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2-9. 複雑な心

私の勇気を振り絞った行動に対し、彼は特に何も感じていないようだった。


こうして大胆な行動に出てみたけれど、無関心というのもそれはそれで傷付くものである。

この複雑な心境が俗に言う乙女心というものだろうか、などと考えながら、やっぱり私みたいな傷だらけの身体じゃ嫌なのかと聞いてみたら、彼は力強く否定した。


彼は無言でシーツを私に投げると、一言だけ囁いて、私に背を向けたまま横になった。

これだけの事で嬉しくのも、やっぱり乙女心なのだろう。私はシーツを纏うと、彼の背中から伝わる心地良い温もりと優しさを感じながら、意識を手放した。


翌朝、(十分な睡眠が取れなかったのだろうか)眠たげに目を擦る彼にお願いして、ペンとノートを購入してもらった。何に使うのか聞いてくる彼に対し旅行記を書くんだと私が胸を張って言うと、彼は何とも言えない表情で微笑んだ。


彼は言った。〈君のやりたいことをやろう〉と。


私たちは〈やりたいこと〉の最初の目標として、この国を出ることにした。

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