第41話
学校についたのは日が傾き、夕焼け空が綺麗になってきた頃だった。
特Sクラスに戻るとエリーナ校長がまだ机に突っ伏していた。アイシャはすぐに近づいていってエリーナ校長を揺する。
「ほら先生、起きてください。寝たフリのつもりが本当に寝ちゃったんですか?」
「んにゅぅ.....?アイシャさん.....?ハッ!私ほんとに寝ちゃってました!どれくらい寝てたですか!?」
エリーナ校長の慌てふためく姿を見て充は追い討ちをかける。
「エリーナ先生、落ち着いて。語尾がおかしくなってるぞ。まだ夕焼けが綺麗に見える位だ。今から仕事を始めれば日付が変わる頃には寝れるぞ」
「もうそんな時間ですか!!?こうしちゃいられません、私は仕事に戻ります!あ、ミツルさん明日もお願いします!」
そう言い残してばたばたと走ってどこかへ行ってしまった。
「よし、じゃあ今日はもう終わりだな!帰ろ帰ろ」
充は自分の家に帰ろうとしたがふと思ったことを口にする。
「そう言えばアイシャはどこに住んでいるんだ?」
「え、私の住んでいる場所を聞いて今夜押掛けるつもりですか?」
いかにもうわぁ.....と言った様子で体を抱きしめ、身を引くアイシャ。
「そんなんじゃないぞ!?いやほら、ルナリアが回復してから1回も会ってないんだろ?家が近いならすぐに顔を見れるしさ」
その言葉を聞くとアイシャはこほん、と咳払いをした。
「冗談ですよ。そうですね、ルナお姉様の顔も見ておきたいので連れていってもらっていいですか?」
「よし、じゃあ行くか。転移!」
「え、ちょまっ」
どんどんと景色が変わっていく。気がつくとそこは充の家の正門前だった。
「ミツルさん!私カバン置いてきちゃったんですが!明日の予習が!」
「なんだそんなことか、俺の家に魔法に詳しいやつが居るから聞けばいいよ」
そして充は正門を潜り、玄関の扉を開く。
「ただいまー」
「お、お邪魔します」
アイシャは少しだけ緊張しているのか声が堅苦しい。
少しすると、家の奥から足音が迫ってくる。
「ミツル様!今の声!女の!.....って、アイシャ?」
「お姉様、お久しぶりです!」
アイシャはたまらずルナリアに抱きつく。
ルナリアもアイシャに抱きつき返す。
「アイシャ、久しぶり。元気にしてた?」
「おっ、お姉様っ、治っ、て良かったです」
アイシャはポロポロと涙を流してルナリアと言葉を交わす。
「ルナ、アイシャが学校にいてな、色々あってお前に会わせるために連れてきた」
「そうですか。ありがとうございます、ミツル様。ほら、アイシャも」
「ミツル、ありがとぉぉ!」
「でも人見知りのアイシャがよくミツル様と話せましたね?」
アイシャは肩をビクッと跳ねさせる。
「あぁ、俺が入口が分からなくて学校の前をウロウロしてたら声をかけてきてくれたんだ。今思うとよく話しかけてきたな?」
ここでルナリアが更に迫る。
「そう言えばアイシャって私と好きなタイプって似てたわよね?あれ?あれれ?」
それを聞いたアイシャは急いで反論する。
「いやっ!?べつに?かっこいいなとか思って声をかけたわけじゃないし!?」
「ふーん....じゃあ私がミツル様を独り占めしても何も文句ないわよね?」
「っ!.....べつに文句ないわよ」
「じゃあミツル様、キスしてくれませんか?」
「え、なんで今このタイミングで!?」
困惑する充を置いて、ルナリアが唇を近づけていく。
「だめっ!分かったわよ!認めるわ!私もミツルのことが好きよ!最初見た時からかっこいいと思ったのにおまけにすごく強いんだもん!惚れないわけないでしょ!?」
アイシャは顔に火がついたように赤くなり、ルナリアはニヤニヤしてアイシャの頭を撫でて、充はどことなく気まずいという、なんとも混沌とした状況が生まれた。




