第73話
授業の時間はゴーランさんの訪問によりほとんど潰れてしまったためにこれといった授業はしないことになった。
「そう言えばアイシャ、人見知りを我慢してヒールの実験台に名乗り出たのは偉かったな」
俺は先程のアイシャの行動を褒める。すると、ぷいっと顔をそむけ、
「別にいいわ、私もこの傷を治してもらいたかっただけだし.........役に立ちたくてやったわけじゃないんだから.....」
「分かってるさ」
俺はアイシャの言葉に同意した。すると、アイシャはやや、不機嫌そうに頬を膨らませた。
「何もわかってないわよ.....バカ.....」
「ん?なんか言ったか?」
「何も言ってないわよ」
そこで一方的に会話が打ち切られる。
(何か気に触ることをしたか?したなら申し訳ないな)
「そう言えばミツルさん、新歓闘技大会の方はどうです?」
そこでエリーナ校長が気を使ってくれたのか、会話の種を蒔いてくれた。
「あぁ、とりあえず無詠唱は教えた。それと昨日言った通り、今日は魔物を狩りに行ってレベルアップを図るつもりだ」
「そうですか、この学校の未来のために頑張ってくださいね!」
両手でガッツポーズを作り、ファイト!と言ってきた。
「そう言えば援助が減らされるだかとか言ってたな.....」
「ミツルさんあと五分ほどで今日最後の授業が終わるのでもう行った方がいいのでは?最近ミツルさんギリギリ不思議先生って言われてますよ」
「それはなんとも.....まぁ心当たりはあるんだよな.....」
この世界には腕時計などという精密機械はないので部屋にある固定された時計しか時間を確認する手段が無いため、どうしても最近は時間にルーズになってしまっている。
「あはは、じゃあそろそろ行ってください。じゃないと生徒達にギリギリ不思議先生のあだ名が定着しますよ」
「それは嫌だな.....じゃ、また来週」
「はい、さようなら」
「.....じゃあね」
アイシャは最後の最後まで不機嫌だったが、挨拶は返してくれた。明日は午前はエリックの回復魔法の授業について、午後は特Sクラスの授業がないので明日はアイシャとは会えないが、この分だと来週には機嫌を直してくれているだろう。
そして俺は心残り無く、正面玄関前に転移した。




