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アンジュ・ス・バートル  作者: Jyona3
ー第1章ー
8/55

愉快な仲間達

昨日は、仕事の都合で更新できませんでした。すみません。

 

 夢を見た……



 実家の床の間に置かれた棺。

 その中で寝ている私。

 泣いている家族。



 後ろから、テレビの音が聞こえる。



「昨夜未明、部屋でゲームをしていた女性が強盗に後ろからハンマーで殴られ死亡するという強盗殺人事件が…………


 殺されたのは、都内に住む『望月聖羅』さん32歳……



 そこで夢は途切れた。



 ◆◆◆



「…………ラ様…………セイラ様…………起きろ! ロリっ子!」


 エドモンドの声で目がさめる。


 悲しい夢を見ていた気がするが、夢の内容は覚えていない。身体が重い。


 私はゆっくりと身体を起こす。


「起きて下さい。時間ですよ。」


「ねぇ……エドモンドさっき私の事「さあ! カースス王国に行くのでしょう? 早く準備しましょう。」


「………まぁいいや。よち! 準備。準備!」



 グギュィーウ!



 部屋に私の腹の爆音が響く。



 ーーーそういえば、昨日から何も食べていない。



「お腹しゅいたー。エドモンド、何か食べ物もってない?」


「いえ、何も持ってません。」


「昨日採ってきた薬草でも食べようかな。って! あれ? 薬草どこ置いたっけ?」



 昨日の自分の行動を一から思い返していると



「昨日、外に置きっ放しだったのでアイテムBOXに入れておきましたよ。」


「え!? アイテムBOX?」


「はい、クローゼットに入ってますよ。」



 と言って、エドモンドが私の部屋にある大きなクローゼットの中から皮でできた肩がけ鞄を取り出す。


 私は慌ててそれを受け取り中を覗いてみる。

 すると、鞄の中は底が見えない真っ暗な空間があるように見えた。

 だか、何故か以前のゲームの時に手に入れていたアイテムなどが入っているのがわかった。



 ーーーどういう事だ? アイテムBOXはゲーム時、ウィンドウに表示されていてそれを操作して使っていたはずだ。それが、実際に鞄が存在する形になっている。何故だ?


 ……考えてもわかるわけないか。他にもゲームとは違う事があるかもしれない。少し慎重にならなくては、ならないかもしれない。



 私が一人黙考していると。



「その草を食べるつもりですか? 誰か食べる物を持っていないか聞いてきましょうか?」


「……ん? 誰かって誰に?」


「ああ、会議室にい……


 私は、エドモンドの言葉を最後まで聞かずに部屋を飛び出す。


 会議室に向って走る。


 ーーー他にも来ている人がいる!! 誰だろ? あの時一緒に会議室にいたメンバーかもしれない!



 先程まで重かった身体も嘘のように軽くなっていく、走る速さはさらに加速する。




 会議室の前に着き、大きく深呼吸をする。


 私は期待に胸を膨らませ会議室のドアを開ける。



 と、そこには4人の男女が円卓を囲って座っていた。




 ……全員ギルドメンバーではない。



 私は肩を落とす。メンバーに会えるかもと思い期待していた分、なおさらがっかりした。



「ていうか……誰でしゅか?!!」




 4人が、こちらを見るなり、ゆっくりと席を立ち近づいてくる。



 私はとっさに構える。



「まあまあ、そんなに警戒しないでよ。セイラちゃん」



 一人の男が、人懐っこい笑顔で声をかけてくる。



「だから! 誰でしゅか?!」



 私は、警戒を解かずに問いかける。



 4人は私の前に並んだかと思うと、背筋を伸ばし体を深く折り曲げ、最敬礼してきた。



 私は、いきなりの彼らの行動にビックリして固まってしまった。



 すると、先ほど声を掛けてきた男がゆっくりと体を上げる



「やあ。僕は、鬼人族のソージ。ササクレ様によって創造されたんだ。よろしくね。セイラちゃん」



 ソージは、少し長めで赤茶色の癖のある髪をハーフアップにしていて、少しつり上がった猫目にエメラルドの瞳。袴のような和装をしていて、腰にニ本の小さな刀を差している。一番特徴的なのは、頭に小さな角が2本ついているところだ。


 真面目なササクレさんが作ったキャラにしては、少し馴れ馴れしい感じはするが嫌な気がするほどではない。むしろ、彼の笑顔は親しみやすい気がする。



 ーーーまさか、ササクレさんもタイプとかで作ったのか?



「思い出してくれた?」



 ソージが笑顔を崩さず、きいてくる。


 一緒にこの会議室で作ったのは覚えていたが、エドモンドを作るのに夢中になっていたので他の人がどんなNPCを作っていたのかは、全く見ていなかった。



 ーーー思い出すも何も、見てねぇー



「う、うん! もちろん」


 私は、全力で首を縦に振る。とりあえずここは、誤魔化す事にした。



 すると、今度は横にいた男が体を上げる。



「俺は……レオ。スピカ様に創造され……この世界に舞い降りた……悪魔だ」

 


 白い髪に切れ長の赤と黄色のオッドアイで、顔色が白い。燕尾服のような服を着ていて黒い大きなマントを羽織っていて背中から歪な黒い羽が生えている。右手には十字架の模様の入った、銃のようなものを持っていた。



 ーーーぽい! スピカさんが作ったぽいわー!ってか、声ちっさ!



 そう、彼の声はとても小さく今の1メートルくらいの距離でギリギリ聞こえるくらいの大きさだ。


 じっと見ていると顔を下に向け、体をもじもじとさせている。



 するとソージが、


「この世界に舞い降りた……悪魔だ。」


 と、ポーズまでしてレオの真似をしだす。


「この世界に舞い降りた……悪魔だ。」


 私も便乗して、真似をする。



 レオは、顔が茹で蛸のように真っ赤で涙目だ。



 それを見て2人でニヤニヤしながら何度も真似していると、突然



「辞めてあげなさい。」



 私とソージの頭に同時に鉄拳が落とされた……

 エドモンドだ。


 どうやら私の後を追いかけ今、到着したようだ。



「レオは、恥ずかしがり屋なのです。このダサ……この個性的な喋り方も、スピカさんに憧れていて真似ているのですよ。イタかわいいではないですか」



 ーーーエドモンドの方が酷いこと言ってるきがする。



 レオは、すでに会議室の円柱の後ろに隠れて顔だけ出して、こちらを伺っていた。




「そろそろ〜私の番で、いいかしら〜。」



 語尾にハートでも付きそうな甘ったるい声で、話しに割って入ってきた女は、黒いタイトなロングドレスを着ていて、ドレスがはちきれんとばかりに豊満な胸が、これでもかと言うように存在を主張している。



「私は〜クロ様につくっていただいたシロよ〜。よろしくね、お嬢ちゃん」



 黒紫色のウェーブがかった長い髪に黄色の瞳で、一番の特徴は、先の尖った長い耳だ。おそらく、エルフなのだろう。

 手には大きな杖を持っていて、見るものを虜にするような大人の魅力たっぷりな女だ。



「けちからんボディだ!」



 思わず、親父臭いセリフが口から出てしまった。



 彼女の体を見て、自分の体を見る……


 悲しくなってきた。



「うふふ。ありがとね〜」



 と頭を優しく撫でてきた。私の頬が赤くなる。


 ーーーこれが大人の女ってやつか! 完敗だぜ!


 現実世界で32歳の私は、世間一般には十分に大人の女の部類に入っていたが、こんな色気などとは無縁な女だった。



 私が惚けてシロを見ていると、



「……セイラ様。そいつは男ですよ。」



 エドモンドから突然、爆弾が投下された。



「も〜う、エドモンドったら、もうバラしちゃうの〜つまんないじゃない〜。」



 ーーーこれが男だと?! ネカマが作ったキャラが、オカマって!……クロさん本当に意味わかんねー!



「うぉおぉおおおーーー!!!」



 私は叫んだ。

 自分でも何故叫んでいるのかわらない。込み上げてくる何かが抑え切れなかった。



「あ、あのー。」



 最後の一人が恐る恐る話しかけてくる。


 私は、叫ぶのを辞めてその一人を見る。



 ピンク色の髪を左右大きな三つ編みのおさげにしていて、綺麗なサファイアのような瞳だ。15、6歳くらいだろうか、少し幼い雰囲気の残るかわいらしい顔をした女の子だ。


 フンワリとした童話に出てきそうな裾の広がった水色のワンピースにエプロンの様な物を着ていて背中には体と同じくらいの大きさのハサミを背負っている。


 そして……またもや胸が、胸が……でかいのだ!



「今度は、騙されんじょ! お前も男だなー!」



 私は指を指し、その女の子?を見据える。



「ち、違いますー。わ、私はれっきとした女です。」


「……その胸も偽物だろー!」



 私が飛びかかろうとしたその瞬間、


「やめなさい。」



 再び頭に鉄拳が落とされた。



 またもやエドモンドだ。

 私は、殴られた頭を抑えながらエドモンドを睨む。



「睨むのはやめて下さい。彼女は本当に女性ですよ。」



「本当に?」



 疑いの眼差しで彼女を見る。



「は、はい。女です。私はソフィア、アレン様に作られました。ア、アルケ二ーです。」



 ーーーうーん。あの頼りになるアレンさんが作ったのなら、オカマは無さそうだな。


 ……しかし、アレンさんもちゃんと男だったんだな。


 私はソフィアを……ソフィアの胸を見て、アレンさんを思い出し、ウンウンと一人頷いていた。



「し、信じてもらえましたか?」



 ソフィアが、心配そうに聞いてくる。


 満面の笑みでサムズアップして返事をした。



 これで、全員の自己紹介が終わったようだ。



「ところで、みんなはいつからここにいりゅの?」


「わからないんだよね。僕達も気づいたら、ここにいたからね。」


 ソージが頭の後ろで手を組み答える。


 話を聞くに、私と一緒で気づいたら全員ここにいそうだ。生まれた(作られた)ばかりだから、作ってもらった人の事やこの拠点の事はわかるが、この世界の事はあまり知らないらしい。


 ちなみに、すぐに挨拶したかったが、私が気を失っていたため部屋に運び目が覚めるのをここで待っていたそうだ。


 だが、目が覚めた私はすぐ森に行き。その後、帰って来たと思ったら知らない客を連れて来ていたので、タイミングが掴めず今に至るということだそうだ。


 ーーー何故、彼らだけなんだ?だとしたら一緒にいたギルドメンバーも来ていてもおかしくないはずだ。



 私は考えた。だが、考えてもわからない事はわからないのだ。

 第一、突然異世界に来ているというこの状況からまず何故なのか、わからないのだから。



「まぁ、いっか! 成るようになる……だろう!」



 グギュィーウ!



 また、私の腹の音が響き渡る。

 お腹が空いていたのを忘れていた。


「あらまぁ〜。ウフフ。」


 シロが私を見て艶やかに笑う。


「誰か、何か食べりゅ物持ってない?」


 全員が顔を見合わせて、首を横に振る。



「実は、僕達も何も食べてなくてお腹空いてたんだよねー。」


「そっかー」


 私は、ソージの言葉で落ち込む。



「紅茶なら、ジルフリーク達から貰った物がありますが……何か食べ物も貰って置けばよかったですね。」



 エドモンドが、相変わらず大袈裟な動作を交えながら言う。



 ーーーそういえば、客間で飲んでたな。

 ていうかなんで、紅茶だけ貰ったの? 好物なの? お前の好物なの? 動作も少し見慣れて来て何も思わなくなってたのに、今見ると凄いムカつくな。


 ……やっぱ殴りたい。


 はぁー。早くカースス王国に行きたいのに……


 ……カースス王国に……



 !!そうだ! さっさとカースス王国に行ったらよくね? そこで食べ物を買って食べればいいんだよ!



「私! てんさーい!」



 突然の声に驚き、全員がこちらを見ている。


 私は円卓に飛び乗り腰に手を当て仁王立ちする。

 やはり、大事な発言をするには雰囲気作りが大事だと思う!



「ハイ! ちゅーもーく! 私は、お腹空いたので、カースス王国に行きましゅ! そこで、ご飯を食べて冒険者になりましゅ! なので……ハイ! かいさーん!」



 全員が呆気に取られたような顔だ。

 エドモンドに至っては、凄い残念な子を見るような目だ。



 だが、私は昔から、こう!と決めたらなりふり構わず突き進むタイプの人間だ。



 円卓から飛び降り、ダッシュで部屋に戻る。



 部屋に戻るなり、クローゼットを開け先程のアイテムBOXを取り出し、クローゼットに入っている装備やアイテムなどを選び、ぶち込む。


 ちなみに、クローゼットには普段装備しない防具や武器、アイテムなど、使わないけど売るにはもったいない物や課金で手に入れたオシャレアイテムなどを入れてある。

 普段使っている。《聖典》や《聖女の修道服》よりランクは下がるが、使えるものもある。


 ーーーこれから何が起こるかわからないのだ、備えあれば憂いなし! と言う言葉もある、持って行こう。



 急いで準備をしていると部屋の扉からノックの音がする。



「はいはーい!……もう! 今、忙ちいのに」



 と、ぶつくさ言いながら扉を開ける。

 そこには、先ほど会議室にいた全員が揃って立っていた。



「どうちたの?」


「ハハ。……僕達も、着いて行くよ。ただここにいてもする事もないし、暇だしね。」


「カースス王国で……誰かが俺を……呼んでいる。」


「私も行くわ〜なんだか楽しそうだしね〜」


「わ、私も行きます。な、何か、お手伝いできるかも知れません。」



 どうやらみんな暇なようだ。着いて来るらしい。まぁ、仲間は多いに越したことはない。



「いいよ! 行こう。みんなで! カースス王国へ」



 私は全員に向かって笑顔で言った。

主要メンバーが揃いました。やっと冒険が始まります。次の更新は明日の予定です。

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