プリンセス・ザットフォールインティアーズ
想ちゃん、倒れるの巻。
「--い?せんぱ~い?大丈夫ですか~?」
「ぅわっ」
あれ?
ここはどこだろうか。
確か私は教室で・・。
ああ、思い出すだけで頭痛がする。
『私は教室で』何をしていたのだろうか。
まぁそれは後で考えることにしよう。
「あーよかった、想先輩、生きてますー?」
「うん何とか・・・っていうか、何で瑠乃とイツキがここに?私、どういう状態だったわけ?」
「先輩ったら教室の前で倒れてて・・何があったんです?・・・・あー、あと、先輩のお連れの人はこの部屋の外です」
「先にあの人たちに一言言っといたほうがいいと思いますよ?心配してましたからっ・・」
「そっか・・・・・ありがと」
私を助けてくれたのであろうこの子たち二人は、同じ部活の後輩だ。
目つきの悪い、間延びした口調の女子のほうが土島瑠乃。
たどたどしい口調の男の娘、って感じの男子のほうが高橋イツキ。
ちなみにイツキは瑠乃に好意を寄せているようなのだが、そういうことに関心もなく、鈍感な瑠乃は全く気付く様子もない。
・・おっと、そういえばお兄ちゃんと潤さんが待ってるんだっけな。
ーーがらがら。
「・・・あ、想ちゃん!」
「想!」
「ごめんね~、私は怪我とか何もしてないからさ・・」
「そうか・・・・・・まあ今は休んどいてくれよ、俺らも何があったかなんて詮索しねぇから・・・」
「ほらほら、お兄様が添い寝してやろうか?」
「結構DEATH☆」
やっぱり私は、二人の王子様にずいぶんと守られているようだ。
ああ、あと可愛い後輩たちにも。
「・・ま、話すなら部屋入ってからにしようよ、二人も疲れたでしょ?」
ーーがらがら。
「あぁ先輩、戻りましたかー。そろそろ6時ですし、皆でディナータイムにしません?調理室、たぶん人いませんからー」
「たっ、たぶんですけどね・・・」
確かに、今日は朝食も昼食もとっていない。
そう言われればお腹が空いた。
「そうだね~・・お兄ちゃんと潤さんも、それでOK?」
「ああ」
だが、もし誰かがいたらどうするつもりなんだろう。
食べる前に殺すなんて、なんと趣味の悪い。
「・・・大丈夫ですってー、何も食べる前に・・なんてことしませんよー、倒れてた先輩の目の前でなんて」
「うわ、いつからアンタ心読めるようになったの・・・・」
「分かりますよー、あたし先輩のストーカーですし」
「「え゛」」
「ちょっとちょっとジョークじゃないですかー、先輩ったら何マジな感じで見てくるんですかー・・・しかもイツキまで」
「あっ、ごめん・・別にそういうわけじゃなかったんだけどっ・・・・」
「んもー、瑠乃ちゃ~ん?イツキは純粋なんですー、真面目なんですー!」
「はーい気をつけまーす」
・・そういえば。
あとで考えるつもりのことはどうしようか。
そうそう、私が教室の前で倒れていた理由。
本当に、何もかも覚えていない。
まるで、記憶が脳内からすっぽり一部分だけ抜けてしまったような。
気を失ってしまうほどの辛いことでもあったのだろうか。
起きれば私の右手には血が付いていて、ところどころ返り血のようなものを浴びていた。
誰かを、殺してしまったのか。
頭が痛い。
・・ああ、今日はもう考えるのはよそう。
出来事を、『想』い出す前に。
イツキ君はショタでしょうね。^p^
ショタであってくれ。^p^