第50話
「運んで参りました、ミツル様。」
「うん、ありがとう」
ポールが客間のベッドにアイシャを寝かせて来た。
「よし、じゃあ今日から仕事してもらってもいいのかな?」
「はい、なんなりとお申し付けください」
「じゃあ、夕飯をつくってくれ。あ、それとアイシャに一応軽い食べ物を」
「承りました」
「よし、じゃあ俺はもうしばらくくつろいでようかな」
そうして俺はソファに体を預ける。
「どうぞ、紅茶でございます。ルナリア様もどうぞ」
「おお、ありがとう」
「ありがとうございます」
さすがポールだ。とてもいい香りがする。しかし、いつの間に湯を沸かせたのだろう?
そうしてしばらくくつろいでいるとメリッサ達3人が向かったキッチンから騒がしい音と声が聞こえてくる。
「ミツルさん!なんか知らないメイドさんがキッチンに来たの!早く来てなの!」
キッチンで今日の夕飯をつくっていたセイラが充の胸元にダイブしてきた。
「ごふっ.....だ、大丈夫だよ。あのメイドさんは今日から家の仕事をしてくれるいい人だから」
そう言うとセイラの後ろから歩いてついてきたチヅルが目を潤ませながら、
「ミツル、私達もういらない子ですか.....?」
そう聞いてきた。胸元のセイラも心配そうにこちらを見上げている。
「いや、違うよ。誤解させる言い方をして悪かったね。今日からみんなに家事や他の仕事を教えてくれる人達だよ」
充はなだめるように優しい声でそう諭す。
「ほんと?私達まだ居て大丈夫?」
チヅルが尚も心配そうにそう聞いてくるので俺はそっと頷く。
するとチヅルはぱぁっと顔を綻ばせた。
「よかった。私、頑張って充のおよめさんになる!」
「チヅルちゃんずるいの!私も頑張るの!」
「ぶっっ!!?」
思わず口に含んだ紅茶を吹きそうになった。何はともあれ元気を取り戻した二人はまたキッチンの方へ走っていく。
「やはりモテますね。ミツル様は」
ハンカチを差し出しながらポールが話しかけてくる。充はハンカチを受け取り、口を拭く。
「.....モテると言うよりは懐かれてるのでは.....?」
ふと、キッチンの方へ消えるチヅルの後ろ姿を見ると、チヅルは美しい銀髪だったはずだが一筋の黒い髪があり、ミツルは首を傾げる。
(あんなメッシュあったか.....?)
充は一人疑問を浮かべ、首を捻るのだった。




