第103話
充は口に含んだ肉を飲み込み口を開いた。
「バロンは偶に出現する強い魔物を狩っているんだよな?」
「あぁ。そして狩った魔物は自分の家に持ち帰って解体して自分で食べている」
「売ったりはしないのか?」
強力な魔物なら食用の部分だけではなく、武器や防具の素材になる部分もあるだろう。
「言ったろ、強力な魔物だって。この街は街の外に出ても離れすぎなければ新米冒険者でも安全に狩りをすることができる、所謂初心者向けの街だ。そんな街に俺の狩った魔物の素材を流してみろ、すぐに出所が割れて俺が魔族だとバレる可能性が跳ね上がるだろ。だから俺はこうして細々と露店を営んでいるんだ」
バロンは肉を焼いていた網の手入れをしながら淡々とそう話した。
「そうか、でも他の街にバロンのような魔族がいるとも限らんだろう。そう言う場合は強い魔物はどうなるんだ?」
そもそも、人類を侵略しようとしたのは、24代目魔王一人であって他の魔族はそんなこと考えてもいないのだ。もしかすると俺の予想を裏切って一つの街に一人くらい魔族がいて強い魔物を狩ってくれているのかもしれない。
「うーん...お前なら話してもいいか。ほかの人間のように偏見を持ってないみたいだしな」
「話すって何をだ?」
「まずさっきお前は他の街と言ったが、他の街ではそもそもその土地に見合った魔物しか出現しない」
「ん?つまりどう言うことだ?」
充は首を傾げた。
「強い魔物は出ないってことだ」
「つまり土地に見合わない強い魔物の出現はこの街周辺でしか起こらないってことか?」
バロンは首を縦に振った。
「この先を話そうとすると長くなるんだが...どうする?」
「ん...長くなるのか......まぁ大丈夫だ。午後からは基本的に予定はないからな」
「じゃあ少し場所を移すとしよう。ついてきてくれ」
「わかった」
充は先を歩くバロンの後ろをついていった。




