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◆小雪と仮面の男

◆小雪と仮面の男


 -------もしかして、敵!?


 小雪は正直、困惑していた。

 仮面をつけているというだけで、かなり怪しいというのに。

「君を迎えに来たよ」

 差し伸べた手。

「さあ、僕と共に行こう。姫達が待つ、『楽園』へ」

 わからない。

 『姫』が誰なのか?

 『楽園』が何処なのか?

 そして、目の前にいる『仮面の男』が誰なのか?


「ですが、旬さんは……渡しません」

 分からない今、自分がやれることは、旬が安全な場所まで移動するまでの時間を稼ぐこと。それくらいなら、自分にできるから。

「乱暴なお嬢さんだね……」

 そんな仮面の男の言葉を無視して、小雪は警棒を振りまわす。

 男はそれを避けながら、時折、小雪にエアバイクごと体当たりして、ダメージを与えていく。痛くて苦しいときもあるけれど、これくらいの痛みなら堪えられないこともない。そう小雪は判断して、懸命に攻撃を仕掛けていく。

 いつの間にか、口の中に鉄の味が広がっていた。

 恐らく、口を切ったのだろう。

 それでも、小雪の攻撃がとまることは無かった。

 だが、一つ問題があった。

 反重力システムの欠点は、長く空中にはいられないこと。

 だから、落ちそうになるところを、途中、壁や屋上に降り立ち、もう一度、ジャンプする必要があった。

 しかし、相手はまだ空中にいる。

 このままでは、ジャンプして体力を消耗する小雪の方が不利だった。

 ただ、小雪にも分があることもある。

「今っ!!」

 片手でエアバイクを操作しつつ、小雪の攻撃を避けること。

 それは仮面の男にとっても、かなりの負担を強いていたようだ。

「しまっ……」

 ロケットランチャーを持っていた手に警棒が強く当たり。

 それはまるで、スローモーションのようだった。

 彼の手から離れたランチャーは、ゆっくりと下の。

 ガシャアアアン!!

 アスファルトに穴を開けるくらいの激しい音が、響き渡る。

 ランチャーは落下の衝撃で、大破してした。中に入っていた弾が爆発しなかったところを見ると、どうやら、先ほど建物を壊した際の弾で打ち止めだったようだ。

 どちらにせよ、これは小雪にとって嬉しい情報だろう。

 相手の攻撃が無くなったのだから。

「まずは、一つ……」

 息を切らせながら、小雪は男に向かって、警棒を振る。

「あなたは……誰、なんですか!?」

 小雪にとって、それは大事なことだった。

 もし、相手がアイツなら、生かしてはおけない。

「それは言えないね」

 タダでは言わない。

 すぐに教えてくれるとは、小雪も思ってはいない。

「なら、私が勝ったら……教えなさい!!」

 男を狙えないのなら、エアバイクを狙うまで。

 小雪は警棒の的を変えた。

 瞬間。

「あーあ、見失っちゃったな」

 男はぐんとエアバイクの高度を上げた。

「ちょっ……!!」

「まさか、バイクで逃げられるなんて思ってなかったからな……今度、会った時は、発信機用意しとかないと」

「そんなこと、させませんっ!!」

 ゆっくり落下する小雪をあざ笑うかのように、男は続ける。

「それまで、飛べるようになっておくといいかもね? お嬢さん」

「待ってっ!! 待ちな、さいっ!!」

 警棒の持っていない手を、相手のエアバイクに手を、必死に伸ばそうとしても、それは届くことは無く。

 落下しながら、男のエアバイクを見送るだけだった。


 小雪はゆっくりと、誰もいない路地に、華麗に着地したとたん。

 膝に力が入らなかった。


 --------まだ、やることが……ある、のに……。


 がくりと、倒れこんでしまう。

 瞼がゆっくりと閉じていく……。


 --------もし、彼がアイツなら、今度は。


 真っ暗になった。

 まだ使命が残っているというのに、倒れてしまう自分を、小雪は責めていた。

 意識が遠く遠く、消えていく中で。


 --------この手で……殺す。


 心の中でもう一度誓い、そして、吸い込まれるように小雪は、誰もいない路地で倒れた。


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