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憧れと真実  作者: 麻沙綺
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1/4

実里side

「ねぇ…ねぇ…」

私が声をかければ。

「なんだよ、ウザいな」

酷い言葉が返ってくる。

「用が無いのなら、俺行くけど」

怪訝そう…嫌そうな顔をして私を見てくる彼。

今居る場所は、生徒の往来もある廊下。

王子でもある彼を引き留めれば、嫌でも注目を浴びる。

「…う、うん。何でもない。ごめん、引き留めて…」

萎縮して、そう答えるしかできなかった。

彼は、そのまま歩き出した。

こっちを振り返ることもなく、私はその背中を見送った。


はぁー。

教室に戻り、溜め息一つ吐く。

「どうしたの?実里」

心配そうにそう聞いてきたのは、親友の愛羅。

唯一彼と付き合ってる(?)事を知ってる人物。

「ん?どうもしないよ」

笑顔を張り付けて言う。

「また、そんな作り笑いなんかして…。どうせ王子の事でしょ?」

呆れ顔で聞いてくる。

「…私たちって、付き合ってるのかなぁ…」

つい、本音がポロってこぼれでた。

「う~ん。付き合ってるとは言えないよね。はたから見たらね」

愛羅が、可愛い顔を歪めて言う。

「だよね。もう、このまま関わらずに、自然消滅になってしまった方がいいか…」

口にしたら、なんかどうでも良くなってきちゃった。

「うん。王子の事は、さっさと忘れて、次の恋しなよ。実里は、可愛いんだからさ。きっと他にいい人居るって」

ニッコリと笑う愛羅。

「…ってことで、合コンに行こうか。調度人数足りてなくてさ」

愛羅が、私の腕を引っ張った。

了承する前に行くことになった。

気持ちを切り替えるためにも楽しもうと思った。


愛羅に連れられて来た場所は、駅前にあるカラオケボックス。

そこの入り口に何人か知ってる顔を見つけたのか、愛羅が。

「遅くなって、ごめん」

って、声をかけてた。

「いいよ。揃ったところで入ろ」

私たちが、最後だったらしい。

そのまま、中に入って受付をし、部屋に移動した。


少し広めの部屋に入って、思い思いの場所に座り、自己紹介をして、歌い出した。

「ねぇねぇ。君、王子の彼女でしょ?こんなところに来て大丈夫なの?」

茶髪で、ピアスをジャラジャラ着けて、いかにも遊んでますって感じの男子が声をかけてきた。

何で、王子との事知ってるんだろう?

「大丈夫ですよ。って言うか、彼女じゃないですよ」

苦笑いを浮かべてそう答えた。

「彼女なら、ほったらかしにしないでしょ?」

彼は、私が何しようが気にしないでしょ。

放課後を一緒に過ごしたこともないけどね。

「そりゃそうだ」

そう言って、彼はケラケラと笑い出した。

何が、おかしかったんだろう?

私が首を傾げていたら。

「ゴメンゴメン。じゃあ、俺が迫っても構わないってことだ」

突然真顔でそんな事を言い出す。

えっ…。

「王子と付き合ってないんでしょ。だったら、俺と付き合わないか?」

私の顔を覗き込んで、そう言ってきた。

ちょ、顔が近いって…。

「友達からって言うなら…」

私は、そう言葉を発していた。

無下に断れなかった。それに、彼なら王子の事知ってるみたいだったから、何か聞けるかもって、打算もあった。

「ん。それでもいいよ。じゃあ、ケー番交換しよ」

軽く言われたけど、私は了解して、その場で交換した。

「ありがとう、実里」

って、満面の笑顔でお礼を言われて、ドキッて心臓が跳ねた。

そう、王子には感じなかった想いが、彼にはあったのだ。遊んでそうに見えたけど、話してるうちに違うのかなって思えてきた。

その後も、私は、彼と楽しい時間を過ごした。




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