第70話
歴史のジャンルの本がびっしりと並べられている本棚から手近な本を抜き取る。
「題名は.....『アスメル王国と周辺諸国』か。うん、とりあえずこれを読んでおこうか」
俺はその本を持ち、読書コーナーらしき場所で腰を落ちつける。
適当にページをパラパラとめくり、そこから読み始めることにした。窓から差し込んでくる太陽の温かさを感じながら十数分間読み続け、分かったことを頭の中で整理する。
⚪︎アスメル王国はおよそ900年前にできた国である。
⚪︎だが、アスメル王国が出来てから469年後に起きた、炎龍の暴走による王都大火災により、その起源などは失伝されている。
⚪︎この炎龍の暴走を食い止めたのが後のアズマの国の王となる、コウイチ・アズマとその一行である。
「このコウイチ・アズマって絶対日本人だよな.....」
俺はそこのところを調べるべく、席を立ち、次はアズマの国の歴史についての本を探す。
「あったあった、『アズマの国の歴史』か、まぁ単刀直入だから安心感があるな」
俺はまた同じ場所に座り、読書を続ける。
「これは.....どういうことだ?」
その本にはこう書いてある。
『アズマの国の起源は炎龍の暴走を食い止めるために、アスメル王国国王のドーラン・エスバレッタが王家にのみ伝わる秘伝の召喚の儀を行い、召喚された四人の勇者が興した国である。その四人の名前を、コウイチ・アズマ、サイカ・ニシゾノ、ナギサ・ミナミ、イツキ・キタミカドという』
一見するとおかしな部分はない。だが俺だけ、いや、神だけが知りうるルールがある。それは、
「同じ世界に一人しか転生者、転移者は存在できない.....ってルールがあったと思ったんだけどな.....」
こればっかりは俺が考えてわかる範囲をこえている。
「悩んでも仕方ない.....今日の夜にでもゼノに聞いてみるか」
とりあえずその事を頭の隅におしやり、続きを読み始める。
『この四人は炎龍の暴走により焼けた土地を自分達を慕ってくれている人々をひきつれ、開拓し、そこを「アズマの国」と名づけることにした。アズマの国は四人の名前からアズマ、ニシゾノ、ミナミ、キタミカドの四つの都市に分けられた。
四人はそれぞれ子孫を残し、その最も血を色濃くうけついだ子孫には初代が持っていたスキルが継承されていった』
「.....まぁ日本人が四人いたのには驚いたがある程度は把握したぞ」
だが、アスメル王国の周辺の国はアズマの国だけではないのでもう少し、図書館に通うことになりそうである。
そしてちょうど良い時間になったのでトーカに軽く挨拶をして、図書館をあとにした。




