第53話
充が家に転移すると、もう既に充は起きなければならない時間となっており、急いでシャワーを浴び、夜中のうちにかいた汗を流す。
「おしっ、サッパリした」
この世界には簡単な石鹸はあるがシャンプーという物はない。今度作ってみてみるのもいいかもしれない。
充が布で体を拭きながらそんなことを考えていると、廊下を歩く軽い音が聞こえてくる。それと同時に浴室の扉が開かれる。
「ふわあぁ.....ねむいです.....?」
そう言って入ってきたのはネグリジェを着たリンだった。そしてあくびが終わると共に目の前のものに視線が行く。
充は服を着ておらず咄嗟にタオルで局部を隠した。
「ミ.....ツルさん.....?」
「お、おうリン、おはよう。とりあえず扉閉めてくれるか?」
「ごっごめんなさい!わざとじゃないんです!」
「わ、分かったから!」
リンはバーン!と扉をしめ、バタバタと音を立てながら走り去って行った。
「.....今度この扉に鍵をつけておこう.....後でリンに謝っておかないと」
充は改めて服を着て、浴室を出る。
「さすがにちょいと眠いが大丈夫だろう」
充は適当な朝ごはんを食べるために台所へ向かおうとし、途中でとてもいい匂いがすることに気づく。
充がリビングに行くとちょうどメリッサが作った料理をポールが運び終わったところだった。
「おはようございます、ご主人様。今日の朝食は葉野菜のサラダとコンソメスープ、パンとなっております。お飲み物はコーヒーで宜しかったでしょうか?」
「あぁ、ありがとう。初日からこんなに働いてくれて助かるよ。よく俺がこの時間に来るってわかってたね」
「はい、ご主人様が帰ってきた時間がおおよそ昨日ルナリア様に聞いた起床時間時間と同じだったのでそこからの準備となり、少々粗末なものですが」
「俺が帰ってきたのが分かったのか.....」
どうやらポールは執事としてだけではなく武人としても一流のようだ。
「恐れ入ります」
とりあえず俺はご飯を食べる事にした。やはりベテランが作るだけあり、かなり美味しくできていた。もちろんただの葉野菜、ただのパン、ただのコンソメスープなのだがそのどれもが美味しかった。
「よし、準備出来たし少し時間あるけどもう出るか」
「ん、ミツル.....?もう行くの?」
声をかけてきたのは眠そうに目をこするチヅルだった。
「チヅルか、うんもう行くよ。チヅルは早起きさんなんだね」
「ん.....」
充はその銀のメッシュが入った黒髪を優しく撫でてやる。
「.......ん?って、チヅル!?髪どうしたんだ!?」
昨日の夜に見たカラーリングが反転していた。




