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王族に転生した俺は堕落する  作者: かぐや


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第97話 身体強化の神髄をみたり

「エルフの国を出てきて良かったのら」

 サツマイモで作ったチップスを食べながら、【ステップ】を読み、喉を潤すためにコーラを飲む。俺の理想とする怠惰な生活をエミーリエがおくっている。

 俺がそれをおくれないのは、いまだにオリジナルの漫画ができていないからである。 

 しかし、エミーリエが来てくれたことで、俺の複製の業務が減ったし、翻訳版の売れ行きも上々である。 

 今日はトキワ亭にて、全員に次に描くストーリーを話しにやってきていた。ストーリーを聞いた各々は自分の部屋に戻って執筆を始めている。

 ニコルも執筆作業で作業部屋で次の話を描いている。ちょうど作りたいものがあったので、今日の昼ごはんは俺が作ることにしよう。

 エミーリエは今は仕事がないということで、キッチン部屋の椅子に座ってくつろいでいる。

 

 「これはどういう仕組みで人が小さくなってるのら?」

 ニコルさんの作品である【ゴレえもん】の内容を原作者である、俺に聞いて来る。

 「そういう細かいことは考えてないね。こんなことやあんなことができたらいいなって願望をこのゴーレムが叶えてくれるっていう話だからね。どうやったら作れるかなんてことは考えてないんだ」

 「なるほどなのらね。クソザコ人間がこんな発明を考えているかと思ったのら。恐怖を覚えるところだったのらね。そんなことなら、私も話を考えてみたいのら」

 「その話なら考えてくれてもいいよ。1話読み切りだから、それに応じて原作料を渡すよ」

 「いいのら? じゃあ、中に入るとグラマラスなボディを手に入る道具なんてのはどうなのら?」

 そういう道具が欲しいということか。エミーリエは子供みたいな体型だからな。

 「う~ん。まぁ、なしではないかな。それで、どういう話?」

 「話は考えてないのら」

 「それじゃあ原作料は渡せないね。道具だけなら、誰でも考えつくからね。その道具を使って楽しいエピソードと失敗するエピソードを考えて、上手い具合に1話にまとめて初めて原稿料を渡せるかんじだね」

 「むむむ、難しいのら」

 「まぁ考えついたらいつでも教えてくれれば、出来が良ければ採用するよ」

 「分かったのら。考えてみるのら」

 エミーリエは眉間に皺を寄せて考え込んでいる。

 俺はそんな彼女を横目に見て、解体されたクックドゥワンを闇魔法を使って鞄から取り出す。

 この前行ったクックドゥワンの討伐で、羽をとったり血抜きをしたりという作業はバット君とロビンちゃんがやってくれた。

 4人で分けたあと、バット君とロビンちゃんは木に括り付けて全部持って帰っていた。俺は鞄の中に入れて持って帰った。エドガエル君のも俺が持って帰っている。

 冒険者ギルドに持っていって、またクックドゥワンを買ったら、手数料を取られて損してしまうので、自分で使うということで、俺達の取り分は持って帰ることにしたのだ。

 今日作るのは、あの懐かしの味フライドチキンである。65歳のおじいちゃんが発明し、全世界に広めたというあの味を再現するのだ。各種取り揃えたハーブで味付けをして、卵液と小麦粉につけてカリっとあげる。ジャンクフードのキングだ。

 あとはパンとハンバーグを挟んでハンバーガーを作るとしよう。


 ひとまず、調味料を混ぜ合わせたものを何種類か用意して、試行錯誤をしていかなければならない。完璧とまではいかないまでも、大分味を再現したい。そんなことを考えていると頭の中に声が響く。


 『最近、新作のスウィーツ作りを怠っているんじゃあないかしら』


 俺がフライドチキンを作り始めようとしたら、光の妖精リンネが俺の周りに現れた。


 『いや、そんなことは………あれ、たしかに、最近つくっていない?!』


 たまに、スイーツをねだるために顕現していたが、新作はねだられていなかった。

 『まぁ、私も密かにダイエットをしていたからね。新作は我慢していたのよ。新作を味わってしまうと、歯止めが利かなくなってしまうからね。しかーし、あなたと違って私はダイエットに成功してしまったの。どう、このグラマラスなナイスボディーを』

 『な、なんだって!! た、たしかに、お腹が引っ込んでいる、だと』

 しかし、まったくグラマラスだとは思えない。

 『むふー。と、いうわけで、心置きなく食べることができるというわけなのよ。分かったなら、新作をよこしなさい』

 よこしなさいと言われて、はいと言うほど俺は人間ができているわけではない。

 『いや、最近光魔法はあまり使ってませんし………』

 『むー、そういえば最近は無属性魔法の練習をしているみたいね』

 『そうですね。身体強化を使って素早く動いたり、攻撃力を高めたりしてますね』

 『そんなことをしなくても、光魔法の【インビジブル】を動いた瞬間にもっと滑らかに発動することができれば、相手には超スピードで消えたように見えるわ。それに光魔法なら、身体強化魔法でできる攻撃を遥かに超える攻撃を遠隔からすることができるのよ。無属性魔法を使う意味がまったくないじゃあないのかしら』

 『なる……ほど………。そんな考え方も……』

 しかし、ある程度は機敏に動けるようになるのはみんなが持っている憧れみたいなものである。

 『あなたはびしばし光魔法を使う。そして、私はばくばくスウィーツを食べる。お互いウィンウィンの関係を築いていかないといけないんじゃあないかしら』

 『………でも今日はフライドチキンを作ろうと思っていたからな……スウィーツの用意が…あっ!! あれならいけるか』

 『流石ね!!! もう思いついたようね!! 流石私が見込んだニンゲンだわ!!』


 小麦粉と砂糖と卵とバターで生地を作り、丸めて油であげる。材料はフライドチキンを作るために用意していたものと全く一緒である。きわめて簡単なお菓子。その名もサーターアンダギー。その食感はフライドチキンの食感に少し似ている。味は全く異なるものではあるが。外側はカリッと甘く、中はしっとりと甘い。


 俺はさっと作って10個ほど揚げる。


 『できたぞ』

 『簡単にできたわね。手を抜いたんじゃあないわよね?』

 『まぁ、手を抜いたかどうかは、食べてみるといいよ』

 リンネの身体より大きい丸いサーターアンダギーを皿に一つおいて、リンネの前に差し出す。

 『あっっつ』

 『できたてだからね。冷ましながら食べたほうがいいかも』

 『あ、なんかカリッとサクッとして、クッキーとは違った食感だわ。何より甘い。あっ、中はふわっとしてスポンジケーキみたいだわ。けど、スポンジケーキよりも甘味を感じるわ。これは一人で2回攻撃ってやつね。コーラよ。コーラが飲みたいわ』

 俺はコーラをリンネに差し出す。

 『ぷはー。これよ、これ。この、すっきりとしたのど越し、甘さで口の中の甘さにバフをかけようって魂胆ね。はー脳みそが蕩けてしまうわー。星3つよ!!』

 リンネはコーラとサーターアンダギーをいったりきたりと大忙しである。


 「何を作ったのら? それがお昼ご飯なのら?」

 エミーリエが俺が作ったものに興味を持って尋ねてきた。

 「いや、これはお菓子だね。小腹が減った時用に、作ってみたんだ。食べる?」

 「食べるのら。ここで出される料理はジークフリートが考えているって聞いたのら。料理の才能は認めるしかないのらよ。ここ以外の料理は食べる気がしないのら」

 「ここではジークフリートではなくグリフィスって名前で呼ぶように言ってるでしょ」

 「あっ、そうだったのら。すまないのら」

 俺はエミーリエに残りの9個が入った皿を差し出す。

 1つ掴んで齧る。どうやら、もうそれほど熱くはなくなっているようである。


 「甘い、甘いのら。サツマイモとは違うガツンとくる甘さなのら。食感も面白いのら。一口目は香ばしい油の香りとザクッとした歯ごたえ、そして中身はふんわりとして簡単に噛み切れるのら。間食には丁度いいのら」

 「あー、何か匂いがすると思ったら。グリフィス様が何か作ってる。言ってくれれば私が作りましたのに」

 エミーリエがサーターアンダギーを食べていると、キッチンの部屋にニコルが入って来た。

 「今日はちょっと作りたいものがあったからね。昼は俺が作るよ」

 「そうなんですか? というか、新作ですか? ぜひ私にも手伝わせてください」

 「そう? 原稿で忙しければ、今日は手伝わなくても大丈夫だけど」

 「いえいえ、私は皆より締め切りに猶予がありますから、遅くても大丈夫ですし、何より新作のレシピとなれば手伝わないわけにはいきません」

 ニコルが燃えている。原稿作業に掃除などで忙しいはずなのに。

 「そう、それなら手伝ってもらおうかな」

 「ええ、ぜひ。このエミーリエさんが食べているものが、昼ごはんですか?」

 「それは違うよ。小腹が空いた時用のお菓子だね。ちょうど材料が一緒だったから作ってみたんだ」

 「な、なんてことなの……新作のお菓子を逃すなんて……使用人としてなんたる失態」

 「簡単につくれるから、作り方は聞くだけで作れるようになるよ。それで、今日はこのクックドゥワンを使った料理を作ろうと思っているんだ」

 俺はキッチンの方にあるクックドゥワンを手に取り、二コラの方に向き直る。

 「そうなんで……もぐ……すか?」

 「……もぐ……すか?」

 「すいません」

  俺はエミーリエの前にある皿に目をやる。そこにはサーターアンダギーが7個になっていた。

 「おいおい、エミーリエ、もう2個も食べたのか? そんなに食べると昼ご飯が食べられなくなるぞ」

 「まだ1個しか、食べてないのら」


 俺はリンネの方に目をやる。まだ自分より大きい1個のサーターアンダギーを一心不乱に食べているところである。

 なんということだ。俺でなきゃ見逃しちゃうスピードでつまみ食いをする二コラのスピードが、とうとう限界突破したというのか。いつだ、いつ、つまみ食いをしたというのだ。いや、あの時俺は二コラの方から視線をきって、クックドゥワンの方をみやっていた。つまりはその刹那の時間でつまみ食いを敢行したということか。

 まさか二コラは天性の身体強化能力を発揮したというのだろうか。


 恐るべしニコラ………

 

 俺でも見逃しちゃうスピードにレベルアップを果たすとは………


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