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2-6. 彼の印象
「外の世界に戻った今…君は何がやりたい?」
なぜ彼が急にそんな話を始めたのか分からなかった。
彼の行動はいつも突飛すぎる。
辛そうだから声をかけてみれば、無言でじっと見つめてくる。
突然夜中に訪ねて来たかと思えば、子供のように泣き出す。
さっきまで泣いていたかと思えば、急にとんでもない提案を始める。
列車に乗って「服を脱げ」なんて言われた時はさすがに覚悟を決めたけれど、彼は傷の手当てを済ませてさっさと部屋から出て行くし。
傷…傷か……。
正直、私の身体は醜いだろう。
研究所での生活が始まると、私の身体にはみるみるうちに傷が増えていった。
最初は気になって仕方が無かったが、今となっとはこれが普通に感じていた。
ただ、傷を付けた相手の方が辛い表情をしているのは、この傷が始めてだった。
彼は他の人間とは違う。
あの時私は、彼を信用してみることに決めたのだ。




