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アンジュ・ス・バートル  作者: Jyona3
ー第1章ー
5/55

適材適所

 いつものように森を歩く。採取のたびによく使うルートだ。

 だが、いつもと違う……凄い違和感を感じる。



 なんだろう?と、立ち止まってみる。



 そう、先程から歩くときにクシャリと踏む草、掻き分けるさいに手に触れる木の枝にリアルな感触があるのだ。

 何より一番の違いは匂いだ。匂いがするのだ、森の匂いとでもいうのか、植物や獣の匂いだ。



 今までプレーしていて匂いなどなかった。はずだ……




「感触に匂いだと……凄い! これも新機能か! 現代科学おそるべち」




 私は感激のあまり、軽く走ってみたり、岩に突撃して岩を砕いてみたり木に飛び乗ってみたりと、このリアルな空間を満喫した。





 しばらくして、我に返る。

 一人はしゃぎ倒す自分……無性に虚しくなった。



「……帰ろ」




 さっさと目当ての物を採取し帰ろうと思ったが、薬草はその辺に生えているものの、モンスターが一匹もいない。




「なんだろ? この辺でイベントか集中狩りでもしてりゅのかな?」




 モンスター素材は諦め薬草だけ集めて帰ろ。っと決めたのはいいものの薬草を採取しようとするが、アイテムBOXが機能しない。




 ーーーこれもバグか? どうしたものか……素手で摘んでも大丈夫なのかな?




 今までなら、薬草を見つけると薬草の上に採取のウィンドウが出てきてそれをタッチすると自動でアイテムBOXにしまわれるようになっていた。

だが今はウィンドウが表示されていない。




つまり、これが薬草かどうかも定かではないという事だ。今まで見てきた薬草に似てる草を私は薬草だと思うことにした。




 迷っていても仕方ないので、とりあえず薬草を手で摘む。

 摘んでみるが何せ今は、身長70センチの幼女、手が小さすぎてすぐ両手がふさがる。




 そして気づく、アイテムBOXが使えないのだ採っても入れ物がない!



 ガクッ!

 ーー絶望しかない!



 なんて大袈裟に考えて、何か入れ物の代わりになるものはないかと、キョロキョロと見回す。すると500mほど先に、竹でできたカゴが落ちているのが見えた。




「何これ凄い! 視力まで上がってる! こんにゃにリアルに見えるとか逆に怖い! 現代科学ヒャッホーーー!」




 と、とりあえず訳のわからない奇声をはっしながらカゴまで走る。




 全速力で走ると五秒もかからなかった。

 やはり、走っているさいに風が身体に受ける抵抗なども本当にリアルだ。




 ーーー本当に凄いな。早くギルドの皆ともこの感動を分かち合いたいな、



 などと考えながらカゴいっぱいに薬草を摘み、とりあえず帰る事にした。




 フン〜フン〜フ〜ん♪



 薬草を採り終え、鼻歌交じりで歩きながら帰っていると突然、




 ドーーーン!




 という大きな音が聞こえてきた。



 ーーー何? なんの音? 爆破? しかもギルドの方から聞こえてきた気がする!



 私は、全速力でギルドに向かった。



 ギルドから1キロほど離れた場所にある他の木より飛び抜けて大きな木の上に飛び乗り、親指と人差し指で輪を作りその隙間からギルドの方を覗き込む。



「ムフフ。見えりゅ! 見えりゅ!……ん?知らない人達が敷地内に!? ……まさか! ギルド拠点対戦が始まったのか?」



 わざわざ木に登ったり指で望遠鏡を作ったことは、ただの雰囲気作りだ、雰囲気作りは大事だと思う!私のテンションは先程から、だいぶ上がっていた。




 ーーーざっと装備を見る限り。全員、ナイト系か?……なんて偏ったパーティ!

 って違う! そんな事いま、気にしてる場合じゃない。




 と、よーく周りも見てみる。近くに緑のモンスター、ゴブリンロード達が見えた。



 ーーーあれは! ゴブリンロード? なんでこの森に?



 そう、ゴブリンロードは、この《エレフスリア・オンライン》で初心者がこいつを倒せたら卒業というところの脱初心者ボスといったところのモンスターだ。レベルは30前後。




 出没するのは洞窟やダンジョンなどの薄暗い場所だ。なのでこのレベル50のモンスターがうようよする森に出る訳がないのだ。




 ーーーなんかのイベントか何かか? 初心者が勝てなくて、逃げて来たってところかな? まあ、直接聞いてみた方がはやいか……




 そう決めると、シュタッ!っと木から飛び降りギルドに向かって森を駆け抜ける。





 ◆◆◆





 着いたわいいが、どうやって普通に登場したらいいのかわからない……



 とりあえずゴブリンの横に、腰に手を当て仁王立ちポーズで立ってみる。



 ……誰も気づかない。



 ゴブリンロードが、弱者である人間は〜などと聞き取りにくい声でなんか喋っている。



 ーーーこのゴブリンロードよく喋るな。




 少しポーズを変えてみる。



 ……誰も気づかない。




 なぜか少し泣きそうになった。自分なりのかっこいいポーズをとっているというのに……



 みんなゴブリンロードに夢中のようだ。




 仕方ないので、こちらから声を掛けてみる事にした。



「あれ?お客ちゃまでしゅか?こんな時間にめずらちぃでちゅね?」



 あたかも、今来たところです感を出すのは忘れない。



 

「兎人族か?! 何をしている! 危ないぞ! 早くこちらへ! 魔除けので中に入るのだ!」




 パーティの中で一番良さそうな鎧を着た男が、叫んでいる。




 ……兎人族? 私のことか?



「ブォー!肉ハ少ナソウダガ、旨ソウナノガイルジャネェカ!」



 ……んー? 私の事も新人プレイヤーと思ってるのかな? てか、ゴブリンロード……うるさいな



「新人プレイヤーでしゅか?」



「新人ぷれいやあ? 何を訳のわからんことを言っている! 早く中へ!」



 と男がこちらに走りながら叫んでいる。




「違うにょかーなんかのイベントかな? こんにゃのあったっけ?」



 ん? てことは、この人達もNPC? え……クオリティ半端ない!


 


 と一人ぶつくさ言っていると、ゴブリンが2匹飛びかかってきた。




 ゴブリンの動きは、とてもゆっくりに見える。どうやって倒そうかな? 魔法使うほどでもないし、でもここは、かっこつけて助けたいしなぁ。




 なんてゴブリンをなんとなく見ながら考えていると、ゴブリンの顔をしっかりと見てしまった。目が合った気がする……いつもゲームしている時よりもリアルに見える。



 ーーーひっ! キモい!



 とっさにゴブリンを虫でも払うかのように手ではたいた。




 すると、軽く吹っ飛んで木にぶつかって潰れている。





 周りから凄い視線を感じる。

 見てみると、みんながこっちを見て驚いているようだ。




 ーーーうわ! きっとみんな、私が弱小ゴブリンにビビったの見て、ひいてるんだ。恥ずかしい。

 




「邪魔だな、前衛職ではないけど……とりあえずお掃除ちなきゃ話しがしゅしゅまないか。」




 と言いながらゆっくりと持っていたカゴを地面に置き、ファイティングポーズをとって、先程まで何もなかったかのように、カッコつけてみる。




 ーーーフフフ。これで、さっきのと合わせてプラマイゼロになっただろう!




「今、何ヲシタ? 魔法カ?

 ……マアイイ、スグニ腹ノ中ニ入レテヤル!全員デカカレ!」




 ーーーほんと、よく喋るな……このゴブリンロード。まあいいや。とりあえず、さっさと倒して、イベント?進めよっと




 ゴブリンの顔をもう近くで見たくなかったので、ゴブリンの後ろに回って顔を飛ばす作戦にした。

 名付けて![ゴブリンの顔よ!さよなら!大作戦]だ。



 体が小さいので、いちいちゴブリンの上に乗らないといけないのがネックだ。



 バキャっと飛ばすと、凄くみんなに見られている。

 ここで、必死な顔を見せるわけには行かない。私は、ゴブリンの顔なんて平気ですよーとでも言うかのような笑顔を作った。


 



「オノレー! コノガキ! 調子ニ乗リヤガッテ!」



 ーーーほんと、よく喋る。




「絶対ニ、コロ (バキャ)……」



 ゴブリンロードの首を飛ばした。



「なっ! ありえん! 〜〜」



 と取り乱した声が聞こえてくる。




 ーーーえ! そこまで驚かなくても。たしかに、喋っている途中で倒すのは良くないかもしれないけど、


 ……まさか、このゴブリンロード何かイベントのキーになるような事をこの後いう設定だったとか?! なんてこった!





 考えてもらちがあかないし、とりあえず、さっさとゴブリン達を倒す事に集中した。




 バキャバキャ飛ばしていると、みんなの視線を凄い感じる。私は昔からすぐ調子に乗るタイプだった。

 なんか少し楽しくなってきた。無意識に顔がにやけてしまう。





 倒した後、みんなの所に近づくと、凄い勢いで、ガタガタと体を震わせている。




 ーーーえ? 何? めっちゃ怒ってる! 怖い!



  ……ええい! こうなったら!




「迷子でしゅか? 怪我もされてるみたいでしゅし、手当てしましょ……さぁ、中にどうぞー」




 ーーーそう、こうゆう時は何もなかった振りだ!






「……それは助かる。だが、ここはいつからあるのだ? この魔除けはだれが? それに君は兎人族かな? 1人かな?」




 ーーお! 乗ってくれた!




 1人装備をしていない男が、話に乗ってきてくれた。それなら、私も続けよう。





「質問攻めでしゅね。まぁ、こんな外ではなんでしゅし中にどうぞ。ゆっくり怪我の手当てでもしながら話しましょー……私も聞きたい事もありましゅし。」





 話していて思ったが、そろそろバグも治って、誰かインしているかもしれない。難しい話は、ササクレさんやアレンさん辺りに任せるのが一番だ。人には適材適所というものがあるのだ。





 私は、笑顔で手招きしながら先に教会の中に入った。

セリフと思考がごちゃごちゃしてしまいました。読み辛かったかと思います。すみません。次の投稿は明日です。

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