第92話
「んん.....なんだ.....?何か重いものが体の上に.....」
俺が目を覚ますと体の上に大きな岩がのしかかっていた。
「なんでこんなことになってるんだ?」
俺は朦朧とした頭を回転させて現在に至った原因を思い出す。
「そう言えばライリーに属性値解放させて.....火力が高すぎたか。仕方ないよな、俺がどのくらいで死ぬのか分からなかったし.....よっと」
俺は体の上にのしかかっている大きな岩をどかしながら状況を把握した。恐らく偽物の俺はこの攻撃で弾け飛び、俺はこの大きな岩のおかげで少しながらダメージを軽減したのだろう。
「てか、俺元に戻ったのか。なんで元に.......っ!ライリーはどこだっ!」
俺は、俺が俺の体に戻った理由として最悪のケースを夢想した。それはライリーの体が死ぬと同時に魂も消滅し、体がなくなった俺の魂が俺の体に戻った。というものだった。
「ライリー!いたら返事を!ライリー!」
「先生ー!ここですー!」
「ライリー!!今出してやるからな!」
俺はライリーの声が聞こえてきた辺りの岩を持ち上げた。
「けほっ、ありがとうございます。先生も無事そうですね」
「ライリー、生きててよかった.....どこか怪我はないか?」
「それが、どこにもかすり傷ひとつないんです」
「.....そう、なのか?」
「はい、それよりも.....先生の方がボロボロですよ.....その原因はあの攻撃なんですけどね。聞きたいことはありますがとりあえず2人とも無事でよかったですね!」
「そう、だな。とりあえず外に出ないとな。多分もう少しで課外授業の時間が終わるからな。みんなに心配かけるのは良くない」
「でもどうやって外に出るんです?」
俺はそう聞かれ、周囲をぐるっと見回したが、元来た道は土砂によって塞がれてしまったのか、見当たらない。転移魔法を使おうにもなにかに妨害されてるような感覚があり、使うことが出来なかった。
「うーん.....どうするかな」
「先生!この魔法陣はなんでしょうか?」
ライリーが指さす先には白く光る魔法陣があった。
その魔法陣からは俺の慣れ親しんだ時空魔法のような感覚がした。
「多分転移魔法陣.....かな、だけどどこに出るんだろう」
「でもここしか行く場所ないですよ?」
「でもなぁ.....」
もしかしたらこの魔法陣の先は全く俺の知らない場所かもしれない。そんなリスクを背負ってまでこの魔方陣に乗るべきなのだろうか。今からでも出入口を探せばいいのでは?
「あー!もう、行きますよ!」
「あっ、まて!」
ライリーは俺の手を強く握って魔法陣に乗った。転移する間際のライリーのか細い手は、小さく震えていたように思う。




