第71話
「ふわぁぁ.....さっきまでポカポカだったから眠気がすごいな.....」
俺は大きく開いた口を手で隠しながら特Sクラスに向かっていた。
今日はなんの授業をするのか聞いていないので少し期待しながら教室の扉を開ける。
「こんにちはー.....っと、お客様が来てたか。出直した方がいいか?」
俺が扉を開けるとそこにはアイシャとエリーナ校長と、筋肉隆々のナイスガイがいた。アイシャが小さくこちらに手を振っている。
「あぁ、いえ。出直さなくても結構ですよ。ちょうどいいので紹介しましょうか、こちらがミツル・アラキです」
エリーナ校長がナイスガイに俺の事を紹介する。
「どうも、ミツルです」
俺は適当に頭を下げ、改めて名前を名乗った。
「おお!あなたがですか!申し遅れました、自分は王家専属回復魔法師のゴーラン・デルトと言います」
ゴーランと名乗ったその男は深々と頭を下げ、自己紹介をした。というかこの人この見た目で回復魔法師って.....人は見かけによらないんだな。
「そんなに畏まらないでください。なんで俺の名前を知ってるんですか?」
「冒険者ギルドマスターから陛下に報告があったらしく、なんでもギルドマスターを打ち倒す程の技術がありながら、ヒールひとつで毒を浴び瀕死だった者を救ったというなんとも信じ難い内容だったのです」
うん、普通に覚えがある。ギルドマスターはなんかいつの間にか倒れてたし、毒を浴び瀕死だったのはリンのことだろう。
「その話を先日陛下から直々に、ミツルさんの紹介を受けたわけです」
「はぁ、それで.....確かにそれをしたのは俺だけど」
正直、回復魔法にどんな種類があるとかよく分からない。俺は前世の医療の技術を欠片でも知っていたからイメージで使えたがこの世界だとそうもいかないだろう。
「おぉ、そうですか!出来れば回復魔法を見せてもらいたいのですが.....けが人が都合よくいるわけもないので諦めましょうかね.....」
「あっ、それなら」
今までほとんど空気だったアイシャが言葉を発した。
「私、昨日ギルドの依頼をうけて少し怪我をしてしまったの」
そう言ってアイシャは右腕を捲り、その傷を露わにした。その傷は肩から肘の関節にかけてバッサリ三本の筋が通っている。
それを見て、ゴーランは顔を顰めこう言う。
「これはサイレントキャットの爪によるものですかね?」
「えぇ、そうね」
「ここまで深い傷になるとどうしても跡が残ってしまうかもしれません.....サイレントキャットの爪には細かなギザギザがあり、傷が残りやすいのです.....」
「へぇ、そうなのか」
「ミツル、治してくれる?」
そう言ってアイシャは俺に微笑みかけてくる。跡が残るとはこれっぽっちも思ってないようだ。
「あぁ、もちろん」
そして、俺は魔力を練り始めた。




