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第68話 進撃

「………であるからして、魔法で作った土壁なんかは魔力の供給を切ると消えてしまうのじゃ」


 今日はラズエルデ先生に土魔法を教えてもらうために屋外で訓練している。


「それなら、土魔法で家とか創り出すことはできないんですか?」


「そうじゃな。魔力の供給ができるくらいの規模なら一日くらいは持たすこともできるが、ずっと暮らすようなものは創ることはできないのじゃ。自然にあるものを魔法で加工したなら別じゃがな。畑で練習しておったのは土を創り出すんじゃなく、そこにある土を操るものだったわけだから、それを応用できれば家を建てることができるんじゃが、家の設計はなかなか難しいからのぅ。土の重みで壊れてしまうこともあるから、素人は手を出さんほうがいい。作った家に寝ている間に壊れて押しつぶされて死ぬなんてこともありえる話じゃからのぅ」


 土地だけ買って、建物を魔法で建てるのは難しそうか。この前指から出した鎖も魔力の供給をやめたら霧散してしまったからな。作り出したものを売ることもできねぇ。


「お主が土魔法の創造に成功したということで、今日は土を創造して行う【サンドスロー】と【ストーンバレッド】を教える」


 俺は【土類元素魔法】を使えるようになったので、ラズエルデ先生に土魔法の段階が【操作】から【創造】へとステップアップしたことを伝えたのだ。そして、こうして【創造】に関する初級魔法を教わっているというわけだ。


 ラズエルデ先生は【サンドスロー】と【ストーンバレッド】の要領を実演をふまえながら解説してくれた。

 【サンドスロー】は創出した砂を相手にかける、いわば目潰し的な魔法である。

 そして、【ストーンバレッド】は石礫を創出して、相手に弾丸のように射出する魔法だ。


「では、やってみるがいい。初めは上手くいかないかもしれないが、めげずに頑張るのじゃ」


 俺は【サンドスロー】と【ストーンバレッド】を発動させる。少し教えと違うのは、俺が想像したのは元素番号14番ケイ素の構造である。それを空気中の酸素と結び付けて二酸化ケイ素を創造する。


 それを粉末状にして、前方へと飛ばす。

 そして、石礫を想像して、こちらも前方へと飛ばす。


「?!成功じゃ………一発で成功させるとは!! しかし、なんじゃ? これは? 白い土じゃと?」


 そうである。俺の土魔法は先生の茶色い土や灰色の石とは違い全部白い土が生成されるのだ。


「こ、これは! ペロリ」

「???」


 先生は俺の創出した砂を舐める。それが青酸カリだったら死んでるぞ。いきなりどうしたんだ、先生。


「この味は、石英……?」


 まさかの味で鑑定したというのか? 土の状態を診るのに、土の味を確かめる農家がいると聞いたことがあるが、まさか、それなのか。【キングオブイモ】の称号は伊達じゃないということか………


 俺は鉄の鎖を産み出した後、土も産み出してみようと試したところ、上手くいかなかった。そこで【ゼルシャ】に教えてもらった方法で土を産み出すと、このような白い土になってしまったのだ。それが石英だったということか。

 【ゼルシャ】はあの後、こうなれば後10年やそこら、あまり変わらないということで納得してもうことになった。意識を切って眠った状態でいれば、10年なんてあっという間だそうである。


「どうして石英が?」


 ラズエルデ先生は俺の魔法に疑問を抱いている。


「王族の血がそうさせているのかもしれません」


 【ゼルシャ】のことは先生にひとまず秘密にしておこう。ズルしてるみたいで嫌だからな。


「う~む。ヨハンの土魔法は白くなかったような………」


「お兄様は天才ですから、普通の土魔法も両方できるんじゃないでしょうか。僕は不器用ですから、この白いのしか無理ですけど」


「ヨハンならさもありなんじゃな。ひとまず、このまま訓練は続けるとしようかのぅ。何故石英が産み出されるかは、私も調べておこう。では、次は【土壁(ウォールマリア)】じゃ。これは相手の攻撃を防ぐ絶対防壁じゃ。どれだけ滑らかに発動できるかが、生死を分ける場面で重要になってくるのじゃ。頑強な【土壁(ウォールマリア)】は一つ目の巨人【サイクロプス】の蹴りをも防ぐのじゃ」


 俺はその後いくつかの土魔法を教えてもらって、授業は終了になった。


「ありがとうございました」


「う~む。ヨハンに言われても半信半疑じゃったが、本当にお主には土魔法の才能があったのぅ。ここまで簡単に土魔法を習熟していくとは………これは【キングオブイモ】の称号を譲る時が迫っているのぅ」


 げっ!! その称号はいらぬでござる。


「いやいや。こんなに土魔法ができるようになってるのは、先生の教え方が上手いからですよ。それに、まだまだ、僕は知らないことが多いですし。自分の白い砂の成分が石英だったなんて、先生に言われるまで気づきませんでしたよ。まだまだ先生の足元にも及んでおりません」


「そ、そうか」


 ラズエルデ先生は満更でもなさそうに照れている。


「それで、このあとなんですけど………」


「ヨハンから聞いておる。不動産を見に行きたいらしいじゃないか。すでに外出許可はとってある。このまま出かけるとしようかのぅ」


「はい」


 俺達は王都の不動産会社へ繰り出した。



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