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アンジュ・ス・バートル  作者: Jyona3
ー第2章ー カースス王国編
39/55

遺伝子

 区切りを考えて、短めです。

 



「……あ、あれが、王子だと?!」




 勝手にイメージしていた王子像が音を立てて壊れていった。




 あの後、庭に着いた私達は木の上から王子が来るのを息を潜めて待っていた。




 そこに現れたのは、護衛を引き連れ威張りちらし、ドスドスと重い足取りで歩く巨漢の男だった。



 その男は、歩いているにも関わらず息を切らし全身から汗をかき脂ぎっていた。見ているだけで、こちらが疲れそうだ。




 肥え過ぎたためか、顔のパーツも贅肉で埋もれてしまっていて目は細く鼻も低く見える。



 美形両親から受け継いだのは父親の茶色い髪と母の青い瞳だけだろう、それ以外は蚊ほどにも似ていない。



 それに先程より伺える、見ているだけで不快になる偉そうな態度、椅子を蹴り飛ばしたり護衛を怒鳴り散らしたりと、あの王子を見れば私が、いや、誰でもガッカリするのは当然だろう。




 ーーーおい! 美形遺伝子どこいった? もっと頑張れよ! あぁ! 遺伝子の神よ! 彼にもどうか! どうか! 遺伝子のお恵みをーーー! 遺伝子ぷりーず!




 私が心の中で謎の救いを求めていると、




「ハハハ。ほんと、見るに耐えない奴だよね。豚が偉そうに服着て歩いてるみたいだよ。殺っとく?」




 マオは乾いた笑いて、本当に怪訝そうな顔をして今にも飛びかかりそうだ。




「いやいやいや、殺らにゃいでいいから」




 ハァー。と大きな溜息をつく。




 ーーーとりあえず、もう王子はいいや。気を取り直して、あとは……





「マオ! 次は、宝物庫に行こうぜ!」


「え、宝物庫? いいけど……この城には、そんなにいい物はないよ」


「えーーー」




 マオの言葉に肩を落とす。




 ーーーてことは、この城にもう、用はないかなー




 私が探索の終わりを告げようとしたその時、




「あ、宝じゃないけど、面白いのがいるところは知ってるよ! 」




 マオが突然思い出したとばかりに、とても楽しそうに言う。




「ほぅ。ちょれは私のお眼鏡に適いしょうかね?」


「うん。きっと旦那さんも気に入ってくれると思うよ」




 私の偉そうな“亭主関白”にも慣れてきたのか、当然のように間を置かずニコニコと笑顔で返事をするマオ。




 ーーー面白いのがいるって何だろう? いるって事は生き物か? しかし、これ以上変なのは腹一杯だ! 勘弁だぜ! ……だけど、気になる!




「よち! 折角だち。見に行こうか!」


「うん、行こう」




 マオは言うが早いか、再び抱っこして移動を始める。





 ◆◆◆





 素早い移動をしばらくしたのち、一つの扉の前でマオが止まる。




「ついたよ! この奥にいるよ」




 その扉は、普通の部屋の扉とは違い鉄でできた扉だった。扉やノブには何重にも鍵付きの鉄の鎖で囲われており、厳重さが伺える。




「おぉー」




 扉を見て、感嘆の声を上げる。



 厳重に守られているところを見るからに、中にはとても重要な物があるのは明らかだ。




 ーーーついに! 探索ぽいところきたーーー!




「マオ! 降ろちて!」


「はいはい。」




 マオの手を離れ、ゆっくりと地面に降り立つ。



 テンションが上がる。



 私はアイテムBOXに右手を突っ込み、お目当ての物を探し出し、掴んだまま勢いよく空に向かって突き上げる。




「じゃじゃーーーん! 《マジックキー》!」


「《マジックキー》?」




 マオが不思議そうに首を傾げ、私の右手にある物を見つめている。





「グフフ! まあ、見てにゃ!」





 右手にあるのは金色に輝く名前通りに鍵の型をしたアイテムだ。




 その鍵を扉についている鍵穴に差し込み回す。




 ガチャン。




 鍵が開く音が聞こえる。

 ニヤリ。と笑いながら次々と鍵を開けていく。




「へぇ〜! 凄いね! 」




 マオは、目を見開きとても驚きつつも感心している様子だ。




 そう《マジックキー》とは、どんな鍵も開けれる課金アイテムである。ゲーム時は、宝箱やダンジョンなどの隠し扉を開けるために使っていたものだ。

 どうやらゲームの時と同じく、どんな鍵も開けることが出来るようだ。




「見ちゃか! 私にかかれば、こんなにょ朝飯前だ!」




 全ての鍵を開け終え、仁王立ちポーズでキメる。




「ハハハ! 本当凄いや。流石だね。頼りになるよ」




 マオがパチパチと拍手をしながら、私を褒める。どうやら持ち上げ上手のようだ。




「グフフ! いつでも私を頼りたまえ!」




 そして私は持ち上げられやすいのだった。




 マオは笑顔で頷くと、再び私を持ち上げ扉を開き、声をかけてくる。




「それじゃ、行こうか!」


「おーーーー!」




 元気よく右手を突き上げる。




 扉を開けた先には、下へと続く長い階段があった。階段は窓がないためか昼間だというのに薄暗く、所々に松明のような灯りが間隔を置いてあるだけだった。




 コツン。コツン。階段を降りる足音だけが響き渡る。その音と同調するように私の鼓動も高鳴っていく。




 どれくらい降りただろうか階段を降りた先には、先程の入り口の扉のように厳重に守られた扉かあった。




 《マジックキー》を使い鍵を開けていく。




 ーーーこれぞ! 探索!! まるで冒険だ! 私の求めていたのは、……きっとこれだ!! こういうのを待っていたんだ!




 私は喋るのも忘れ期待に胸を膨らまし、マオはそんな私を見てニコニコと笑っていた。




 一つ一つ鍵を開けていく。その間、私もマオも一言も喋らない。




 全ての鍵を開け終え、ゆっくりと扉を開く。




 ゴクリ。と唾を飲む。開いた扉の先は、とても広い空間があった。




 辺りを見回す。だが、特に何も見当たらない。




 ーーーくそー。こんなこったろうと思ったぜ! 何もいない!




 ガクっ。っと肩を落としていると




「ハハハ。大丈夫、この奥にいるよ」




 また心を読んだのか、マオが声をかけてくる。




 私はそれを聞いて、再び肩を上げ奥へと向かって歩き出す。




 少し進んだ先には、直径1メートルくらいはありそうな鉄で出来た柱が、距離を開けてたくさん立っていた。




 真っ暗で奥がよく見えない。




 ーーーなんだ、これ? これは、まるで……




「巨体にゃ牢屋?」




 思わず声に出して言うと。




「珍しい、わしに客か?」




 突然、この広い空間に聞き覚えのない声が響き渡る。



 声が大きすぎて、一瞬ビクッとなってしまったのはここだけの話だ。



 私が慌てて辺りをキョロキョロと見回し、声の主を探していると、




 ドスン。ドスン。と何か大きな物がゆっくり近づいてくるような足音が聞こえて来た。




 足音は目の前で止まる、





「ほぅ。なかなかに面白い組み合わせではないか、それに強き者のようだ。ん?! ……かなりの強き者ではないか。…………いや……わしより強くないか? 小さき者よ! ……お主、何者だ?! いったい何なのだ? 本当にこの世の者なのか?」




 いきなり、かなり失礼な事を言われた気がする。




「お前こしょ。誰だ?!」




 私は威嚇して構える。




 目が慣れてきたのか、ぼんやりと見えていた周りが、はっきりと見えてきた。




「そんなに、身構えるな。どうせこの中からでは、手も出せん……出したとて、わしがやられてしまうわ。ワッハハハ」




 姿を見ようと、目を凝らす。




 そこにいたのは、赤く鋭い目を光らせ、大きな体に太く逞しい足が4本、それと同等に逞しい少し短めの尻尾のような物がついて、身体を守るように硬い甲羅のような物……いや、甲羅が着いている、




それはそれは、大きな……大きな……『カメ』だった。





 ………………






「……よち! マオ帰るか!」




 私は満足したとばかりに、一気に上がっていたテンションも下がり、マオに帰るように促した。



 次回も明後日頃になるかもです。最近、忘年会シーズンの為、更新が遅れ気味で申し訳ないです。

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