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1-2. 遭遇

俺が彼女と遭遇したのは、俺が精神的に追い詰められていた頃だった。


あの頃の俺は既に限界が近い状態だった。


いくら耳を塞いでも、悲鳴は脳から響いてくる。

瞼を閉じれば、彼等の怨嗟に満ちた瞳が見えてくる。

最近は何を食べても血の味しか感じなくなり、食事が喉を通らない日々が続いていた。


同僚たちは「お前は優しすぎるんだ。もっと気楽にやれ」と言うが、俺には談笑しながら研究を続ける同僚たちがまともだとは思えなかった。


そんな時、俺は偶然彼女と出会った。

たまたま移動中に廊下ですれ違っただけだったが、幾年ぶりに出会った彼女には、ひと目で分かるほどに研究の痕が体中に刻まれていた。

それはまるで己の罪を突き付けられたようで、俺は彼女を正視する事が出来なかった。


思わず目を背ける俺に対して、彼女は一言「辛いんですか?」と聞いてきた。

自分の身より俺の事を心配する彼女を嘲笑う同僚の声を聞き流しながら、

俺は暫く彼女の姿から目を離すことが出来ずにいた。


その日、俺は久しぶりにぐっすり眠る事が出来た。

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