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アンジュ・ス・バートル  作者: Jyona3
ー第2章ー カースス王国編
35/55

女子の中の女子

 短めです。

 一方その頃、セイラも優雅に紅茶を飲んでいた。

 


◆◆◆




「……って、感じにゃの」


「まぁ! それは大変でしたわね。フフフ」



 私は今、先程出会った美少女もとい、この国のお姫様である少女に連れられ少女の部屋へと来ていた。



 目の前には、上品に笑いながら紅茶を飲む美少女。

 私も負けじと、上品に紅茶をストローですする。



 本当に他愛もない話をしながら、出された珍しいお菓子をたくさん頬張る。




「もっちーちゃんは、今、誰か気になる方などは、いらっしゃいますか?」



「うーん。いにゃいかな。まぁ、しいて言うにゃら……魔王くらいかにゃ」



「まぁ! 魔王?? フフフ。もっちーちゃんは本当に面白い方ね」




 ーーーなんだろ……幸せだ。これが『ガールズトーク』ってやつか?! 『女子会』か?! ……私は今とても充実している!!!



 現実世界で、ほぼ仕事とゲームしかやってこなかった私は、こんな『キャッキャ』しながら、はしゃぐことなど滅多に……いや、ほぼ無かった。



 たまにあった女友達同士での飲み会なども、小汚い居酒屋で、ビール片手に焼き鳥を頬張り、会社の上司の愚痴を言い会うか同級生のゴシップなどを言って『ギャハハ』と馬鹿笑いをするかだ。


『女子』と言う言葉からは程遠いものだっただろう。



 ーーームフフ! 充実……これが『リア充』ってやつか?!! お菓子も紅茶も美味いし、美少女との女子会付きだ……もう、ここに住もうかな? ビバ! お城生活! ビバ! 『リア充』!



 意味のわからない事を考えながら、勝手に顔が緩んでいく。



 私が自分の世界に入って妄想を膨らませていると、



「……私は、今……サエウム、あなたのお父様が気になっているのです」



 …………




 ーーーえー! お姫様! あんなのがいいの? あんな胡散臭そうな男が?! ……サエウムの事、全然知らないけど!



「えー。“あれ”のどこがいいにょ?」



 私は全く知らないサエウムの事を『あれ』呼ばわりして、信じられないという気持ちを顔全面に押し出して表現する。



 すると、お姫様は慌てた様子で



「えっとね。気になると言うのは、その……」



 何か言いづらそうに下を向き、自分の人差し指と人差し指を合わせモジモジとさせている。



 ーーーいちいち仕草が可愛いな……これが女子! 女子の中の女子!



 私がじーっと観察するように見ていると、


 お姫様が小さく頷き、意を決したように口を開く。



「実は……サエウムが最近、変なのです」



 …………




「へぇ……そうにゃんだ」



 どうやら、私の考えていたような甘い浮いた話しではないようだ。


 一気に興味がなくなって、暑くなっていた心が冷めていくのを自分でも感じた。




 …………




「そうなんだ、って!! あなたのお父様の話なのですよ!? 気になりませんの?」



 お姫様は先程の私の真似なのか、信じられないというのを顔全面に押し出している。



 ーーーいや、そんな事言われてもお父様じゃない上に、サエウムに興味が一ミリもわかない。それに、この国は変な奴ばかりだ。



「まぁ……いいですわ。実はですね……



 聞いてもいないのに、お姫様は勝手に喋り出す。



 サエウムが最近、お父様《この国の王様》と言い合ってるのを何度か見た事、

 怪しい人達を城に勝手に招き入れコソコソと動き回っている事、

 偵察と言って国外に出ることが増えた事、

 街で怪しい集会をしているのを見たものがいるという事



 それらを一気に喋った後、お姫様はフー。と息を吐き紅茶を飲む。



 ーーーおいおい! ダディ(サエウム)! しっかりしろよ! 怪しいを通り越して完全に“黒”じゃないか! 何かやばい事してるのは間違いないな!



「……そうにゃんだ」



 だが! 私には全く関係ない事なのだ!



「ですから! そうなんだ、って!! あなたのお父様の話なのですよ!? 」



 お姫様はまたもや、信じられないというのを顔全面に押し出している。



 ーーーて、言われてもなー。それに、こんな重要そうな話を今日会ったばかりの子供に、更に、娘と思っている子供に話す内容か?



 少し疑問を感じていると、

 お姫様はまた、聞いてもないのに喋り出す。



「怪しい集会というのは、どうやら……



 面倒くさくなってきたので、そろそろ、おいとましようかなと思い立ち上がり椅子から降りると




「!? 突然、どうされましたか? まだお話は終わっておりませんわ!」




 お姫様はまだ喋り足りないようで、私の前を行く手を遮るように両手を広げ立ちはだかる。


 やはり、そう簡単には逃してはくれないようだ。



「えっと……あれ! あれだ! ちょっと、お手洗いに!」



 咄嗟に出た言い訳は、我ながらナイスアイデア! と自分を褒めてやりたい気分だ。



 すると、お姫様は両手で口を隠し大袈裟に驚いた様子で



「まぁ、私としたことが気づかなくて、ごめんなさい。お花を摘みに行かれるのですね。……クレア。お城は広いわ。また迷ってしまわないように、ついて行って差し上げて」



 部屋の扉の前に立っていたメイドの様な女性に向かって言う。



「かしこまりました」



 と言ってメイドの様な女性、クレアが深々とお辞儀をする。


 クレアは、綺麗な黒髪のボブに少しだけ吊り上がった目、茶色がかったような薄い黒い瞳はとても整った顔で、現実世界の日本人の様な見た目だった。


 そして全く動くことのない、ニコリともしない顔。

 世に言うクールビューティというやつだ。



「いや、大丈夫! 一人で大丈夫! むしろ一人がいい!」



 私はこのまま、この部屋を出てお城探索でもしようと考えていたので、着いてこられては探索できなくなり、非常に困るので必死に断る。



「ダメですわ! 先程も迷子になられていたでしょう。クレアよろしくね」



 だが私の願いは全く聞き入れてもらえず、『早く戻っていらしてね。さぁ、いってらっしゃいませ』と半ば無理矢理と行った形で、追い出される様にクレアと部屋を出されたのであった。



 ーーーあのお姫様、意外と押しが強いな! ……さて、どうやってクレアを撒こうか。



 考えながらクレアの様子を伺うように顔を見上げる。彼女の顔は、考えを何も読ませないような無表情だ。



 ーーー黒髪、黒目、動かない顔、まるで日本人形みたいだ! ……なんだか懐かしいなぁ



 現実世界を思い出し、懐かしんで見ていると目が合う。



「ご案内いたします。着いてきて下さい」



 そう言って、クレアが前を歩き出す。



「あ、あい!」



 ーーーとっとと撒いて探索だ! 探索ー! どうやって撒こうかなぁ。全力で走れば撒ける気がするけどな……てか、今日は人を撒こうとしてばっかだな。



 私は追いかける様に後に続く。



 が、すぐに立ち止まる。



 ーーーあれ!? そういえば私……元々、何しに城に来たんだっけ?



 顎に手を当て、必死に記憶を手繰り寄せていると、



「何をしてるんですか? 置いて行きますよ」



 クレアが振り返り言ってきたと思えば、またすぐに歩き出す。



 ーーーおい! 道案内たのまれたんだろ?!

 せっかちだな! うーん。まぁ……いっか! 探索してるうちに思い出すだろう。



 私は考えるのを辞めた。



「まってよー」



 そして、だいぶ先に進んでいたクレアの後を追いかけるのだった。



 次回は明日か明後日になります。

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