シスコンの妹もシスコン
随分前に書いたせいで毎回タイトルが適当になっています
「なにやら終わったようですね、中に入りましょうか」
ティアさんが教会のような建物に入るように促している。
「ま、座れよ」
中では〈戦場の死神〉が椅子を引き出して、座るよう促してきた。
「……そうします」
座ると、無言がその場を支配する。
そもそも僕何で来たんだっけ……?
そんな事を疑問に思った。
巻き込まれたんだっけ……。
「で、お姉さま。この野郎は?」
「この野郎って……」
ティアさんは瞼を閉じたままでも分かる程に嫌悪感を醸していた。
いや、うん。目を閉じていようが嫌悪感を出すことができるんだね……。
「友人だ」
「「ええっ!?」」
信じられない、というような叫び。ハモる。
「おおおおおおお姉さまにゆゆゆゆゆ……」
「落ち着け。別に私に友人くらい居てもおかしくないだろう?」
……友人と言うには関係浅くないですか? なんて僕は思うんだ。
でも、友人と言うのは嫌ではない。突然過ぎて驚いただけだ。
「そんな、落ち着いていられますか? 赤飯を……」
あ、赤飯の存在自体はあるんだ。この世界。
あわあわしながら奥に行ってしまったティアさんをぼけーっと見送る。
「……全く。たかが友人程度で慌て過ぎだ」
「友達居なかったんでっ!?」
言っている途中に拳骨を食らった。危な……舌噛むところだったよ。
「そ、そもそもあの、僕はあなたの名前すら聞いてないんですが」
「……? 私自身そこそこ有名な自覚あるのだが?」
だから名前知ってるだろ? と。
「そんなこと言われても、知らないのですが?」
「本当か?」
マジですが。
戸惑いながらも、僕は頷いた。
「…………リエル」
〈戦場の死神〉が────リエルさん(?)が小さな声で呟いた。
聞こえていたが、何の事やら分からなかった僕が聞き直そうとしたところで。
「お姉さまー、赤飯どころか、食べるものさえ無いのですが、どうしましょー?」
ティアさんが戻ってきた。
「……そう言えば名前、聞いた方がよろしいのでしょうか?」
「僕一回名乗ったよね!?」
「……イシギさんでしたか?」
「浅葱!!」
「イサギ?」
「……あさぎ、です」
「おい、その辺に……」
ティアさんはそれに対して微笑む。
「ふふ、分かってますよ」
そして、言った。
「詐欺師さんですよね?」
「違うって」
この人、全く分かってなかった。
「その辺にしておけ、アサギ。こうなったら私のかわいいかわいい妹は梃子でもボケ続けるぞ」
「いくらお姉さまでもそれは失礼ですよ」
ぷんぷん、とわざわざ口に出して言う。
……まあ、うん。分かった気がする。
この子、めっちゃ僕のこと嫌いで、お姉さんのこと大好きなんだ。




