第81話
次に俺が向かったのはエリックの場所だった。
「ふぅぅ.....ちょっと魔力使いすぎた.....休憩.....」
そう言って近くにあった切り株に腰を落ちつける。
どうやら周りの魔物の死体を見る限り、エリックは木に紛れて奇襲することを得意とするトレントと言う魔物の群れと戦っていたようだ。トレントは単純な強さであれば冒険者ランクでいうEランクに値する魔物だ。だがほとんどの場合群れで生息しているのと奇襲による被害が多いのでDランクに位置づけられている。
(この数を一人で.....か。魔法属性の相性がいいのもあるだろうがエリック本人もかなりつよくなっているだろう)
みんなのレベルアップに期待が募る。
「よっし!休憩はこのくらい!次の魔物を探すぞー!」
そう言うといきなり立ち上がり、どこかへ走っていってしまった。
「おいおい、トレントの素材は魔法杖に使われたりするから結構いい金になるんだぞ.....」
充のそのつぶやきは誰に届くわけでもなかったが少しばかりの哀愁が漂っていたとおもう。
「おっと、ミラージュの効果が切れたか」
俺は自分の姿が見えることに気づき、再びミラージュの魔法をかけ直す。
「効果時間はだいたい15分くらいか.....まぁ十分だな」
次にモルトの場所へ向かったが、ここではとてつもない乱戦が起きていた。
「ふっ、キリが.....ないっ!」
モルトは次々と襲いかかってくるゴブリンを的確な魔法で殺していくが、どうやらゴブリンの巣をつついたようで次から次へとゴブリンが洞穴から溢れ出ていく。
(すまん、モルト。それ多分俺の確率変動者のせいだわ)
俺はモルトの宿題に書いてあった体力をつけたいと言う可能性を無理やり引っ張ってきたはずだ。何故これで体力がつくのかは不思議だがステータスの体力に依存して体力が上がっていく。
体力をつけるために必要なのは前世のように長期的なトレーニングではなく、短期的になおかつ休む暇なく、自分のレベルを上げることである。
モルトは集団の相手に慣れ始めているのか、敵の攻撃をしっかり見切って魔法を次々と放つ。
元々、魔力が高いが魔力切れにはならないように、タイミングがあれば護身用の短剣で胸元に深く突き刺したりして細かな調整を行っている。
(体中に細かなかすり傷が有るところを見ると最初はこの長期的な戦いの中で体力が切れて何度か攻撃を食らったのだろうが、レベルがあがりそれと同時に体力も上がったのかほとんど疲れが見えない.....頑張ってくれ.....)
俺はそう心の中で念じると最後のライリーの場所へ向かうことにした.....が、自動精密探知の反応的にはそのままの位置にいるのだが、だんだん距離が離れていっている感じがする。
(っ!?どういうことだ!?)
充はライリーの身に危険な事が起こるかもしれないと考え、瞬時に移動する。そのライリーがいるはずの座標にあったのは地面に空いた大きな穴だ。
「なるほど.....自動精密探知はあくまでX座標で脳内にその情報を送り込んでいるのか.....ライリーの存在感が離れていったのはY軸で下に落ちていったから.....」
俺はもう一度自動精密探知を行い、ライリーがしっかり生きていることを確認、存在感が離れていく感覚もないので一番下に辿り着いたということだろう。
「.....さすがに一人でここ行かせる訳には行かないよなぁ.....」
そして俺はその穴に飛び込んだ。




