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属性値チートで異世界無双  作者: 陽兎月
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第6話

充はドワーフのおじさんの店で買った装備品の値段が高すぎて、装備するのがなんとなく嫌になったが、装備しないと、宝の持ち腐れになるので渋々装備することにする。ここに来て貧乏性が出てきているのである。


「えーっと....ギルドはー.....っと....ここか」


 道に迷いそうになりながらも、無事冒険者ギルドに到着した。充は適当な依頼を探すために依頼が張り出してある、掲示板を眺める。


(結構色んなものがあるんだな。公共施設の清掃や、魔物の素材、薬草採取なんかもある)


 充はしばらく掲示板を眺めたあと、Cランククエストのレッドウルフの討伐依頼と言うものを受けることにし、掲示板からその紙を剥がし、受付に持っていく。


「あの、このクエストを受けたいのだが」


「あっはい。しょうしょうおまちをー.....あなたミツルさんですか?」


「え、あ、はいそうですが」


「ギルドマスターから直々に話がしたいから、ギルドに来たら、ギルドマスターの執務室まで来いと伝言を預かってますー」


「ギルドマスターが?」


 まぁ、昨日あんな風に殺しかけてしまったからお見舞いの一つくらい行ってやらんでもない。


「ギルドマスターの執務室ってどこにありますか?」


「あっ、案内しますねー」


 受付嬢は受付停止の札をカウンターの上に置き、カウンターから出てくる。


「では付いてきてくださいー」


 そして案内された場所は、冒険者ギルドの2階だった。


 受付嬢がコンコンと2回ノックすると中からギルマスの「入れ」という声が聞こえ、受付嬢は扉を開ける。


「お忙しい中失礼しますー。ミツル様がお越しになられたのでお連れした次第ですー」


「ご苦労。仕事に戻ってくれ」


 そう言われると、一礼して受付嬢は、1階に戻って行った。


「そんなところに突っ立ってないでこっちに来て座るといい」


「ご丁寧にどうも」


 しばらくの沈黙が続く。そしてその沈黙を破ったのは充だった。


「怪我の調子はどうだ?昨日は少しやりすぎてしまったみたいでな。まだ加減が分からないから許して欲しい」


「あぁ、そのことなら心配ない。お前がかけてくれたヒールで全快した。で、お前をここに呼び出したのはそれが関係している」


「それって言うのは?」


「お前の使う魔法についてだ。あんな見たこともない魔法を使えるのに、回復魔法まで使えるときた。不思議に思っても仕方ないことだ」


「あんな魔法って.....魔法ってイメージ次第で基本何でもできるんじゃないのか?」


「いや、そんなことできたらこの世界のバランスがブレイクするわ」


「そうか?いや、でも俺はそうやって魔法使ってるわけだしなぁ....」


「お前はそれが出来ると?」


「あぁたぶん。イメージができればな」


「.....まぁいい。あまり詮索するのも野暮だろ。まぁお前と少しでも話せてよかった。お前は有能そうだからな」


「そりゃどーも」


「じゃあ俺からは以上だが.....お前からは何かあるか?」


「いや、特に大したことはないな」


「じゃあこれでお開きにしよう。お前はこの後依頼を受けるだろうし、私はこの通り書類が山積みになっているからな」


 そう言いつつ、机の上に置いてある書類の山に目を向けた。


「それってもしかしなくても昨日仕事出来なかったからか?」


「まぁそうなるね」


「なんかすまん」


 こんな会話をしていた時だった。


「....なんか下が騒がしくないか?」


「やっぱりそう思う?」


「行ってみるか」


 そして2人で、少し急ぎ気味で、階段を降りていく。段々下の階の喧騒が大きくなっていく。


「だれか!上級の回復魔法か解毒魔法を使える人はいませんか!早くしないとリンが.....リンが死んじゃう!」


 そこにはかなり焦った様子のテルーナと、ぐったりした様子のリンがいた。


 「あぁ....あれはもう助からんな」


 「あんなひどそうな毒受けてちゃなぁ....」


 そんな不穏な会話が聞こえてくる。恐らくリンが毒を受けてしまったのだろう。それにしても上級回復魔法や、解毒魔法を使える奴くらいいそうなものだが.....そこでギルマスが口を開いた。


 「不味いな.....今うちのギルドの回復魔法の使い手は、あらかた依頼で出払っちまってる」


 「まじか.....」


 流石に知り合いを見捨てることはできないか......


 俺は1歩足を踏み出した。



時は少し遡る......


ーーーーーーーーーーーーーーーーー





どうしてこうなっちゃったんだろう.....


 私とリンはこれでもCランク冒険者でそこそこのベテランなのだ。それが何故.....


 私とリンは今日も何らかの依頼を受けるために、冒険者ギルドに向かった。そしていつものように掲示板に張り出されてる依頼を眺め、手頃なものを探す。


「テルちゃん、これとかいいんじゃ ないかな?」


「んー?どれどれー?」


 リンが探してきたのはポイズンフロッグという毒を持つ蛙8体の討伐依頼だった。


「んー....毒が少し怖くない?」


 解毒ポーションを買うにしてもお金がかかるし、このポイズンフロッグは私たちのランク、つまりCランクの討伐依頼だ。冒険者ランクと魔物のランクは1対1で戦ってほぼ互角という強さを示唆するものだった。


「大丈夫だと思うけどな.....このポイズンフロッグの毒は私の中級回復魔法で解毒できるし....何より最近結構たるんでるよ?ここら辺でしっかり気を引き締めないと!」


 リンの言う事は至極まともだ。リンのジョブは魔道士で、普通はあまり回復魔法を得意としないジョブなのだがリンは賢者のレベルをカンストさせレベル20達成時に貰えた回復魔法使用可能というベースアビリティを手に入れたらしく、ほかのジョブでも回復魔法が使える。


「リンがそこまで言うならこの依頼を受けよっか!」


 まぁ怪我してもリンがいるから大丈夫だろうという判断でこの依頼を受けることにした。

 この判断が、後々私たちを苦しめるとは知らずに......


 私達は依頼を受けた後、北門に向かう。

 ポイズンフロッグは、北門から少し行った所にある沼地に生息している。


「あとどれ位で着くかなぁ?」


「もう少しだよテルちゃん」


 と、その時だった。自分達から40メートルほど離れた場所に、ポイズンフロッグが居た。


「リン!強化魔法をかけて!」


「分かったよー」


 リンが何か詠唱をすると、自分の体が軽くなった気がする。


「身体強化と、防御強化を付与したよ!」


「じゃあ行ってくる!」


「後ろから魔法で援護するね!」


 私は、剣を抜き、ポイズンフロッグ目掛けて走り出した。


「うりゃっ!」


「ゲコッ!?」


 この一撃でこのポイズンフロッグは致命傷を与えられたらしい。


 周りに気を配り、周囲に敵がいないことを確認しようとする。その時だった。


「!?」


 私が立っている沼の底に5体潜んでいたようで、一気に私に飛びかかってくる。


「ぐっ!」


 私は姿勢を低くすると、すぐに沼から出る。足場が悪いと、戦いづらい。

 そしてポイズンフロッグは、私に飛び掛ったことにより1箇所に密集していた。

 そこに、水刃が5つ飛んでいく。リンの魔法だ。そしてポイズンフロッグが5体動かなくなったことをしっかり確認してリンの方へ振り向く。


「リンありが......」


 振り向いた先には信じられない光景が写っていた。


「え?」


 リンが地面に倒れ付しているのである。そしてその後ろには、自分達が今まで戦っていた、ポイズンフロッグの5倍はあろうかという大きさの蛙だった。


(デスポイズンフロッグ!?)


 初めて見た。だが、聞いたことはある。冒険者ギルドの書庫で本を少し読んでた時にこいつの名前を見た。そいつの毒を浴びたものは約半日で死に至るという。


(リンが危ない!!)


 リンはもう既に毒を受けている状態だ。しかも、このデスポイズンフロッグの毒を解毒するためには上級回復魔法か、解毒魔法を使う必要がある。

 解毒魔法は、そこそこレベルが高い者でないと使えない。


「リンを助けなきゃ....!」


 でもどうやって?デスポイズンフロッグのターゲットはもう私に移っている。あれを倒すのは無理。なら打てる手は一つ。


(リンを回収して逃げるしかない!)


 その瞬間私は駆け出した。そしてリンを回収し、後ろも見ずに、街の方へ走っていく。

 後ろからドスンドスンという音が聞こえてくる。まだ追いかけてきているのだろう。


 .....どれ位走っただろうか。いつしか、自分達を追う音は聞こえなくなっている。ようやく門が見えてきた。


 こんな急いでる時にも通行の確認はしなければならないようだ。

 ギルドカードを門番に渡そうとする。

 門番が、ギルドカードを確認している時間が惜しい。

 すると門番は、


「そっちの姉ちゃんかなりやばいんだろ?あんたらの顔は見慣れてるから今は、身分証明なんていいから、さっさと回復魔法を使える人に頼んで治してもらいな」


 と、言ってくれたのである。


「っ.....ありがとうございます!」


 縺れて、転びそうになるのを気力で必死に立て直しながら走る。

 そして私は冒険者ギルドに駆け込む。


「だれか!上級の回復魔法か解毒魔法を使える人はいませんか!早くしないとリンが.....リンが死んじゃう!」


 だが、誰も回復魔法を使える者がいないようだ。

 私が絶望しかけたその時だった。

 肩に手をおかれ、


「どいてろ。治してやる」


 と、言われたのだ。


 そこに居たのは昨日登録したというあの少年だった。


 こんな少年が上級回復魔法なんか使えるはずないと思っている自分がいる。

 だけど、何故かリンが助かるという確信めいた物があった。


 気の抜けた私はそこで気を失った。

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