表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不完全愚者の勇者譚  作者: リョウゴ
第一部 三章 強烈姉妹と幽霊それから勇者
87/190

シスコンの妹もシスコン

随分前に書いたせいで毎回タイトルが適当になっています



「なにやら終わったようですね、中に入りましょうか」


 ティアさんが教会のような建物に入るように促している。


「ま、座れよ」


 中では〈戦場の死神〉が椅子を引き出して、座るよう促してきた。


「……そうします」


 座ると、無言がその場を支配する。


 そもそも僕何で来たんだっけ……?


 そんな事を疑問に思った。


 巻き込まれたんだっけ……。


「で、お姉さま。この野郎は?」


「この野郎って……」


 ティアさんは瞼を閉じたままでも分かる程に嫌悪感を醸していた。


 いや、うん。目を閉じていようが嫌悪感を出すことができるんだね……。


「友人だ」


「「ええっ!?」」


 信じられない、というような叫び。ハモる。


「おおおおおおお姉さまにゆゆゆゆゆ……」


「落ち着け。別に私に友人くらい居てもおかしくないだろう?」


 ……友人と言うには関係浅くないですか? なんて僕は思うんだ。


 でも、友人と言うのは嫌ではない。突然過ぎて驚いただけだ。


「そんな、落ち着いていられますか? 赤飯を……」


 あ、赤飯の存在自体はあるんだ。この世界。


 あわあわしながら奥に行ってしまったティアさんをぼけーっと見送る。


「……全く。たかが友人程度で慌て過ぎだ」


「友達居なかったんでっ!?」


 言っている途中に拳骨を食らった。危な……舌噛むところだったよ。


「そ、そもそもあの、僕はあなたの名前すら聞いてないんですが」


「……? 私自身そこそこ有名な自覚あるのだが?」


 だから名前知ってるだろ? と。


「そんなこと言われても、知らないのですが?」


「本当か?」


 マジですが。


 戸惑いながらも、僕は頷いた。


「…………リエル」


 〈戦場の死神〉が────リエルさん(?)が小さな声で呟いた。


 聞こえていたが、何の事やら分からなかった僕が聞き直そうとしたところで。


「お姉さまー、赤飯どころか、食べるものさえ無いのですが、どうしましょー?」


 ティアさんが戻ってきた。


「……そう言えば名前、聞いた方がよろしいのでしょうか?」


「僕一回名乗ったよね!?」


「……イシギさんでしたか?」


「浅葱!!」


「イサギ?」


「……あさぎ、です」


「おい、その辺に……」


 ティアさんはそれに対して微笑む。


「ふふ、分かってますよ」


 そして、言った。


「詐欺師さんですよね?」


「違うって」


 この人、全く分かってなかった。


「その辺にしておけ、アサギ。こうなったら私のかわいいかわいい妹は梃子でもボケ続けるぞ」


「いくらお姉さまでもそれは失礼ですよ」


 ぷんぷん、とわざわざ口に出して言う。


 ……まあ、うん。分かった気がする。


 この子、めっちゃ僕のこと嫌いで、お姉さんのこと大好きなんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ