第21話 大人と子供
私の親権者になったらしい男、あの陰険インテリ、まちがっても正義の人陣営にいるのが、絶対間違ってる高橋さんが前なんとか言ってたけど、綺麗にスルーしてたから名前も覚える気がなかったもので、今さらなんだけど、改めてかわいらしく名前なんぞを聞いたわけです。
うん、弁護士さん、ごめんね、今の今までちゃんと聞いてませんでした、テヘッ。
どう、こんな感じで笑いながら聞いてみたんだけど、その瞬間ブリザードでした。
ある方向からね、一直線で、そらもう凄いのがきました。
嫌ねぇ、余裕のない男は、まして大きな組織動かしてるくせに、これ?
私はブリザードをものともせず、いまや失神寸前の叔母も無視して、もう一度名前を聞いた。
男は低く怒りを隠しもしないで名乗った。
「大橋潤だ」と。
「大橋さん、ご結婚おめでとうございます。けれどせっかくの新婚に、こんな大きな娘がお邪魔するのも、と思うんですけど。どうしても、ですか?」
私はもう一度確認したかった。
「ああ、どうしても、だ。」
その答えを聞き、その目を見て、この男につきあうのも仕方がないかとあきらめた。
どうしても、からみついてくるのなら、いちいちそれを切っていっても面倒だ。
上手にからみついてくるがいい、からみついていられるのなら。
こうして、私はこの大橋という男の元で暮らすことになった。