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憧れと真実  作者: 麻沙綺
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実里side2

「そろそろ、お開きにしようか」

との声で、ぞろぞろ部屋を出た。

「実里。送ってくよ」

さっき仲良くなった理巧が言ってきた。

「いいよ。遠回りになるでしょ」

私が、断ると。

「送ってもらいなさいよ」

愛羅が、横から口を出す。

「早々、黙って送られなさい」

理巧が、愛羅につられて言う。

断れ切れなくて。

「お願いします」

って答えると、理巧も愛羅もニッコリと笑顔を見せた。


理巧と居ると楽しくて、安心していれるって言うのかな。

気が付けば、もう家の前で。

離れるのが、名残惜しくてでも。

「送ってくれて、ありがとう」

って、言うしかなくて。

だって、まだ、私は王子の彼女だから、彼の手をとることが出来ない。

それが、物凄くもどかしい。

「いいよ。じゃあ、またな」

理巧は、笑顔でそう言って背を向けて帰っていく。

こっち向いて。

私の想いは、届かずに理巧は行ってしまった。


家に入れば。

「今の、誰?」

不愉快そうな顔をしたお兄ちゃんが聞いてきた。

「ただの友達だよ」

そう、今はまだただの友達。

私は、そのまま自分の部屋に入った。


部屋に入れば、携帯のランプがチカチカ光っていた。

見れば、理巧からで。


"今日は、実里と知り合えてよかった。

今度は、二人でどっかに行こうな。理巧"


って…。

さっき別れたばかりなのに…。

もう、会いたくなってる。


"メール、ありがとう。

私も理巧と知り合えてよかった。

二人で出かけるのは、少し考えさせて。実里"


って、打ち返した。

これは、私なりのケジメを着けないとって思ったから。

じゃなきゃ、即OKしてた。

理巧と居ると楽しくて、安心できるのだから…。


"うん。いい返事を期待してる。

お休み、実里"


って…。

今思い返してみれば、王子とは電話もメールもしたこと無いな(連絡先知らないし)。

やっぱり、これって付き合ってるとは言えないよね。

王子の事"好き"って思ってたけど、やっぱり違うんだな。

理巧に会って、わかった。

王子に対しては、ただの憧れだったんだって、改めて気付かされた。

明日、彼にさよならを告げよう。

私は、愛羅にその旨のメールを送って、ベッドに潜った。



翌日の放課後。

私は、彼を呼び出した。

「何だよ」

私の顔を見たとたん冷たい言葉と面倒臭そうな態度。

そんな彼に。

「別れよう」

私は、直ぐにその言葉を吐き出した。

「はっ?」

訳がわからないって顔をする彼。

「あっ、そっか。私たち、付き合ってた訳じゃないから、この言葉は、違うか…。でも、これ以上、あなたの傍に居ても仕方がないから、さよならだね」

私は、言いたいことだけ言って、背を向けた。

「ちょ、ちょっと待て。それは、許さねぇ」

って、声がかかる。

何が、許さないんだろう。

元々、付き合っていたなんて思えないし…。

「"許さねぇ"って、それはないよね。元々付き合っていないよね。告白はされたけど、一緒に居たこともなかったし。それって、付き合ってるって言わないよね。だから、あなたとの接触を断ってしまえば、別に誰と何しようと関係ないよね。ってことで、これ以上あなたと関わること無いと思う。さようなら」

胸にあった思いをぶちまけて、その場を去った。



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