第11話
「なんだこの爽快感!やばいな!」
充は属性解放を語彙力が低下するほど気に入り、乱用していた。恐らくここら辺のグリーンウルフは狩り尽くしたであろう。
「流石にやりすぎたか?」
あまりにも充が爆撃しすぎたせいで地形が変わってしまっている。
「生態系が変わってもらってもなんか罪悪感あるしなぁ」
充はそう考え、また新たに魔法を生み出す。
「アースクリエイト」
充がその魔法を使った瞬間ボコボコになった地面が埋まっていく。
ちなみにこの魔法は元々この世界にあったが、普通は掌に土を生み出す程度の魔法だ。
充が使うからこの量の土を生み出すことが出来るのである。
「これで良し!さて、依頼も達成したし帰るか」
そう言って充は帰っていく。
そして昨日と同じく、ギルドカードを門番に見せ、通り抜けようとした時
「ミツルさんですね!王からの指名依頼が入っていますので、王城まで来ていただきます」
「は?指名依頼?いやいや、俺そういうの聞いてないんでパスで」
と、門番が囁いてきた。
指名依頼?何それ聞くだけで面倒くさい事がわかる。
「あなたがミツルさんですね。私は王国騎士団団長テイル・ヴォルガーです」
「なんか偉そうな地位だけど面倒いんでパスで」
「まぁまぁそう言わずに。依頼を達成すればこれだけの報酬をお支払いします」
そう言って紙切れを渡してきた。その紙切れには金貨1000枚と書いてある。
「...........依頼内容は?」
「......今ここではいえません。ですが、あなたが得意とすることです」
「得意?」
(......爆裂か?いや、でも王がそんなことを希望するとは思えないから.....)
「回復.....か?」
テイルは小さく頷く。
「分かったよ。とりあえず城まで案内してくれ」
こうして俺の王城行きが決まった。
俺はテイルが乗ってきた馬車に一緒に乗った。かなり豪華な造りとなっていて、座席車がふかふかしている。
「ミツルさんはこの国に来てから日が浅いでしょう?」
「よく分かったな.....いや、調べたのか?」
「えぇまぁ、これから王城に案内する者の素性を調べない事には王の御前に立たせることが出来ないので」
「でも俺がどこから来たかまでは分からなかっただろう?こんな不審な人物を王城に連れてっていいのか?」
俺がニヤニヤしながらそう聞くと、テイルは少し困ったような顔をして、
「.....確かにどこから来たのかはさっぱり分かりませんでした。門番が言うには田舎から来たと.....ですがこの国の名前を知らなかったとも言っていました。あまりにも不審だったのですが、あなたはあんな回復魔法を使える。そしてそれを行使した。普通は法外な金をとっても文句は言われないような状態なのに、あなたはそうしなかった。」
「思ったよりもしっかり調べてんな.......」
「はい。あなたが『餓狼の遠吠え』から少女を救った事も調べてありますよ」
テイルはそう言うとさっきのお返しとばかりにニヤニヤしてこちらを見てくる。
(餓狼の遠吠え.....?恐らくあいつらの所属してるチームか何かか?)
取りあえずここは話を合わせることにした。
「あまり自分の功績をひけらかすのは好きじゃないんだ。出来れば言いふらさないで欲しい」
「分かりましたよ.....っとそろそろ王城が見えて来ました」
充は窓を覗く。
「おお、遠目から見るとそこまでだったが近くで見ると迫力あるなぁ」
充の視線の先にはthe西洋のお城という感じの城があった。
さらに城下街というのだろうか、道も舗装され綺麗な家が立ち並んでいる。
(帰る前にここを観光するのもいいかもな)
そして数分後城門につき、そこでテイルが何やら門番と話し、そのまま城門を通り抜けた。
ふと、充は心配になったことをテイルに聞いてみる。
「あのさ......俺礼儀とかよく分からないし、服もさっきまで依頼をこなしてたから汚いんだけどどうしたらいいんだ?」
「あぁ、今回はプライベートなので堅苦しい事はしないと思います。でも、服は......こちらで別なものを用意させましょう」
「そうか。なら一安心だな」
そして充達は馬車を降り、城内部の廊下を歩く。護衛としてなのか、充達とは別の馬車に乗っていた兵とは城の入口で別れた。
「まず風呂で体の汚れを落としてください。あなたが風呂を上がるまでにはメイドに服を用意させておくので」
するとメイドがスカートの裾をつまみ上げ、綺麗な礼をする。
(おおおぉ!風呂があるのか!それにリアルメイド!)
充は極力顔に出ないように努力しながら、頷く。
「では、私たちはこれで。ごゆっくりどうぞ」
そして俺はすぐに服を脱ぎ体を洗い、湯船に浸かる。
「ふぁぁあぁぁぁあぁぁぁ........」
やはり日本人は風呂がないと生きていけないらしい。
(久しぶりに風呂に入った.......気分になってるけど3日程度風呂に入らないで、体を拭くだけで済ませていただけなのにな)
充はもう少しだけ湯船に浸かることにした。
「はぁぁ.....気持ちよかったぁぁ」
充は15分ほど湯船に浸かり、風呂場を出た。
すると、脱いだ衣服が無くなっており、代わりに小綺麗な礼服が置いてあった。
「これ着ろってことだよな.....」
それを着た自分を想像した充は少し憂鬱な気分になった。
「まぁ着るものないし仕方ないわな」
そう言いその服を来ていく。その服は全てぴったりのサイズだった。
(ここのメイドのレベルの高さが伺えるな)
そして、服を着終わった充は脱衣場の外に出る。そこにはテイルがいた。
「似合ってますよ。ミツルさん」
「お世辞はいいんだよ。さっさと治癒魔法かけて俺は城下町を観光するから早く王様のところに案内してくれ」
「.....簡単に終わるといいのですが...」
その言葉を少し不思議に思いつつ、充はテイルについて行く。
そしてとある扉の前に付き、テイルがノックする。
「殿下、例の冒険者をお連れしました」
「入れ」
「失礼致しますこちらが例の冒険者の...」
「充です。今回は指名依頼をいただき参上しました」
「そうか...テイルは持ち場に戻って良いぞ」
「はっ」
そう言ってテイルは出ていってしまった。
「わしはベイン=エスバレッタという。」
「あっはい。よろしくお願いします」
そしてしばらく沈黙が続く。
「...........あの、さっさと依頼を達成したいんですが」
「あぁ、こっちに来てくれ」
そう言うと王様は執務室の椅子から立ち上がり、その後ろにある扉を開け、入っていった。俺もその後に続く。
その部屋には1つ大きなベッドがあり、そこには金髪の女の子が横たわっていた。とても端正な顔立ちだが、顔に生気がない。
「こいつはわしの娘でな、ルナリアと言う。こいつは日々病魔に侵され、うなされている。このままでは死んでしまう.....今まで腕利きの治癒術師に何十回も頼んできた。だが、誰も治せなかった.....」
「そうですか.....」
(一応鑑定しておくか.....鑑定!)
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ルナリア=エスバレッタ(14)
状態
呪い(強)
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このステータスボードを見た俺はため息を吐く。
「王様.....ルナリアさんは治癒魔法じゃ絶対に治せません.....」
「なんじゃと!?もう娘は助からないのか!?」
膝から崩れ落ち、涙を流す王様。
(少し言い回しが意地悪かったな。まぁずっと上から目線だったからその意趣返しだ)
「はい。治癒魔法では.....ね」
充はまた新しい魔法を生み出す為、魔力を練る。
俺は、このルナリアのステータスボードを見た瞬間(そりゃ、治癒魔法じゃ治らんわな)
と、思った。なんせ何かの病気ではなく、呪いなのだ。しかも強めの呪いだ。
「王様。ルナリアさんがこうなったのはいつ頃ですか?」
「........確か2ヵ月.....いや、1ヵ月と少し前じゃな。最初は頭が痛い程度だったらしいのじゃが......」
俺は王様が1ヵ月と少し前と言った瞬間生まれつき呪いがかかっていたという選択肢を切り捨てた。
「その時期と重なるように何か.......何でもいいのでないですか?」
「......1ヵ月前.....恥ずかしい話じゃが賊が王城に忍び込んだ事があった。その時すぐに捕らえて打首にしたのじゃが、死ぬ間際に俺の目標は達成したとか何とか言っておったな」
「それですね。ルナリアさんには結構強烈な呪いがかかっています」
「呪いじゃと!?どんな内容なのじゃ!」
ふと、充も気になり、ルナリアの呪いをさらに詳しく鑑定する。
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呪い(強)・・・44日の呪い。この呪いをかけられた翌日から数えて43日間苦しみ続ける。44日目を迎えると死ぬ。(42日経過)
解呪可能呪文・・・カースブレイク
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あっぶな!危なすぎだろ!?俺があと1日来るの遅れてたら死んでたってことだろ!?
「王様。ルナリアさんにかかっているのは44日の呪いと言います。43日間苦しみ続けて、44日目で死に至ります。ちなみに42日経過してます。おそらく今日の午前零時を過ぎると同時に死ぬ.......予定だったのでしょう。」
「予定......?」
「えぇ、俺がこの場にいる時点でルナリアさんが死ぬ可能性は零になったんですから」
「それはどういう.......」
王様のその言葉を遮り、充は今まで練っていた魔力を解放し、鍵言を唱える。
「カースブレイク!」
充がそう唱えた瞬間王城全体に響くほどのガラスが割るような音が鳴り響いた。
すかさず充はルナリアの状態を確認する。
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ルナリア=エスバレッタ(14)
状態
なし
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よし。解呪成功だな。
「王様。ルナリアさんはもう大丈夫ですよ。もう呪いは消えました」
「本当か!?本当なのか!」
「もちろんです」
「あぁ良かった.....ルナリアぁぁ.....」
「........お父様....?一体どうしたのです?」
どうやらルナリアが目を覚ましたようだ。その声はとても綺麗で、鈴を転がしたような音だった。
今更だが、顔立ちも相当綺麗だ。これが世にいう美少女なのだろう。
充がそんなことを考えていると、たくさんの足音が近づいてくる。
「国王陛下!!御無事ですか!今の音は一体!?」
そこに居たのはテイルだった。
「あー......ごめんあれ俺がやったんだわ王女様のな?呪いを解くために」
「は......?呪い?」
「あぁそうじゃ。そして、見事解呪に成功し、ルナリアは目を覚ました!」
「お父様?これは一体どういう状況ですか?」
だいぶ意識がはっきりしてきたようだ。
王様は兵を持ち場に帰らせ、ルナリアとしばらく会話し、今までの事などを話していた。
「ミツルさん。あなたが私を呪いから解放してくれたのですね?」
「えぇ、まぁ」
「ありがとうございました。あなたに最上の感謝を」
何かここまで畏まられるとつらいものがある。
「まぁ、出来たからやっただけなので.....」
「そして、お礼に指名依頼の分の報酬に加えて.....えっと.....その.....」
「ん?なんだ?」
ルナリアは2、3度深呼吸をし、やや頬を赤くしながらこっちをしっかりと見てこう言った。
「あなたのお嫁さんになります!!!!」
「「え.........えぇぇぇぇぇ!!!!?」」
そして、また王城にいる兵が扉荒々しく開くのだった。
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