第67話
俺はそれぞれの宿題を読んでいき、順次確率変動者を使っていくことにした。
まずはエリックから。
「エリックは.....なるほど、光属性が少し高いのを利用して回復魔法を覚えたいのか。回復魔法を使いながら炎の拳で殴りつけてくる近距離型魔法使いか.....これは敵だと相当厄介だな。一発で致死ダメージを与えなければ無限に回復されると.....」
うん、エリックには回復魔法取得の確率を上げておこう。
俺は確率変動者を使う。目を瞑り、意識を集中させ、幾千、幾億の可能性が頭に流れ込んでくる。
「うぐっ.....な、んだ、これっ...」
充は脳みそが捻られているかのような激しい頭痛に見舞われながらも、光り輝く一つの可能性を掴み取り、目を開ける。
「.....っはぁっ!!はぁっ.....これで.....いいのか?」
充は自分の掌を見る。そこにはさっき掴んだはずの可能性は見当たらないが、充にはわかる。あれで成功なのだ。
「.....これがあと四回.....気合い入れないと.....」
俺は頬を軽く叩き、気合を入れる。
次はモルトだ。
「モルトは.....へぇ、自分が短期決戦よりも長期戦向けの戦い方ということを理解しているのか。だから体力を付けたい.....か確かに俺との戦闘では威力の高い弾幕で短期決戦を狙っていたが弱い魔法で相手の消耗を待つ方が確実だよな」
エリックの時と同じように確率変動者を使う。
「あれ、さっきより痛みが少ないぞ」
そのおかげでさっきよりあっさり可能性を掴み取る事ができた。
「どういうことだ?なんでこんなに違いが出るんだ?」
俺はステータスを開き、新しいスキルなどが無いか、確認する。だが、特にこれといった変化はない。
「.....よく分からないけどとりあえずラッキーだったのか?」
とりあえずこの件は置いといてフォンの宿題を読んでいく。
「丁寧に戦況の判断をしたい.....ねぇ、それに準ずる魔法が時空魔法にあった気がするな.....えーと、空間把握とかだっけかよしじゃあその方向で.....」
またしても襲いくる頭痛は最初ほど凶悪ではなく、耐えられる程度の痛みで済んだ。
「この痛みの基準ってなんだ?.....いやいや、置いとくって決めたんだから次だ次。レーシャの宿題は.....これか」
影魔法の使い道をもっと広げたい、とある。
「.....要するに影魔法強化すればいいのかな.....いや、そうじゃないか。もっと用途を増やしたい.....」
充はとりあえず確率変動者を使う。
「ぁぁああああっっ!!」
今度は激しい頭痛が襲ってきた。
「ぐっ.....がぁぁっ.....」
充は何とか光り輝く可能性を掴み取り、その頭痛を終わらせる。
「これは.....なんなんだ.....今までの可能性に何かヒントは.....」
もはや置いておくと言った自分の言葉も忘れ、思考に耽ける。
「.....もしかしてその可能性の自然発生率に関係しているのか.....?」
頭痛が弱かったモルトとフォン。この二人は自分が努力すればこの未来を簡単に掴み取る事ができただろう。
モルトなら体力を付けたいなら走り込みをすればいいし、フォンは時空魔法を覚えているのであとは授業で習っていけばいつかは空間把握の魔法も覚えただろう。
だがしかし、エリックとレーシャはどうだろうか。
エリックの望んだ回復魔法は賢者や、大賢者などの職業を持つ人が基本的に使うことが出来る。この二つのジョブじゃない場合もあるが、それは教会などで特殊な修練を積んだシスターなどに限る。そう考えるとエリックが確率変動者なしで回復魔法を手に入れる可能性というのは果てしなく低いのではないだろうか。
レーシャは影魔法というかなり特殊な魔法を使用している。この影魔法という魔法は使い手が少なく、『影に潜る』という動作以外を探すのは難しく思う。なのでエリック程ではないが頭痛が酷かったのだろう。
「って考えるとなんだか納得いくな.....ラストだ。ライリーの望んだ戦闘スタイルは.....」
俺はその紙に書かれた文章を読み進めていく。誰よりも長く、詳しく綴られている。それを読み終えた俺は、
「.....ははは、これはスキル使った後俺生きてられんのかな.....」
そんな絶望に苛まれたのだった。




