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殿下の子飼いは無害なコリス  作者: アカツキユイ


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60/60

60 わいるどでぽよぽよ

ブックマーク・評価・ご感想ありがとうございます!

 まあ、魔法というよりは魔術か……入った時から感じていた気持ち悪さはおそらくこのせいだろう。

 薬でいうと効能のダブりがありすぎる。魔法ならもっと綺麗に編み上げられるはず。


 魔術は再現可能な既製品。魔法は唯一無二、使用者固有のものだ。

 優劣ではない。魔術になって初めてその事象を魔道具にすることができる。


 目の前で先生が魔法を編み、そこから魔術に起こすのをひたすらそばで眺めさせられた時期がある。

 あれがあったから、魔力がなくても、外部供給でなんとかできてしまうのだ。

 ……うーん、頭おかしいな?


 今はこの空間魔術だけ破れれば良いけど、魔術が重なりすぎてて気持ち悪い。

「全部壊したい」


 〈わいるどだぁ〉


「面倒なだけよ」


 とは言ってみたものの。

 ただ自分が脱出するだけなら派手にドカンとやっても良い、しかし人質の場所がはっきりわからない手前、そうもいかない。


「部分的に中和とかできるかなぁ……」


 〈あじつけしてくれたらおいしそ?〉


「味付け……」


 なるほど、味付けか。

 スコープのモードを切り替える。魔術解析は気力を消耗するから、最低限。

 ぐるりと見回して、効能がダブりまくっている魔術……味覚で表現するなら雑味?を割り出す。


「……あー、そういうこと」


 無限に広げる空間魔術と、侵入者を留めようとする空間魔術が同時に走ってる。だから自分の周りがずっと気持ち悪いんだ。


「ヤミィ、私にまとわりついてる魔術だけ狙うことってできる?」


 〈たぶんできそ?〉


「ほんの少しで良いの、ねじ込むから。魔術の味はわからないんだけど、やってくれたらアプリコットをあげる」


 〈いえい!〉


 ヤミィがふよふよと私の周りを飛び回り、あたりをつけたのか、お尻の辺りを指でチョンチョンとつつき始めた。身体の向きを変えると、ヤミィも動いて同じ場所をつつく。お尻……。


「その辺なの?」


 〈ここ!〉


「レディのお尻にくっつくなんて、だいぶいただけないと思うんだけど……」


 〈でもここだよぉ〉


「どんな感じに見える?」


 〈しっぽ!〉


 尻尾、尻尾か……後ろに縫い留めておくことを考えたらベストポジションなのか?


「それ、切れる?」


 〈やってみるー〉


 ヤミィは魔術の尻尾にしがみついて、がじりと歯を立てた。


 〈おいしくない〉


「……でしょうね」


 しかし、心なしか重苦しさがなくなった気がする。気持ちの問題?そうかもしれないけど、良いのだ。


「噛み切れそう?」


 〈じゅわってしないからや〉


 じゅわ……ああ、干し肉と比べてるのか。


「……アプリコット、お預けかも」


 〈んー!!〉


 ぶんぶんとヤミィが私の周りを飛び回る。抗議のようだ。


「んー……」


 いくつか方法は思いつく。騎士団でも軍でも良いんだけど、ちゃんとした人が救助に入ってくることを見越すのならば。


 先生のカプセルを取り出し、ごくごく小さなクズ魔石を入れる。


 そして、小さな海綿体を口に付けて唾液を吸わせると、カプセルにぎゅぎゅっと詰め込みふたをした。


 〈なにそれー〉


「違う世界のマンガ?に着想を得たとかなんとか先生は言ってたけど」

 ヤミィ、さっきかじったとこ、ここよね?」


 〈そこー〉


 かじってキズになっている部分にカプセルをねじ込んだ。

 すると、そこからムクムクと膨らんでいき、私と同じような背格好の人の形になった。


 〈ミリィのしっぽなくなったー!〉


 ヤミィがクルクルとターンして両手両足をぱーん!と伸ばしてみせた。幻だろうか、金の粉が舞った気がする。

 私に付いていたしっぽは、ちゃんとターゲットを偽物に乗り換えたようだ。


「……軽い」

 一気に身軽になる。


 〈なにしたのー〉


「コピー?を作ったの。唾液からデータをとって、私そっくりの身代わりの完成!」

 うーん、先生、さすが頭がおかしい。そしてとてもお役立ち。


 〈ミリィっぽいけどぽよぽよー〉


 そう、私と同じサイズで、人の形をしてはいるが、あくまで水の塊だ。


「誤認させるためだからね。ぜーんぶ私そっくりにするには血液か髪の毛が必要って話だけど、ちょっと今ここで血痕残したくないし。髪を抜いて拾われても嫌だし」


 肩をぐるんと回す。

「はー、楽になった!身代わりちゃん、あとはよろしく!」


 ぽよよん、と跳ねると、身代わりちゃんは廊下の奥へぽよぽよと進んで行った。


「……とりあえずあれで良し。あとは、さっきのがそろそろ効いてくるはず」


 〈さっきの?〉


「壁にさっきカプセルを貼り付けたでしょ?あれは結界を侵食するのよ」


 〈ほへー!けっかいおいし?〉


「……どうかしらね。先生のトンデモアイテムだから、意外といい味がついてるかもよ」


 結界を一層だけ侵食する。そう、一層だけ。

 多層結界や複数の魔術を重ねがけしている場合はこの一層だけやるのがキモ。

 さすが先生、よくわかっている。一流の使い手は弱点にも精通しているのだ。


 結界の分析ができなかったから、どの一層を侵食してくれたかはわからない。

 とはいえ全く役に立たない結界を張っているとも思えないから、何かしらが軽減されているはずだ。

「……たまぁにただ魔法の層を重ねただけってのがあるけど、普通はやらないのよ」


 〈それなんのやくめ?〉


「だいたいが嫌がらせ」


 結界魔法が得意なやつはだいたい変わり者か性格が悪いかのどちらかだ。

 ソースは先生なので、自信を持って言い切る。

先週バタついてしまいお休みいただきました。新しいネt……題材を思いついたりして身体がいくつあっても足りないなあ……。

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― 新着の感想 ―
敵には積極的に自分がやられたらいやなことをしないとねえ
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