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あっ、これ最強だわ  作者: 白銀次
第一章 リルクの街
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お嬢様

 サブタイトル全然思いつかなかったから超適当になりました。

 『状況?一体何があったんだい?』


 (ああ、俺もよく分からないんだがグリフォン討伐に来た時にな、グリフォンが馬車を襲ってたんだ。で、しかもその馬車が普通の馬車じゃなくて明らかにお偉いさんが乗るような豪奢な馬車だったんだよ)


 『豪奢な馬車?もしかしてその馬車盾に薔薇の花弁が散らされたようなエンブレムが描かれていないかい?』


 (盾に薔薇の花弁?ちょっと待ってくれ・・・)


 綾人は馬車を降り馬車の外装をもう一度確認する。・・・無い、四方から見て回ったが何処にもそんなエンブレムは無かった。


 (無いぞ?)


 『無い?だとしたらその馬車は何だい?街への貴族や商家の出入りは大方把握しているんだが・・・本当にないのかい?この前見た限りではドアにエンブレムが描かれていたと思うんだが』


 (あー、ドアかそりゃ全体見ても無い訳だ)


 綾人は地面に落ちているドアに目を向ける。そこにはフレリックが言った通りの盾に薔薇の花弁が散らされたエンブレムが描かれていた。


 (あったぞ、確かにギルマスが言った通りのエンブレムが描かれている)


 『何故ドアに描かれているエンブレムを見つけられなかったのか些か疑問だがまあとりあえず置いておこう。そのエンブレムが描かれているということはイクシルベニア侯爵家だね。馬車に乗っていたご令嬢は大丈夫だったのかい?』


 (ああ、いや、無事と言っていいのか分からないが、最初見た時全身が震えて呼吸が乱れていたが『ヒール』をかけたら治った)


 『全身の震えと呼吸の乱れか、それはグリフォンを倒した後の事かい?』


 何か分かったようでフレリックは綾人に問いかける。


 (グリフォンを倒す前の状態を見ていないから分からないが、少なくとも俺が彼女を見つけたのはグリフォンを倒した後だな)


 『そうか周りの侍女や護衛達も同じような症状が出ていなかったかい?』


 (ああ、出てたな)


 『ということはやっぱり・・・心配する必要は無いよ。それはきっと瘴気に当てられただけさ』


 (瘴気?)


 『そう、瘴気。瘴気というのは魔物を倒したときに発生する汚染されたマナの事さ。高ランクの魔物だとその瘴気の量や濃度が桁違いで強い耐性を持っていないと大抵今アヤト君が見たような症状を引き起こす』


 (なるほどそういうことか。別に命にかかわるものではないんだな?)


 『うん、だから心配をする必要はないと言ったんだよ。で、態々連絡してきた理由は一人じゃ全部は運べないから人員を寄越してくれってところかな?』


 (確かにそういうことだがよくわかったな?護衛が強ければけが人はそんなにいないかもしれないんだぞ?)


 『イクシルベニア侯爵家は当主がとても温厚な人でね。統治している領の平民や貴族間でも結構支持のある方なんだけど、温厚な故に訓練もあまり厳しくしないように指示しているらしくてね。私兵があまり強くないんだ』


 (よくそんなことまで知ってるな)


 『貴族の事情を知るのはこの世界では大切だよ?』


 (この世界、ね)


 やっぱりまだ『偽装』スキルを上げてないときの段階で『転生者』の称号を見られていたのだろう。ギルマスにあった時はまだ称号は開放されていなかったはずだが本人に称号が効力を発揮しないため本人には見えないが『鑑定』持ちの他人だと見えるのかもしれない。


 (まあとりあえずそういうことだ。そっちから送ってくれる人員が来るまで俺は護衛達の応急処置をしておく。後グリフォンは俺が運ぶからそのための人員はいらない)


 『了解。じゃあすぐに準備して向かわせるよ』


 (ああ、頼むそれじゃ)


 綾人は『念話』を切り、散らばっている護衛達に目を向ける。その中の一人を少女が手に緑色の魔法陣を浮かべて治療している。その様子はさながら聖女のようだった。

 

 綾人はゆっくりとベルに近付いていく。


 「どれくらい治療した?」


 綾人はベルの真後ろに立ち声を掛ける。


 「は、半分は、治療、しました」


 ベルは途切れ途切れに言う。何故途切れ途切れかというと、もうMPがほとんどないからだ。MPが減ると人体に疲労を及ぼす。MPとは常に体中を巡っているエネルギーの事なのでそれが枯渇すると人体の耐久は下がり病気などの状態異常への耐性も下がる。さらにMPが0になれば気絶してしまい、意識が無く体の耐久も低いという最悪の状態に陥ってしまう。


 「交代だ後は俺がやるからあんたは休んでろ」


 「しかし、あなた街への連絡は?」


 「もう終わった」


 「へ?いや、あなた馬車の周りうろうろしてただけじゃないですか?」


 (見ていたのか、まあ俺が侍女に何かしないとも限らないしな)


 「『念話』だよ。リルクの冒険者ギルドのギルドマスターに『念話』で連絡した」


 「『念話』!?どういうことですか?『鑑定』に加えて『念話』もだなんて。あなた今何歳ですか?あなたは一体何者なんですか?」


 綾人はまあ当然の疑問だよなと思った。ベルからしてみれば自分と同じくらいの年齢のはずなのに子供ではありえないスキルポイントの量、グリフォンを倒したと言い張り最初は有り得ないと思っていたのに、どんどんその信憑性が上がってきているのだ。


 「俺は綾人、ただのリルクの冒険者ギルドに属するEランク冒険者」


 「有り得ません、Eランク冒険者が『鑑定』なんて使えるはずがありません。グリフォンを倒すことだって無理です」


 「俺がグリフォンを倒したってことは認めてくれるんだな」


 「今この状況を見たらそう判断するしかありません。我が家の護衛はグリフォンを倒せるほど強くありませんし通りすがりのAランク以上の冒険者が倒しただなんて仮設も現状ここにいるあなたが倒したという仮説よりも信憑性が低いです」


 「まあ、仮説じゃないからな」


 (なんかこの世界の子供やけに頭がいいな。ルナも知識はそこまで無い様だが考え方は賢い子供のそれだ。今目の前にいるこのベルも貴族の教養のおかげだからなのかは分からないが、状況把握能力 理解力、思考力、どれも高いと言える。情報の秘匿が難しそうな世界だ。皆あのドバイだかドゴンだか覚えてないがあいつレベルの思考力だったら情報の秘匿が簡単なんだけどな。いや、やっぱりあんなのばっかりだったら世界が終わるな。うん)


 「とにかく交代だ。俺が態々あんたに情報を教える義理はないしあんただって自分の情報を明かさなかっただろ。イクシルベニア侯爵家のお嬢様」


 「な、何故それを知って・・・」


 「さっきギルマスから聞いた」


 「そうでしたか。確かリルクの冒険者ギルドのギルドマスターは相当賢い方だとお父様が言っておりました。賢すぎて食えないやつだとも。私がリルクに来ることを知っていてもおかしくは無いでしょう」


 確かにあのギルマスはめんどくさそうだ。敵には回したくないよな。


 綾人はそれを聞いて何も答えず話は終わりだというようにまだ治療をしていないベルの護衛の下に向かった。

切るところが見つからなくて少し長くなりました。

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