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アンジュ・ス・バートル  作者: Jyona3
ー第2章ー カースス王国編
33/55

普通じゃないー2

 


「あの! 先程は助けて頂いて、本当にありがとうございます!」



 俺は、改めて皆さんにお礼を言い深く頭を下げた。

 それに続きシャルルも頭を下げる。



 すると、代表するようにエドモンドさんが優雅な動作を交えながら



「いえ。気にしないで下さい。俺達は別に貴方達を助ける気はなかったんですが、ソフィアがどうしてもと言うので、お礼ならソフィアに言って下さい」



 と言って先程、俺のなくなった腕の方へ行った女の子を指差した。



「そ、そうなんですか。……でも助けてもらったのは事実です。ありがとうございます」



 俺が再びお礼を言い頭を下げると、少し困った顔でエドモンドさんは笑った。



 …………




「あ、あの〜」


「うぉ!」



 先程まで腕の方にいたソフィアさんが気づいたら後ろにいたので思わず驚いて声を上げてしまった。



「あ、ご、ごめんなさい」



 俺の驚いた声に、慌ててソフィアさんがペコっと頭を下げて謝る。



「あ、いえ。こちらこそすみません! 少し驚いただけで……あ。エドモンドさんに聞きました。助けて頂いて、ありがとうございました」



 俺は再度お礼を言って頭を下げる。



「い、いえ」



 ソフィアさんもまた頭をペコっと下げ、俺に笑顔を向けてくる。



 ーーー凄くいい子だな。謙虚そうだし、他の人達と違って普通そうだ。



 俺はソフィアさんを見て何故か安心し自然と笑みがこぼれた。



 するとソフィアさんが急に、頬を赤く染め少し息を荒くしたかと思えば身体をモジモジとさせる。



「ハァハァ、あ、あの、こんなこと言うのも、へ、変かもしれませんが……お、お礼を頂いてもいいですか?」


「……あ、はい! ……そうですよね! もちろんです。俺たちにできる事であればなんでも! な!? シャルル」


「う、うん!」



 ーーーそうだよな。お礼がいるよな……世の中、善意だけで動く人なんてそうそうない、お金を要求されたらどうしよう……俺もシャルルも全く持っていない。



「ハァハァ! ほ、ほんとですか? ハァハァ」



 ソフィアさんが更に頬を赤くし息を荒くしている。



「?! あ、はい……ただお金は全然持ってないです。他のことでしたら!」



 ソフィアさんの勢いに少し戸惑いつつも、俺は願いを込めた意味も含め、またも深く頭を下げた。



 するとソフィアさんは意を決した様にフー。と息を吐き俺の目をジッと見つめてくる。




ーーーな、なんだ?! そんなに見つめられると照れるな




 俺の心臓が激しく脈を打ちだす。

 ソフィアさんの息遣いも更に荒くなっている様な気がする。




…………見つめ合う2人





「……じ、じゃあ、こ、この腕! 貰ってもいいですか? ハァハァ」



「あ、は………………え?」




 突然の謎の言葉に、目を見開き口を開け固まってしまう。側から見たら相当な間抜け顔だっただろう。

 それほどまでに驚いたのだ。



 ソフィアさんの手には、俺の切り落とされた腕があった。

 ずっと後ろに手を組んでると思っていたら腕を持っていたようだ。



「え、あの? ……今なんて?」



 俺は先程の言葉が、聞き間違いであってほしいと思いながら聞き返す。



 だが、ソフィアさんは俺の切り落とされた腕しか見えていないかのように、とろけるような目で腕を見つめていた。




「ハァハァ。こ、この腕ください!」




 ………………




 ーーーやっぱり聞き間違いじゃなかった! 何がこの子は普通そうだ! さっきの自分を殴ってやりたい! この子も普通じゃない! 全く! 全然! 普通じゃない!




 俺が再度固まったまま口をパクパクさせていると




「ちょっと〜ソフィア〜そんなバッチいの貰ってど〜するの〜?」



「うわ、汚いよ! 捨ててきなよー」



「そうですよ。拾ってきたところに返して来てください」



「腐にまみれたそれを……何に使うのだ? ……召喚か? 我が同胞でも呼び出すのか?」




 他の皆さんもとても驚いた様子でソフィアさんに次々と声をかけている。



 するとソフィアさんは、はにかみながら照れを隠すように下を向き



「か、体のパーツを、あ、集めて《支配糸》で、人形を、つ、作ろうと思ってます! そして、お、お世話になってる、セ、セイラさんに、プレゼント、し、しようと思ってます。き、きっと、かわいいのが、で、出来ます! ハァハァ」




 …………




 静寂が訪れる。風でさえもこの空気を読んだのか全く吹いておらず木々の揺れる葉音などもしない。





 その静寂に耐えられなくなったのか、見てられなくなったのか、エドモンドさんが重そうに口を開く



「……そ、そうですか。セイラ様もきっと喜んでくれるでしょう」



 エドモンドさんの顔は、引いてるのを全面に出していて、どこか全てを諦めているような顔にも見える。



 他の皆さんもその言葉を聞いて静かに頷き、遠くを見つめ出した。



 ソフィアさんだけは、顔全面に喜びと照れを感じさせるような緩んだ顔で、切り落とされた腕に頬ずりしている。



 ーーーえ? 皆さん反対しないのか? セイラ様? って人は本当に、そうゆうの貰うのが好きなのか? その人も、きっと普通じゃない!



「……いや、絶対に! 普通じゃない!!」



 俺は驚きのあまり途中から、思っていることを口に出してしまっていた。



 その言葉を聞いて、ソージさんがゆっくりと体を起こし



「ねぇ、君さ。さっきからー普通じゃない、普通じゃないって言ってるけど、普通ってなんなの? 君基準で普通とか言われてもねー」



 声に少し怒りが混じっているように感じられた。



 するとエドモンドさんが、ソージさんにコソコソと何か耳打ちしたと思えば、他の皆さんが集まりこちらを見ながらコソコソと何か喋っている。



 俺はその様子を見て慌てて謝る。



「す、すみません! あまりにも俺の周りには今までなかった事が続いたので」



 ーーー命の恩人に、その上、これから腕を治して貰うかもしれない人達に……失礼すぎだったかもしれない。このままでは腕を治してもらうどころか、ここに置いていかれるか、最悪殺されるかもしれない。



 確かに普通じゃないなんて、言われて気分のいい人なんていないな。と反省していると。



「……それで、あの腕は彼女に譲っていただけるんですか? えっと……



 エドモンドさんが言葉を詰まらせ、俺を見てまた優雅に顎を手に乗せ、含みを持たせる笑みを浮かべ首をかしげる。



 ーーーなんだ?



 俺も真似するように首をかしげる。



 エドモンドさんが俺を見て更に笑みを深めると



「お名前をお伺いしてなかったですね。なんとお呼びしたらいいですか?」



 今まで名乗るのを忘れていた事に気づき慌てて立って自己紹介をする。



「……あ! すみません、まだ名前を言ってなったですね! 俺の名前はティミッドです!」



「わ、私はシャルルです」



 それに続きシャルルも自己紹介をした。



 すると皆さんがこちらに向き直り



「こちらも名乗っていなかったですね。俺は、エドモンドです。よろしくお願いします。普通さん、シャルルさん」



 と言ってエドモンドさんが立ち上がり優雅に美しいお辞儀をする。



 ーーーん?



「私は〜シロよ〜よろしくね〜普通の坊や〜シャルルちゃん」



 シロさんが髪をかきあげる。



 ーーーんん?、



「僕はソージだよ! よろしくね! 普通くん! シャルルちゃん」



 ソージさんが、右手をあげる。



 ーーーん、ん、んん?



「わ、私は、ソフィアです! よ、よろしくお願いします。ふ、普通さん、シャルルさん」



 ソフィアさんが、腕を抱きしめながらペコっとお辞儀をする。



 ーーーん、んーーーーーー!!?



「俺は……レオだ……ふつ……ティミッド、シャルル、よろしく頼む」



 レオさんが、顔を真っ赤にしボソボソと言う



ーーー…………





「普通に名前言うのかよ! なんで、『ふつ』まで言ってそこで諦めた?! ……いや違う! 違う! 皆さん! 俺の名前は普通じゃないです! ティミッドです!」



 俺は思わず突っ込みを入れてしまう。



 すると、




「 突っ込みも普通ですね、さすが普通さんです」



「へぇーこれが普通かー勉強になるよー」



「ほんとね〜なんの捻りもない〜普通の突っ込みだったわ〜」



「こ、これが、普通というものなんですね! す、凄いです!」



「フッ。普通……俺には程遠い言葉だ……」



 全員が口々に言い始める。



「普通、普通って言うなーーー!」



 俺は大声で力一杯、叫ぶ。



「ミ、ミッド! 落ち着いて」



 シャルルが慌てて俺を宥めるように言ってくる。



「普通って〜呼ばれなかった事を怒ったり〜普通って言うな〜って怒ったり〜普通の人って〜変わってるわね〜」



 シロさんが、俺を見ながら嘲笑うような顔で笑う。



「普通って言うなーーー!」



 ソージさんが笑いながら俺の真似をして何度も何度も繰り返し言ってくる。



 俺は、悔しさなのか怒りなのか何だかわからない、込み上げてくる感情を抑えきれず。

 思わず泣きそうになり顔を隠すように下を向く。



「そろそろ、辞めてあげなさい」



 エドモンドさんの声と共に、ゴツン。とゆう鈍い音がしたかと思い顔を上げると、



 ソージさんとシロさんが頭を抑えて痛そうにうずくまっている。



 どうやらエドモンドさんが2人に鉄拳を食らわせたようだった。



「すみません。ふつ……ティミッドさん。彼等にはキツく言っておきますので……」



 と言ってエドモンドさんが優雅に深く頭を下げてくれた。



「あ、いえ、もう……大丈夫です」



 ーーー少し慣れてきたな……いや、慣れちゃダメだろ! 腕を治してもらったらさっさと、この人達から離れよう。この人達はきっと、関わったらダメな人達だ。



 俺はそう深く決心し



「その腕は、俺には使い道はないので、こんなのがお礼になるなら、あげます」



 俺が半ば投げやりに言うと、ソフィアさんはこの日1番の満面の笑顔だった。



 それは俺の荒んでいくこの心と、ソフィアさんの抱きかかえている腕とは正反対の、輝かしく希望に満ち溢れた清々しい綺麗な笑顔だった。


 何故エドモンド達がミッドを助けたかを書きたくて駄弁りが長くなってしまいました、完全にソフィアの腕狙いです。

 前回ミッドのターンこれで終わりと言いましたが、書きたい内容があり区切りを考えあと一回になります。時間も出来てきたので、次は明日になります。

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