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◆彼らの日常

◆彼らの日常


 ホワイトボードに浮かぶのは、3Dで飛び出す架空のウインドウ。

 そのウインドウ一つ一つに、今日の講義内容が表示されていた。

 学生達は、それを見ながら、講義を受けている。

 もちろん、手元にあるモバイルパソコンにも、同様の内容が表示されていた。


「そして、世界大戦を引き起こした世界恐慌が再び起きたのです。未曾有の状況に世界の誰もが絶望を感じました。また戦争が起きると……」

 そこで講師でもあるリュートは、新たなウインドウを表示させた。

「しかし、世界を揺るがす戦争は起きませんでした。彼らが取った行動は、更なるビジネスを打ち出すこと。それを更に活性化させることで、世界的な恐慌を打破したのです」

 と、リュートの指し示すポインターが、ある一文を浮かび上がらせる。

『シャイニング・シティ・プロジェクト』

「今、私達がこうして生きていられるのは、長年建築され続けている、国家的プロジェクトのお陰なのです。そのシティの中核を担う、最高のコンピュータ『マザー;00』を作ったのは……」

「はぁ……」

 長い講義に旬は、思わずため息を零した。

 リュートの作り出すプログラムは、どれも芸術品だ。

 しかし、彼の講義はそれに及ばない。まあ、専門外といえばそれだけなのだが。

 とはいっても、表向きの職業を失くしかねない講義内容は、どうにかならないものか。

「はぁ……」

 今日、何度目かになるため息をしたところ。

「旬、この問い6をやって見せなさい」

 嫌な問題を押し付けられてしまった。一瞥しただけで、答えは分かったが、それは俺のいるクラスよりも、もっと上位クラスのものじゃないかと疑ってしまうが。

「答えは……」

 一応、正解を言っておく。ちょっと悔しそうなリュートに、思わず笑みを浮かべてしまう。

「……正解だ……。だが、その授業態度は直すように!」

「はーい」

「はいは短く!」

「はい」

 早く終わればいいのに。旬は思う。そうすれば、今日もまたリュートと共に楽しい『ゲーム』が味わえるのだから。

 それまでは、退屈な講義を……新たなプログラム作成時間に割り当てておこう。

 旬にとって、それはいつもの日常だった。

 退屈さと、それを凌ぐ『ゲーム』と。


 そう、彼は気づいていない。

 この日、過酷な運命が彼に近づいているとは……。

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