表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/33

2-3. 邂逅(1)

列車での移動が始まり既に幾日かが経過したが、彼女は無言のままだった。

俺の言葉に素直に従うが、その一挙一動を見る限り、どうやら俺は彼女に警戒されているようだった。


いつものように背中の傷を治療しているある日、彼女が珍しく口を開いた。

「私をどうするんですか」

俺が質問の真意が分からず黙っていると、彼女は再び問いかけてきた。

「何のために私を助けたの?」


俺は拙い言葉で彼女に伝えた。

自分が苦しんでいた事

彼女の一言に救われた事

彼女を助けたいと心から感じた事


すると、彼女は驚いたように問い直す。

「それだけの事で私を助けたの?」

俺としてはこの言葉は心外だった。〈それだけの事〉だなんて……加害者を労る彼女の優しさを〈それだけの事〉の一言で済ませるなんて、許せなかった。


それからは暫く口論となった。

俺なんかを心配するなんて、君は本当にお人好し過ぎる。

私なんかを助けるためにこんな大それた事をする人に言われたくは無いわ。

私なんかなんて、君はどれだけ俺が救われたか分かっていない。

それは貴方も同じじゃない。

……

……


ひとしきり言い合いして双方が疲れきった後、俺は彼女の背中の傷に触れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ