ギルマス
ルナとともにシクナ草の群生地に到着した。シクナ草の群生地は街の東側にあるトリナ森林という街を出てすぐにある森林の中にあった。
それっぽいものをちぎって鑑定してみる。
シクナ草
トリナ森林で採れたシクナ草。初級回復薬に使われる。
なるほど、回復薬なんてのもあるのか。ゲームで言うポーションだな。
鑑定を終えたところで採集を始める。数は五本で大銅貨一枚らしい。ここには相当な数があるので結構稼げるだろう。たくさん採集出来るように、ルビアに言って大きめの革袋を借りておいた。ちなみに五本持っていく毎に依頼を一つ達成したことになるらしい。
FランクはFランクの依頼を五十個達成すればEランクに上がれるらしい。多いような気もするが今やっている薬草採集の依頼みたいなのは常時ある依頼で結構簡単にEランクに上がる。まあ簡単な話薬草を250本採集すればEランクに上がるってことだ。
早速採集に取り掛かる。
・・・
びっくりするほど何もなかった。本当に何もなかった。唯々ルナと一緒にシクナ草を採集しただけ。魔物の一匹も出て来ない。
どういうことだ!こういうのはただ薬草採集に来ただけなのにー!てなるところだろ!なんで何も出て来ないんだよ!もっと頑張れよファンタジー!
心の中で毒づく。まあ、これ現実だしね。そう考えて納得する。
二人でやると250本結構早く採集し終わった。俺とルナは今パーティーになっていて依頼の達成が二人ともに入るらしい。これ高ランクの冒険者に寄生したらすぐにランク上がらないか?と思ったら、
「低ランク冒険者は高ランク冒険者と組まない。高ランク冒険者は低ランク冒険者を誘わないっていうのがギルドの暗黙の了解になってるんだよ」
とルナが教えてくれた。そういえばルナは依頼を受けるときに一緒に冒険者登録した。
「じゃあ採集終わったから帰るか」
「うん!」
・・・
冒険者ギルドに戻った後、シクナ草を換金してEランクに上がった。
ランクが上がったし、金も銀貨が25枚入った一日で25000円か相当稼ぎよくないか?危険な魔物と戦ってお金貰うより安全な薬草採集で稼いだ方がよくないか?いや、俺は折角転生してきたから魔物と戦ってみたいし、いろんな人間以外の種族を見てみたいからそんなつまらないことはしないがな。
そんなことを考えていると、
「君がアヤト君かい?」
後ろから声が聞こえた。
全く気配がしなかった。レベルが上がって俺の危機察知能力は相当高い。その俺に気付かれずに俺に背後から話しかけた。俺より強いな。背後から気配を消して近付いたのはわざとだろう。自分の方が強いということを俺に示すために。
「誰だあんたは」
さり気なくルナを後ろに庇いながら聞く。
「ははは、そんなに警戒しないでくれ」
「背後から気配を消しながら近付かれたら警戒するのは当然だと思うが?」
「確かにそうだね。失礼したよ。僕はギルドマスターをやっているフレリック・カートルという」
男は丁寧に腰を折って自己紹介してきた。
「・・・綾人だ。それで、ギルドマスターが俺なんかに何の用だ」
「俺なんかって、君がもうこのギルド内で結構な有名人なのは自分でもわかっているだろう?」
まあそりゃあ、大分やらかしたからな。異世界チートものの情報の秘匿という当たり前のことを異世界転生に興奮しすぎて変なテンションになっていたせいですっかり忘れていた。
「だとしても、俺はさっきEランクになったばかりだぞ」
「確かにそうだね。でもギルドマスターって権限でランクBまで上げられるんだよ」
「・・・ここじゃ人目が多いんだが」
やはりギルドマスターは目立つのでここでは交渉はやりにくい。
「そうだね。じゃあ場所を移動しようか」
「ああ」
ギルドマスターが歩き出す。それについていく(勿論ルナも一緒に)。
・・・
「ここは僕の執務室だよ。防音機能はギルドで一番高いから誰かに聞かれる心配はないよ」
「そうか・・・じゃあ交渉を始めようか」
中に入ると長テーブルが一つあって、長テーブルの周りに椅子が四つ置いてある。奥にはデスクと少し豪華な椅子があった。まるでよく見る社長室みたいだな。
ギルマスは椅子に座ると俺たちにも座るように仕草で促してきた。
俺がギルマスの前に座りその横にルナが座る。
「さて、早速だが本題に入らせて貰うよ」
「俺に何をしてほしい?」
少し間を開けてからギルマスが言う。
「・・・君にはある魔物を討伐してほしい」




