アイライクピース・オア・・?
おはこんばんちくわ、どもども。
想ちゃんが冴えてる回です。
今日は、久しぶりの雨だった。
朝起きて、音楽室から見ていた。
外に出たい。
出たらまず、何をしようか。
「ねぇねぇお兄ちゃ~ん、ピアノピアノ!」
「ピアノぉ?何だ今更」
「いまさらまいさらだよ、お兄ちゃん弾けたでしょ?」
「あー、まぁ・・・」
母と父は、小学生のときに死んだ。
放火だった。
母は僕と想をどうにか逃がしてくれて、父も同じ場で死んだ。
そこまで裕福でもない家で、両親が買ってくれたグランドピアノ。
あれも、たぶん火事で焼けたはず。
ピアノを習いもしていなかった僕は、かろうじて音符の読める想に教えてもらいながら、拙い指先でどうにか弾いていた。
「・・・・ありゃ、お兄ちゃんも歳だねぇ」
「・・・・・・・ぇ」
気が付けば、勝手に涙が零れていた。
自分は今、どんな顔をしているだろうか。
「はいはい、よしよし」
「・・ぅるさい、今日のノルマやりに行くぞ!」
「あはは、お兄ちゃん声震えてる~」
「それは悪うございました!」
いつもの廊下もふたりぼっち。
これじゃまるで、学校のヘンゼルグレーテルって感じだな。
ロマンチストだとか言うなよ。
「・・・・・・あれ?」
「ん、どうした?」
「これ、包丁?」
無機質すぎる床に落ちていたのは、おそらく家庭科室のものであろう包丁。
「よかったな想、まともな武器だ」
「いや・・これは怪しくない?」
「何がだ?拾っておいたほうがいいんじゃないのか?」
「いやいやいや・・・妹ちゃんドン引きだよ、メガ引きだよお兄ちゃん」
「?・・どういうこった妹ちゃん」
全くもって意味がわからん。
ドン引きの最終変化が『メガ引き』だったのも意味がわからん。
「いい?包丁なんて、身近にありすぎる人殺しの道具なんだよ?」
「ああ」
「このルールでそれを最初に欲しがろうとしないヤツなんて、よっぽど強いヤツしかいないでしょ?」
「うんうん」
「それをこんな所にぽいっと捨ててあるなんて、絶対トラップだよ!」
「なるほど」
「・・っていうことを言いたかったんだよ、分かりました?」
「パラダイス」
「『分からないです』?」
「分からないです」
「じゃあ野垂れ死ね」
「え゛ぇぇ!?」
出た、想ちゃんの強制会話終了。
・・まぁ、分からなくもない考えだな。
「ということでっ、この道筋で行けば犯人は~・・・」
「お~?」
「たぶんあっち!」
「真実は?」
「たぶん一つ!」
「へいへいなるほど」
確かにこの順で行けば、引っかかった愚かな獲物はあっちへ・・。
『あっちの部屋』というと、理科室だな。
「よし・・・一回引っかかるか」
「そう来なくちゃ、辿ちゃん♪」
これを思いついた犯人もかなりのリスクだろう。
いわば賭けといったところだし、もしかしたら自分が自分の包丁でやられるかもしれないというのに。
こんな危険好きとは分かり合えないな。
・・さて、扉を開けるとしようか。
辿「ナレーターってむずいな」
想「ナレーター如きがむずいとかwwwやばwww」
辿「・・反抗期?」
『野垂れ死ね』って言われてちょっとショックだったお兄さん。