悲しい決断
連れて来られた隕石は実験室のような部屋に安置されました。
そして機械にセットされると毎日強制的に光らされました。
ある日、隕石の側に動物がやってきました。
隕石は嬉しくなって普段より大きく光りました。
するとどうでしょう、その光を浴びた動物達がバタバタと倒れていく
ではありませんか!
それは女の子が倒れたのと、まるで同じ状況でした。
実験は次の日も続けられました。
隕石が光を浴びるたびにまた動物が倒れていきます。
隕石は凄く悲しい気持ちになりました。
喜んでもらおうと光り始めたのにその光で逆に命が奪われていくからです。
でも、機械にセットされた隕石は光るのを止める事が出来ません。
どうしようもない歯痒さが隕石を苦しめました。
隕石の光はずっとデータに取られていました。
動物がどんどん自分の光で倒れていく中で人間達が自分の光をどうしようと
しているのか気になった隕石は彼らの話に耳を傾ける事にしました。
「…結果は順調だ、もうすぐ新兵器が出来る…」
「…この兵器の完成で何万の人間が死ぬ事になるだろう…」
「…これで我が国は政治的にも優位に立てる…」
隕石は耳を疑いました。
自分の光は人を幸せにするどころか、殺すものだったのです。
もう少ししたら自分の光を元にした兵器が完成してしまう!
そうしたら不幸な人がもっと増えてしまう!
早く何とかしなくちゃ!
でも、どうすれば…?
自分に出来る事と言ったら光る事だけ…。
…そうだ!
隕石は最後の手段を思いつきました。
残る力を全て出し切るのです。
結果がどうなるか隕石自身も分かりませんでしたが、もうそれに賭ける
しかありませんでした。
隕石は持てる力を最大限に引き出しました。
限界を超えたその光は隕石自身にも負担を強いるものでした。
いつも機械によって増幅されていた光は膨張して暴走して…あっと言う間に
建物全体を包み込み、やがて巨大な爆発を起こしました。
その爆発は建物を一瞬で吹き飛ばす凄まじいものとなりました。
建物のあった山奥では、爆発と共に生まれた七色の光の柱がずっとずっと
光っていました。
まるで自分の所為で不幸になった女の子に謝罪するようにそれはそれは
悲しい輝きでした。
「あ、山の方…何だかとても綺麗…」
病室の無菌室から外を眺めていた女の子はその光に気付いて一人静かに
呟きました。
そう、女の子は何とか一命を取りとめたのです。
その代わり一生無菌室の生活をしなくてはならなくなりました。
そして今でもまだあの隕石の事を考えています。
神様から貰った大切なプレゼントだと、そう思っていたから。
テレビでは製薬会社の工場が謎の大爆発を起こしたと伝えています。
しかし現場で隕石が見つかったとの報告はありませんでした。
そう、隕石はあの爆発で溶け切ってしまったのです。
女の子を始め、あの実験で死んでいった動物達に謝りながら…。
でも兵器の完成を阻止出来た事に満足して溶けていったのです。
女の子は窓から流れ星を探します。
七色の光と戯れたあの素晴らしい日々がいつか戻ってくる事を願う為に。
この一生出られない無菌室の部屋で。
そしてまた空のどこかで流れ星が消えていきます。
どこかの誰かの願いを叶える為に…。
(おしまい)
このお話は外国のTV番組と私の流れ星への幻想がミックスされています。
そのTV番組の内容はキレイな石だと思っていた物が実はウランで、その光を
浴びた人はみんな放射能に汚染されてしまったと言う話でした。
流れ星の話を書いている内に上の話が何時の間にか割り込んで来て
こんなお話になりました。
ほら、隕石って実は結構危なかったりもするじゃないですか。
悲しいお話ですけど、自分ではかなり気に入っています。




