ユーラブミー?
おはこんばんちくわ、どもども。
シスコンとブラコンと焼プリンが書きたかった。
私の腕はまだ、昨日の傷が血を滲ませていた。
包帯を巻いては替え、巻いては替えの繰り返し。
「なぁ、想」
「何?お兄ちゃん」
「・・いつになったら・・・卒業できると思う?」
「・・・・・・そのセリフ、今日で何回目?そろそろ妹ちゃんの耳も限界かなぁ」
「・・・・ごめん」
珍しい。
珍しいな。
いつもなら絶対『じゃあお兄ちゃん頑張って妹ちゃんの耳を落とすぞー^P^』とかウザいこと言ってくんのに・・。
さすがにこの3日は、気が滅入ってるな。
「・・よし、決めた!」
「何を?」
「退学しちゃおう、お兄ちゃん!」
「はぁぁ!?何を急に・・・」
「この状況で卒業なんて無理だし、いっそのこと退学を申し出てみればっ・・!」
「いや、それも無理だな我が妹よ。まさか、まさかだぞ?卒業も許してくれないあの校長サマが、易々と退学を許すとでも?」
「う・・・・・」
だめだ。
とりあえず兄を喋らせて元気にさせようとした作戦、失敗。
あーあ、こんだけネガティブになったらもう戻らねぇよな~・・。
そう、私達をこんなムードにさせたのも、卒業式が元凶なのだ。
ーーー
卒業証書、授与。
皆が順番に取りに行く、とてつもなく時間を食う作業だ。
私はこの「御桜学園」2年の、斎藤想。
私はまだ2年だから卒業しないが、卒業生の一人が私の兄、斎藤辿。
お気づきの方もいるかもしれないが、私たち兄妹は「さ」行から始まるため、いつも出席はど真ん中である。
兄妹そろっていつも真ん中だ。
・・というのは置いといて。
このときに、悲劇が起こったのだ。
「卒業証書の授与の前に、私から大事なお知らせがあります。」
それを切り出したのは校長だった。
「この一か月、皆さんには生徒同士で殺し合ってもらいます。」
一気にどよめきだす周りの生徒たち。
そりゃあ当たり前だ。
こんな校長、頭がおかしいに決まっている。
「1日のノルマは15人、協力できる人数は3人です。15人を殺せなかった場合、そこで留年となります。それでは皆さん、楽しい卒業を迎えてくださいね。」
こんなもの、信用できるはずがない。
権力と地位のせいなのか、他の教師たちも何も言わない。
ーーばちっ
皆が急いで思考を巡らせるその瞬間、一瞬で頭上の電気が消えた。
悲鳴、怒号、嗚咽。
最悪の卒業式・・ってヤツだ。
ーーー
「想、行くぞ」
「はいはーい、待って待って~」
そういえば、兄妹で手を繋ぐのは何年ぶりだろうか。
うん、たまにはいいかも。
「・・・ふふっ」
「どうしたんだ、急に・・おいニヤニヤするな」
「あはは、お兄ちゃんもでしょ~」
「はいはい可愛い可愛い」
「うわー、棒読みするお兄ちゃんは嫌いだなー」
「僕の妹めっちゃ可愛い!!!!(迫真)」
「よろしい」
2人、手を繋いで歩いた。
それはそれは赤い、愛の零れだした廊下を。
焼プリンは・・書けなかった。