第56話
今度は先程のように生徒達を驚かせないように、転移をしないで普通に扉から入った。すると、なぜかまた奇異の目を向けられる。
「やっぱりあれだけの魔法、使用制限があるのか.....?」
「いや、さっきので魔力が枯渇したのかもしれないわよ」
「すごく興味がある、知りたい、知りたいしりたい!」
「お、おおぅ.....」
若干おかしなのがいた気がするが今から時空魔法の授業をするのだ。いずれ転移魔法も教えることになるだろう。
「じゃあ早速だけどみんなは魔法を行使する時どのように発動させるのかな?」
そう聞くとみんな困惑しながらも答えてくれる。
「どのようにって.....詠唱して、その意味に沿った魔法を放ちます」
なるほど、やはりそう考えているのか。この意見に反論する者もいないので恐らくこれがこの世界の常識なのだろう。
「そう、それだ。みんなはそれが当たり前だと思っているだろう」
全員が頷く。
「うん、じゃあこれを見てどう思う?」
そう言って、充は指の先に火球を作り出す。もちろん詠唱無しでだ。
「えっ!?今詠唱してました!?」
一人の生徒が思わずそう、声を上げる。
「いや、してないよ」
「ばかな.....いや、でも詠唱を済ませて待機状態にしておけばもしくは.....」
「ふむ、一理ある。じゃあこの中で一番使える魔法属性が多い子はだれかな?」
「はい、僕です」
そう言って手を上げたのは先程の学級委員長的な男の子だった。
「君はさっきの.....えーと、名前は.....」
「ライリー.....エミュートレス・ライリーです。この学校内では爵位は関係無いので普通にライリーと呼んでください」
そう言って男の子、ライリーは微笑みかけてくる。とても柔らかい印象を受ける。
「分かった。ライリー、俺と模擬戦をしよう。ルールは簡単、3分以内に俺に魔法を一発でも当てれたらライリーの勝ちでいい。できるだけいろんな属性魔法をたのむ」
「分かりました、全力で行きますよ?」
「むしろ手を抜いたらこっちから攻撃するからな?」
そして二人とも位置に着く。
「よし、いつでも来い」
「じゃあいきますよ!」
そう言っていきなり風と水の初級魔法である、ウォーターボールとウインドボールを放ってくる。
「二属性同時か、なかなかやるな」
充はそう言いつつ、ウォーターボールはグラウンドシールドで防ぎ、ウインドボールにはファイアボールをぶつけ、相殺する。
「っ.....まだまだですよ!!」
そう言ってライリーはさらに多くの魔法を展開し、属性も四属性全てを使って攻撃してきた。
「そうそう、もっと頑張れば俺に当たるかもしれないぞ?」
そして、充が2分30秒ほどもちこたえた時、攻撃が途絶える。
「はぁっ、はぁっ、凄いですね、先生」
「ライリー君もかなりいい威力の魔法を放ってくるね」
「それなりに鍛えてますので.....先生、次に放つのが私の最後の魔法です。さっきまでは先生に全て無詠唱による素早い展開で防がれていましたが見たところ、先生は細かい技で防いでいる様子、なので僕の本気の魔法で.....吹き飛ばします!!!」
「そうか、本気か。じゃあ俺も皆の授業を兼ねて時空魔法の使い方っていうものを教えてあげよう」
ライリー君はかなりの時間を使って魔力を溜めていく。こっちから手を出さないという条件があるからこそのこの技である。
「行きます.....四大属性全放射!!!」
次の瞬間、凄まじい音と共に砂埃が舞い上がった。




