもこれはあんたの謝ることじゃ無い」


 「いえ、従者の非礼は主の非礼と同義ですから」


 「そうか」


 頑固だなーと思いながら綾人は茶を一口飲む。それに合わせるようにベルも茶を口に含み飲み下す。そしてベルは口を開いた。


 「今回押しかけたのはお礼を言うためというのもありますが、もう一つあるお願いをしに来ました」


 「お願い?」


 遂に本題に来たなと思いながら綾人は問いかける。


 「はい、・・・私の従者になっていただけませんか?」


 (突然何を言い出すんだこのお嬢様は!?今従者になれと言ったか?そんなことを言われてもはい、いいですよと答える訳が無い。いや、このお嬢様が賢いのは一度話しただけで分かった。何か理由があるのだろう。さて、どうやって納得させてくれるのかな?)


 「突然そんなことを言われてもはい、いいですよとは言えないな」


 「勿論分かっています。それに従者とは言っても絶対服従しろ、というわけではありません。率直に言いますと、見栄のためあなたに従者兼護衛をお願いしたいのです」


 「理解できないな。見栄のためというのなら大量の護衛を連れていればいいだろう。俺一人を連れるよりもそちらの方がいいだろう?」


 「それが出来ないところで護衛をお願いしたいのです」


 「出来ないところ?・・・俺を従者にしたい理由を詳しく説明してもらっていいか?なるかならないかはその話を聞いた後だ」


 「分かりました。では説明します。・・・私は来年の春この街リルクが属するガイアス王国の王都にあるガイアス王国王都中央学院に入学します。そこには護衛や従者を連れていくことはできません。しかし、同じく学院に入学した生徒を従者にすることは何の問題もありません。ですが、我が家には私と同じくらいの年齢の護衛の子を育てておらず、隣国に行ってまで学院での私の護衛を探しておりました」


 「つまりは、実力もあり見てくれもいい俺があんたのお眼鏡にかなったということか。それで一緒に入学して学院で従者兼護衛としてあんたと一緒に行動しろと」


 「言い方は悪いですがそういうことですね」


 「理由は分かった。しかし俺にメリットが無い。給金が出るのかもしれないが下手な金額じゃ俺ならモンスター討伐でそれよりも稼ぐことができる。俺にメリットを提示してみろ」


 (どんなメリットを提示してくれるのかな?)


 「そうですね。確かに普通のお給金ではあなたを雇うには安すぎるでしょう。なので月に金貨5枚を提示します」


 (はあ!金貨5枚!?月に50万貰えるってことか!?)


 「あなたならこれ以上稼ぐことも可能なのかもしれませんが、冒険者稼業の収入は不安定です受けるクエストが無ければ収入は0になります。それに比べてこちらは私の護衛をするだけで金貨5枚を毎月、安定的にです。さらに学院で授業を受けることが出来十分な教養を得られます。どうでしょうか?これだけで相当なメリットだと思いますが?」


 (本当に頭がいいな。この年で(正確な年齢は知らないが)ここまでの弁論を述べることが出来るのか。しかしこの給金の金額、親と相談して決めたのか?彼女はさっき隣国に行ってまでと言っていた。隣国というのはシュベルク草原を挟むようにしてある隣国キロベル王国のことだろうグリフォンに襲われていたのは隣国に行った帰りなのだろう。流石に隣国にまでいくような旅に領地経営をしている彼女の親が付いてくるはずがない。実際馬車に乗っていなかったからいないんだろう。なのに今彼女は俺に交渉を持ちかけている。この世界に電子機器はないから連絡を取ることは出来ないはずだ。早馬を出してもグリフォンを倒してから今の時間まで待っても隣の街からですら返事は帰ってこないだろう。『念話』を持つ者を介してというのも有り得るが、彼女の親は俺を実際に見ているわけでは無いのだからそんな金貨5枚などという金額を簡単に許可しないだろう)


 「その金額は親と相談して決めたのか?俺を雇うのはあんたの金ではなく親の金のはずだ。だがあんたには親と連絡を取る時間すら無かった。つまりあんたが勝手に決めて勝手に契約しようとしていることになる」


 「その点は問題ありません。お父様とお母様には『自分の護衛は自分で見つけなさい。人の能力や人柄を見分けるのも大事なことだ。そしてその人の価値をしっかり見極めるのも大切だ。だから護衛選びはベルに一任する』と言われております。なので私はあなたにはこのお給金を渡すだけの価値があると考えております」


 「まだ大して話もしていないのにあんたは俺の人柄が分かったのか?本当にあんたは俺を見極めることが出来ているのか?」


 「人柄は目を見れば大体わかります。貴族として生きるにはそれくらいできないと生きていけません。できなければすぐに騙され没落してしまいます」


 その事例を知っているのか、ベルは少し悲しそうな顔をする。


 「その上で私はあなたにお願いします。私の従者になっていただけませんか?」

 タグに学園って入れたかったけど枠が足りなかったのでタグにはありませんが、ちょっと学園ものに入ります。どれくらい続くかは分かりませんが。

 まあ、まだ学園に入るまでは時間が掛かりますので、学園ものが好きな方はお楽しみに!!!

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