第83話
俺は穴に飛び込み、落下死を防ぐためにどうしようか。などと考えていると分厚い膜を通ったような感覚の後に自分の体が減速していくのをかんじる。
「.....とりあえず人工物だよな?」
今の膜を恐らく人が張った魔術だとあたりを付け、そう判断する。少なくとも自然発生するものでは無いだろう。
俺はその真っ白な空間を見回した。正面にまっすぐ伸びる通路があるだけでそれ以外は何も無い空間だった。
「ミツル先生!!」
「ライリー!無事だったか!」
無事なのは自動精密探知で確認済みだが、しっかりと自分の目で見てようやく安心できた。
「はい、落ちてきて急いで水属性魔法をクッションにしたんですが、膜を通った感覚の後減速したらしくて無事でした」
どうやらライリーも同じ経緯を経てここに来たらしい。同じ穴に飛び込んだのだから当たり前だといえば当たり前だが.....
「じゃあ、早くここから出て帰ろうか」
「あっ、ミツル先生、その前に一つだけ見て欲しいものが.....」
「見て欲しいもなにも.....白ばかりで特に見るものもないように思うが?」
「えっとですね、あの廊下を真っ直ぐ行くと右手側の壁に6つの窪みと文字が刻まれていたんです。その文字曰く『その力を示すもの、この先の試練に挑め』って.....」
少し俺は考えた後、その場所に案内してもらうことにした。
「じゃあライリー、俺をその場所に案内してくれ。俺がその力を示すものである訳がないから変な期待をされても困るがな」
「はい!じゃあこっちに.....って、案内するも何も右の壁を見ながら真っ直ぐいけばあるんですけどね」
そう言いながらもライリーは俺の前を歩き、その場所への案内する。
「ここです。ここに窪みと彫り込まれた文字があるんです」
「ふむ、確かにな?」
ライリーの指し示した所には確かに6つの窪みがあり、その右隣には文字が刻まれている。
「うーん.....謎解き要素か?」
「謎解き.....ですか?」
俺は首を縦に振った。
「ライリーは6の数字で何か思いつくものってあるか?」
「6.....ですか?うーん.....六の鐘とかしか思い浮かばないですね」
「そうか、さすがに時間を示す鐘とは関係無いだろうなぁ.....」
しばらく二人で唸っていたが、充が口を開いた。
「そういえばライリー、どうしてここに落ちてきた?自分の意思で飛び込んだのか?」
「えっ、いえ、ぼーっとしてて気づいたら落下を始めてました.....すみません、授業中にぼーっとしてたなんて.....」
充はそこを責めたい訳じゃなかったが、ライリーが謝り始めたので気にしなくていいと声をかけた後、もう一度充は思考に耽ける。
(ぼーっとしてた.....って事はきっと確率変動者の影響によるものだ.....となるとその確率に近づいてきているってことだよな?って事は.....)
「6.....属性の数、か」
「属性.....ですか?」
そう、ライリーの属性を増やしたいという可能性を確率変動者で掴み取った。恐らくこの6つの窪みは属性と何か関係のあるものだろう。そして俺もこの穴に飛び込んだ、という事は恐らく俺が『何か』を『何とか』しなければいけない場面なのだろう。
ヒントが少なすぎるのに俺がしなければいけない事は大量にあると予想する。
これだけは言わせて欲しい、
(そんな、無茶な.....)




