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あっ、これ最強だわ  作者: 白銀次
第一章 リルクの街
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グリフォンの後処理(中)

 綾人は馬車に向かうため立ち上がる。女騎士には申し訳ないがちょっと地べたに寝かせておく。そういえばさっき『ヒール』を掛けた時から全身の震えは止まっているようだ(ステータスをいじっている間にまた女騎士は気絶して俺に全体重を預けていた)。この女騎士だけの異常なのかと思っていたがそこらへんに倒れている騎士たちを見ると同じように震えていた。


 後で『ヒール』を掛けてあげようと思いつつ馬車に向かって歩いて行く。


 馬車に向かっていく途中で分かったがやはり中に誰かいるようだ。気配的には二人、いや三人か。眠っているのか気絶しているのか分からないが(おそらく後者だろう)人体が活性化していないため気配が読み取りずらい。流石に性別までは分からなかった。


 馬車は倒れてはいなかったが一度グリフォンの攻撃を受けたのだろうめり込むような傷跡がついている。そのせいでドアが変形してしまっていて普通の人が開けるのは困難だろう。


 歩きながら馬車の状態を確認し終えた綾人は馬車の目の前についてすぐドアに手を伸ばした。案の定普通に押したり引いたりしてもびくともしない。


 (壊すか?いくら戦っていたからとはいっても騎士たちは全員同じ症状を引き起こしていた。馬車の中にいるからと言って同じ症状を引き起こしていないとは言い切れない。あの全身が震えている症状が何で起こっているのか分からないが、人体になんらかの害が生じているのは間違いないだろう。俺は『女神の加護』で状態異常に完全な耐性があるから大丈夫だが、いくら俺の低級な『ヒール』で治っているように見えても表面に出なくなっただけで体の内側では異常が進行しているのかもしれない。考えすぎかもしれないが。命が危険かもしれないときは考えすぎなくらいに考えた方がいい。とにかく流石に放っておくことはできないし、馬車を弁償しろと言われても弁償しなくていいように言い負かす自信はあるからな。)


 綾人はドアが歪んで出来ている隙間に指をねじ込む。そしてそのまま力任せに思いっ切りこじ開ける。


 ガチャアァン!!!


 綾人の力が強すぎたのか、鉄でできた蝶番が千切れてしまっている。位の高い人物ように作られているのだからそれなりに頑丈なはずのドアが綾人の触れていた部分だけ粉々になる。


 そして綾人が中にめを向けると・・・


 「・・・」「・・・」「・・・」


 三人の女が寝ていた。内装はドアの反対側に窓がありその窓を中心として左右に二人が座れる席、つまり四人乗りの馬車。その片方に、二人はおそらく侍女だろう給仕服のようなものを着た若い女性がいる。二人ともそれなりに美人だ。だが綾人の目はもう一人の女性、いや少女に向けられていた。というよりも無意識に目を引かれ見惚れたまま呆然としていた。


 肩から腰ほどまであるだろう金色の流れる様な髪、色白で見ただけですべすべなのが分かる肌、瞳は瞑られていて色は分からないが瞼から伸びる長い睫毛、整った目鼻立ち、輪郭。女神であるリアーナにすら引けを取らない絶世の美少女が眠っていた。


 「・・・はっ!つい見とれてしまった。俺にはルナという存在がいるというのに。・・・いやでもこの世界は一夫多妻制なのだろうか?だとしたら別に他の女性に懸想するのは悪いことじゃないんだろうか?まあでもまだ日本の常識とか、価値観とかが残ってるからするかと言ったら微妙だな。しかしハーレムは男のロマンだよなぁ。ってそんなこと考えてる場合じゃないな。やっぱり、外の騎士たちほどじゃないが体全体が震えているな」


 三人とも体全体が騎士たちよりは震えが小さいものの同じように震えていた。


 綾人は馬車に乗り込み、美少女の前に立つ。そして・・・


 「『ヒール』」


 これで起きてくれたらちゃんとこの原因不明な症状に効果があると分かって安心できるんだが。


 「おーい、起きろー・・・あっ」


 頬をぺちぺちしながら呼びかけると突然少女の目がパチッと開いた。その目はルナと同じ、宝石のような紅だった。


 「あな、たは?」


 少女が少し警戒の色を含んだ目で誰何してくる。


 (なんて答えよう?こんなこと聞いてくるのは予想できていたのに答えを用意していなかった)


 綾人は少女の容姿にに気を取られてしまいそんな簡単なことを考えるほどの思考力すら失っていた。『ヒール』を迷わずかけたのは馬車に入る前からその行動を決めていたからで、自分に誰何してくる返答は相手によって変わるため馬車の中を見てから決めようと思っていたのだ。だがそこで彼女の容姿に気を取られ質問の返答を考えることなく予め決めていた行動を起こし今に至ってしまった。


 (どうしよう、なんて答えよう。やばいてんぱって頭が働かない。そうだ、こういう時のための『高速思考』じゃないか。『高速思考』を行使。よし、これである程度の時間の猶予が出来た。とりあえず落ち着こう。そう、こういう時は円周率を数えるんだ3.1415926535・・・ふう落ち着いた何となくある程度の桁数覚えといてよかった。意外と効果あるんだな。で、ええと俺は誰か、か。うーん俺って何なんだろうな?馬鹿正直に転生者なんて言ってもただのバカだと思われるだろうし、そもそも言うつもりもないし。ここは無難に冒険者でいいかな。うんそれでいいだろ、この世界で俺が立場として確立してるものって冒険者とルナの彼氏ってことぐらいだからな)


 「冒険者だ」


 「冒険者ですか。お名前は?」


 少女は毅然とした態度で聞いてくる。


 (意外と冷静なんだな。それとも今の状況を理解していないんだろうか?別に名前を教えるぐらいはいいが、今この少女の目には俺しか映っていないようだ。まだ意識が覚醒したばかりでぼやけているのか?とりあえずこの少女にばかり構っている時間はない。・・・いやまあ勝手に時間使っているのはどっちかって言うと俺なんだけど。ああ、もういい、そもそも俺はあまり女の子と話すのが得意じゃないんだ。さっさとこの子に状況を教えて、その後どうするかは彼女次第、俺はギルマスに連絡する。以上!)

 (中)って書いたけど次の話で終わるかとっても不安です

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