ユアーライフ ビー・チャージッド
おはこんばんちくわーっす^^
瑠乃ちゃん、ピンチ!
今日はあいにくの曇りだった。
あたしとイツキと、あと先輩たち3人でいる保健室は、いつもより暗い気がした。
本当にこのまま、卒業できるのだろうか。
誰よりも早く起きて、朝のグラウンドを眺めていた。
生徒たちは、外に出られず学校にいるしかない。
使われることのない鉄棒やサッカーゴールは、あまりにも殺風景だった。
あたしたちのクラスは、今頃どうなっているだろうか。
赤い水たまりができて、机もイスもごちゃごちゃになっているだろうか。
もとに戻りたいのは、皆一緒だ。
こうやって過ごしている中で突破口なんて無いし、ましてや警察とか救急車が来てくれるだとか、そんな夢は見ていない。
夢はいつか、覚めてしまう。
きっと、終わりがある。
ハッピーエンドだろうがバッドエンドだろうが、時は止まっちゃくれない。
それでも。
無理矢理ハッピーエンドにしようという人間は、いくら無謀でも必ずいる。
まさしく、あたしの先輩だと思うんだがね。
そもそもなぜあたしは、朝っぱらからこんなことを考えているんだろう。
ああ、すっかり目が冴えてしまった。
もう一眠りしようと思ったんだがな。
「る~のっ!もう起きたのー?」
「あ、先輩・・おはようございます」
「何ぃ?元気ないね~」
「・・・・先輩」
「んー?」
「ここであたしが死んだら、先輩は怒りますか」
「愚問だねぇ」
あたしの質問とは裏腹に、先輩は優しく笑っていた。
「瑠乃は私に怒ってほしいの?」
「・・・・・ッ」
そうか。
先輩は、こんな人だったんだ。
底なしに優しくて、お人よしだ。
こんなこと言うのは変かもしれないけど。
「・・すいません先輩、あたしの気の迷いです」
「いーえー、何でも相談しんさいね~」
「はーい」
気が付けば、辿先輩も起きていた。
目をこすってあくびしてはいるものの。
「・・・さて、次は朝ごはんですねー」
「私ちょっと包帯替えるからさー、先言っといて~」
「後で来てくださいねー」
「りょうか~い!」
しんと静まりかえった廊下を、一人で歩いていた。
今日も、誰もいてくれないといいんだが。
ーーがらがら。
冷たい戸を開けて、誰もいないか確認した。
「・・・・・・・いないー?」
そばにあった包丁を構え、調理室をくまなく探す。
いつもご飯前はこうしないと恐いので、執拗に見てまわる。
「やあ」
「ひっ・・・・・・・!?」
突然あたしの後頭部にあてられた、筒。
おそらく銃口だ。
しかしなぜ、学校に銃が?
生徒が持っているはずもないし、いったい誰があたしの後ろにいるというのだ。
「・・おっと」
「・・・う」
「後ろを向くのはタブーよね・・・・撃つかもよ」
「・・・・・・・・誰?」
「校長先生の・・・秘書、と言っておきましょう」
よく分からない。
状況がうまく飲み込めない。
校長?
秘書?
「なんで、秘書さんが・・ここに?」
「・・・・うふふ、これ以上話すのは・・・やめておくわね」
「そうしときなよ、ね♥」
銃を向ける秘書の女の後ろにいたのは、先輩だった。
カッターナイフを女の首に向け、何とも恐ろしい笑顔で佇んでいる。
女は銃を持って去り、先輩が駆け寄ってきてくれた。
「んもー、大丈夫~?」
「あ、はい・・・というか先輩が遅いんですよー」
「いやー、てへぺろ☆」
「あたしが生きてたからよかったものの~・・」
「はいはーい、ごめんごめん~」
あたしはこんな先輩を、どうしようもなく信頼していた。
瑠「初のナレーターでしたよー、祝ってください」
想「どうやって?」
瑠「・・先輩がそばにいてくれるだけでいいです・・・///」
想「なぜ照れたし」