第98話
「ふむ、魔法を発動するのに必要なものは詠唱ではなくイメージですか.....」
「あぁ、そうだ」
「ふむ.....では今まで詠唱で発動してたのは何故でしょうか?」
「それは俺の憶測でしかないけどそれでもいいなら聞くか?」
「えぇ、ぜひ」
「多分この詠唱のこの魔法なら効果はこれくらいって頭の中で勝手に決めつけてそのイメージをしてしまっているからだと思う」
「つまり頭の中で勝手に『ヒールは部位欠損は治らない』と決めつけていると?」
「端的に言えばそうだな。結果を知っているからこそ、そうなってしまうのかもしれないが」
「先生、俺よくわかんないんだけど.....」
エリックが首を傾げた。
「.....とりあえず魔法を使うにはイメージが大事だってことだ」
俺は簡単にそうまとめた。しばらく黙り込み何やら考えていたゴーランさんが口を開いた。
「ミツルさんが改善が見られるか分からないと言ったのは私の中でヒールというもののイメージが出来上がっているから、ということですかな?」
「そういう事だ。この方法を頑張るかどうかはゴーランさん次第だよ」
「.....この歳になってもう回復魔法を極めてもう何も得るものはないと思っていたが.....私はこの方法でさらなる高みを目指す事としましょう。よろしければミツルさんのイメージを教えて貰っても?」
「え?あー.....うん、なんて言おうかな.....」
この世界の住民に細胞分裂などと言っても通じるか怪しいよな.....
「えーと.....たとえば転んで膝を擦りむいたとするだろ?それくらいの傷なら綺麗にしてしばらく放置しておけば治るだろ?」
「えぇ、貴族などはその程度の傷でも専属の回復魔法師に治してもらうでしょうが、平民ならそうするでしょう」
「そうか、俺がイメージしてるのはそれを加速させるってイメージだな」
うん、俺にしてはなかなか上手い説明ができたと思う。
「ふむ.....いや、申し訳ないな。私が教えに来たのに教えられてしまっている」
「気にしないでくれ。実技の方は頼りにしてる」
「うむ、任せてくれ」
ゴーランさんは自慢の筋肉を強調しながらそう言った。
「エリックも俺達の話を聞いていたか?回復魔法を使う時はさっき言ったイメージを浮かべるんだぞ」
「はい!分かりました!」
そこで1時限目の終わりを告げるチャイムがなった。
「では次こそ私が教える番ですね!回復魔法も戦闘も実践あるのみ!訓練で傷ついた体を回復魔法で癒し、その体でまた訓練する!そうして回復魔法も戦闘技術も身につけるのです!」
「では訓練場に移動しましょうか」
俺達は訓練場に移動を開始した。




