クローズ ザ・アイ
おはこんばんちくわー^^
んー、今回なんか怖い・・
私ははっきり言うと、作戦も何も用意していない。
晴子がどう出るだとか、そんな難しいことは今、通用しない気がして。
もしかしたら殺されるかもしれない。
それとも・・?
「・・・分かった」
「潤さん・・」
「行ってこればいいと思うよ、俺は」
「・・・・・ありがとう」
「そのかわり、絶対帰ってきてくれよ?そうじゃないとこっちのお兄さんがダメになっちまうからな?」
「ふふ、そうですね」
「潤太郎くんがうるさいでーす」
「はいはい、悪かった悪かった・・・・想ちゃんが心配なんだよな?」
「当たり前だ」
「んもーっ、何それ急に~!行きにくくなんじゃん!私もう行くよ?」
「気ぃつけてな~」
「絶ッッッ対帰ってこいよバカ妹!」
「はーい!!」
あらら、『バカ妹』だってさ。
言われちゃったな。
まあお兄ちゃんなりの心配の仕方なんだろうけどね。
こっちも負担かかっちゃうなぁ。
「・・・・・・・ここ・・っぽいかな・・・?」
気配なんざ完全なる勘。
実際どこにいるか知らないし、分からない。
ーーがらがら。
「・・・・・・・・ありゃ、違いましたか・・」
ここはバツ。
じゃあ次は・・隣へ行ってみるか。
「・・・想、ちゃん?」
「・・・・・・・・ぇ、」
声が聞こえたのは隣だった。
この声は絶対に晴子だ。
いつもより弱々しい気もする。
「・・・晴子・・・・・・!」
「ふふっ、想ちゃんってば不思議だね・・・・まさか私と同じ気持ちだったなんてさ」
「同じ?・・・晴子も、私を探してたの?」
「うん、ずっと」
「・・・そっか」
最終的に、落ち合うは心。
晴子のいる教室は窓が開いていて、風が私たちの間を吹き抜けていく。
「ねえ、晴子はさ」
「ん?」
「私のこと、嫌いだったんだよね」
「・・・・え?」
「だから、殺そうとしたんでしょ?・・あのとき」
「違うよ・・違うの、嫌いなわけない」
「じゃあ何で、刺そうとしたの?私のせいなんだよね?」
「ごめん、想ちゃん・・・・私、私は・・・!」
「・・・?」
「・・・・・・・・いや・・何も、ない・・・ねえ、想ちゃん」
「・・何?」
「今日こそ私を、殺してほしいの」
衝撃だった。
前とは違って、向こうから殺気は感じない・・だが、『今日こそ』なんて。
「・・・・無理だって・・私、そんなこと・・・」
「お願いッ・・・・・・私、そうじゃないと想ちゃんを・・・・・!」
「やめて、晴子・・・」
「想ちゃんッ!隠さないでッ!!」
「はる、こ・・・・?」
「いつもいつもそうなの・・想ちゃんは最初から・・・!想ちゃん、きっと私のこと憎いはずなのに・・・・・・どうしてそんなに隠すの?」
「・・・・・ッ」
「想ちゃんは、私に自分のことなんて何も教えてくれなかったよね?・・・怖かったんだよね・・?・・・人に、自分を教えるのが」
「・・・・・・・・やめ、て」
本当は、ずっと恐れていた。
幼いころからずっと。
何もかも、自分で自分を覆い隠していた。
ああもう、この視線が嫌いだ。
人の目が。
「見ないで・・・・・・嫌、なの・・!」
声が、視線が、瞳が。
私は人の目を見続けることが恐い。
・・視線恐怖症、だった。
「・・・・あれ?こ、えが・・」
私の脳内は軽いパニック状態だ。
晴子はずっと私の目の前で話しているのに、聞こえない。
あるいは、恐れすぎて聞こうとしていないのか。
気付けば私は、晴子の目を直視していた。
「・・・・・・・・・こわい、から・・・・」
私は、机の上にあったカッターナイフを握りしめていた。
ーーぐさっ。
「・・やめてって・・・・・言ったのに・・・・」
気付けば私は、晴子の目を『直視』していた。
想ちゃんマジブラックエンジェル。