イチャイチャってほどでもないけどイチャイチャ
目が覚めた。まだ意識が覚醒しきっておらずぼんやりとした頭で考える、いや、考えようとしたがそれを遮るように喚き声が聞こえた。
「アヤドぐーん!!!よがっだー!!!めーざまじだー!!!」
喚きというか嗚咽まじりの絶叫のような声を聞かされれば否が応でも意識が覚醒する。覚醒したが、今は何か考えたところで意味を成さないだろう。とりあえず声の持ち主を宥める。
「落ち着けルナ、俺は大丈夫だから。心配掛けてすまなかった」
上体を起こし泣いているルナを抱き寄せ、頭を撫でながら声を掛ける。
「ふえーーーん!アヤドぐん、突然苦じぞうに叫んで、倒れちゃったから、しんぱ、うっ、しんぱ、うっ、うえーーーん!」
「ごめんな、ごめんな。もう大丈夫だから」
俺はルナが落ち着くまでずっと頭を撫で続けた。
・・・
ルナが泣き止んだので離れようとすると服を引っ張られた。無言で見つめてくるルナが何を言いたいのか分からないほど鈍感ではないので、ルナに寄り添う感じで座り直す。ルナはまだ鼻をすすっている。すると、ドアがノックされた。
「入るよー」
ジーナさんの声が聞こえた。
「どうぞ」
ドアを開けてジーナさんが入ってくる。両手には鍋を乗せたお盆を持っていた。
「おかゆ作ったけど食べられるかい?」
この世界にもおかゆってあるんだな。っとそんなことを考えてる場合じゃない。
「お手を煩わせてしまってすみません」
「まったく、子供が遠慮するもんじゃないよ」
優しい人だな。俺はただの得体の知れない子供でしかないだろうに。
「では、いただきます」
俺がそう言うとジーナさんはルナにお盆を渡した。そして部屋を出ていく前に、
「ごゆっくり」
と言ってニヤニヤしながら出ていった。
ああー、最後のが無かったら、優しい人の烙印は落ちなかったのになー。いや、これは流石に失礼だな折角作ってくれたんだ感謝していただこう。
「じゃあルナ、食べるからそれ頂戴・・・えーと、ルナさん?」
お盆をもらおうとしているのだがルナは渡そうとしない。いや、勿論何となく分かってるよ。でもさ、あれ絶対恥ずかしいじゃん。ああ、もうそんな目で見ないで!まあ、どんな状態でも逃げ切れるとは思ってないんだけどね。
俺が手を離すとルナは鍋の蓋を開けた。美味しそうな香りが漂ってくる。一緒にお盆に乗っていた木製スプーンでおかゆをすくう。そして、そのスプーンをふうふうして俺の口に近付けてくる。
口すぼめてるの可愛いなー。えー、何でこっちに腕伸ばしてるんだろうー(棒)。
勿論こんな現実逃避は何の意味も成さない。そもそも声に出しているわけでもなく、頭の中で喚いても現実には何も変化はない。
「はい、あーん」
おとなしくするしかないかなー?ちょっと抵抗しよう。
「いや、自分で食べるから大丈・・・」
「あーん」
問答無用らしい、大人しく従うか。
口を開ける、スプーンをルナが口に運んでくる。
温かい、どれくらい意識を失っていたんだろう。お腹が空いていたのか元の世界で食べた時より、おいしい気がする。ああ、でも最後におかゆ食べたのなんていつだっけ?
さっきまで頭の中が葛藤に包まれていたとは思えないほど、思考が落ち着いていた。まあ、俺の心中は穏やかなのだがルナは頬を赤らめている。ルナの羞恥心はどこに反応するんだろうか?俺に抱き着いた状態でちゃかされても恥ずかしがらなかったのに何故あーんで恥ずかしがるんだろう。
まあいいか、可愛いし。そのままルナは無言であーんを続けてくれた。頬を赤らめながら。
・・・
「で、何があったの?」
まあ、そりゃあ聞かれるよなー。どうしようか、素直に答えたところで伝わらないだろうしな。でも、誤魔化しも思いつかないからなー。
うーん、頑張って誤魔化すかー。
「俺にも分からないんだよ。突然頭が割れるような頭痛に襲われて、いつの間にか気を失って、気付いたのはさっきだ」
別に嘘は言ってない。何で情報が大量に入ると脳に負担がかかるのかなんて知らない。え?屁理屈?だったら何?嘘じゃないでしょ?逆に説明できるの?
「そっか、まあ心配だけど今は大丈夫なんだよね?」
「ああ、大丈夫だ」
「分かった。でも、何が原因かは分からないけど無理はしないでね」
「ああ、約束する」
「じゃあもう今日は遅いから寝よう」
「そうだな、おやすみ・・・ルナー?何で部屋から出ようとしないのかなー?」
「一緒に寝るに決まってるじゃん」
「決まってるじゃんじゃねえよ。俺の意思は!?」
「嫌なの?」
そんな上目遣いで言われたら嫌とか言えるわけないだろ!いや、普通に言われても断れないんだけどさ。
俺は返事をせずにベッドに入った。ルナも何も言わずにベッドに入ってきた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
寝た訳ではない、でも無言の時間が続く。
横でごそごそと音がしたと思ったらルナが密着してきた。俺は今ルナに背を向ける形になっている。なのでルナが背中から抱き着いてきている感じだ。
「・・・ルナ?」
「・・・・・・」
呼びかけても返事はない。たぶんここから会話が発生することはないだろう。
そう感じたので俺も何も言わないことにした。意識が微睡に包まれ、眠りに落ちるまで背中にルナの体温を感じ続けた。
綾人君はロリコンじゃありません!
一応設定としては記憶が持ち越されているだけで、精神の感じ方は身体年齢と同期していますから。




