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1-3. 訪問

彼女との遭遇から幾月かが過ぎた頃、俺は同僚よりある誘いを受けた。

君と同時に配属された実験体の貫通式を近々執り行うから君も来いということだった。

貫通式などと小綺麗な表現で誤魔化しているが、要するに実験体が色付いて来たので、皆で頂こうという訳だ。


天使の女性は須く美麗な体躯をしている。

娯楽の少ない研究所では、裏でこのような催しが行われている事は噂には聞いていた。

思わず吐きそうになるのを堪えながら、俺は同僚にあるお願いをした。


消灯時間を過ぎた研究所内を俺は進む。同僚から聞いた部屋に付くと、無言で中に入る。

「どうしたんですか?」

突然の事に驚く彼女に対し、俺は貫通式なる悪習の事、彼女がその標的である事を伝えた。


怯えたのだろうか。彼女は終始無言だった。

すっと目線を上げると、彼女の顔が近くにあり、俺は慌てた。

「どうして貴方が泣いているの?」

彼女はそう問いかけると、俺の頬を撫でる。

この時、自分が涙を流している事に初めて気が付いた。

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